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郊外に必要なのは「シャンプー」より「パンツ」

ドラッグ大手ウエルシアHDの池野会長が見る商機

2015年7月17日(金)

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7月13日号の日経ビジネス「ニトリ、銀座へ 始まった都心争奪戦」では、家具最大手ニトリホールディングスをはじめ、流通・外食各社の都心への出店を紹介した。こうした企業がこれまで拡大、成長してきた郊外のビジネスは、終焉を迎えたのか。ドラッグストアチェーン大手のウエルシアホールディングス(HD)の池野隆光会長は、まだ出店の余地は残されているとみる。

ウエルシアホールディングスの池野隆光会長。ネクタイの初心者マークの柄について、「初心を忘れないという意味が込められている」と話す(写真:陶山勉)

ウエルシアのドラッグストアはロードサイドにある郊外型の店舗が8割を占めます。今期(2016年3月期)も新規に出店する114店のうち8割が郊外型です。郊外にはまだ出店の余地があるのでしょうか。

池野:あると思っています。

 確かに人口が年率1%で低下しているとして、郊外はそれを上回るスピードで、人口が2~3%減っているところもあります。そんな地域で何が起こっているかというと、新しい商圏が生まれつつあるのです。

 本来、ドラッグストアやコンビニエンスストアは狭商圏で商売すべきといわれています。確かに都心部ではそうですが、関東の郊外に行けばもっと広域の商圏になっています。ウエルシアで最も多いのは半径2km以内の商圏を持つ店舗で、それが全体の8割を占めます。埼玉や東京など高密度の人口の地域では、半径1km以内の商圏を持つ店舗が5割ぐらいを占めます。ところが、郊外では最近、半径3km、クルマで10分の距離という商圏が、今後の有望市場として顕在化してきました。

 高齢化が進んだことで、ホームセンターやショッピングセンターにクルマで15分以上かけて出かけていくことを負担に思う消費者が増えています。一方で、近くのコンビニでは生活に必要なものは十分にはそろわない。その中間あるニーズを、これまでは近所の商店街の店が担っていました。

 こうした店は、ショッピングセンターの進出などにも負けずに何とか生き残ってきたところです。ところが、店主が高齢化し、店をたたむケースが増えています。つまり、地元の商店街が担ってきた機能がさらに失われつつあることで、郊外型のドラッグストア1店舗が受け持つエリアが確実に広がっているんです。

2年前に群馬県の下仁田に出店した「ウエルシア下仁田店」

ほしいのは「シャンプー100種類」より「パンツ」

「商圏3km」のマーケットが、新たな成長市場になると。

池野:そうですね。狭商圏と大商圏の中間がとれていなかったわけです。

 広域の商圏になると、1つの店で色々な商品がそろっていないと、お客さんは不便に感じます。

 実はこんな事例があります。2年前に群馬県の下仁田にウエルシアを出店しました。この地域は人口が8000人くらいですが、周辺には生協のスーパーがあるぐらい。お客さん同士がタクシーを相乗りして、買い物にやってきます。そのお客さんから、パンツやブラジャー、ストーブや掃除機を置いてほしいという声が上がり、品ぞろえを増やしています。

 うちは本来ドラッグストアなので、これまで薬と日用品が主な取扱商品でした。つまり、いかに多くの種類のシャンプーを置くかといったことに、力を入れてきたわけです。処方箋の調剤の機能も併設してきました。しかし、お客さんにとっては、「シャンプーは100種類なくていいから、パンツを置いて」ということなんです。

 小売業たる者、商圏の変化に応じて取り扱う商品を変えていかないと生き残れません。ウエルシアがこうした変化に機敏に対応できるのは、本部主導のチェーン展開をしていないからです。私は、「本部の指示の6割が正しいと思え」と現場に伝えています。つまり、4割は間違っているということです。だから、自分たちの頭でしっかり考えなさいよということ。そうしなければ、シャンプーを減らして、パンツやブラジャーといった判断はできません。

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「郊外に必要なのは「シャンプー」より「パンツ」」の著者

河野 紀子

河野 紀子(こうの・のりこ)

日経ビジネス記者

日経メディカル、日経ドラッグインフォメーション編集を経て、2014年5月から日経ビジネス記者。流通業界(ドラッグストア、食品、外食など)を中心に取材を行う。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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