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安倍さんは「全部載せラーメン」なんですよ

年末放談:斎藤美奈子さん×小田嶋隆氏(後編)

  • 日経ビジネス編集部

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2015年12月28日(月)

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 第2次安倍政権発足以来の日本を描いた? 時事コラム、小田嶋隆さんの「ア・ピース・オブ・警句」と、斎藤美奈子さんの「世の中ラボ」。それぞれが今年(2015年)に本にまとまりました。『超・反知性主義入門』と『ニッポン沈没』です。同年代のコラムニストで、同じ媒体で書いたこともたくさんおありのお二人ですが、直に顔を合わせたのはこれが初めて。意外に噛み合って暴走気味の対談、後編はどこまで突っ走りますか…。

(前編から読む

この際お聞きしておきたいんですけど、小田嶋さんは、「安倍批判bot」と言われることについてはどう思われているんですか。

斎藤:そんなこと言われてるんですか?

オダジマさんは自動的に安倍首相の悪口を垂れ流してるんじゃないかという批判が。

小田嶋:botというのは、血の通わない機械みたいなニュアンスですよね。何を書いても最後は安倍批判だと。

この間の、追悼記事への読者さんのコメントを読んでいたら、「どう無理矢理、政権批判につなげるのか」と身構えていたら、今回はそのまま終わってしまったね、と仰る方が。物足りなく感じられたのでしょうか。

小田嶋:何ていうの、安倍さんのシンパの中には、安倍さんがやっている政策だったり、推し進めようとしている原則だったり、安倍さんが信奉している政治信条だったりするものについて「是々非々で批判しているんじゃなくて、とにかく安倍さんを嫌いでしょうがないから、何でも批判している一派がいるんだ」という受け止め方をする人たちがいて、それで「アンチ安倍」とか、「安倍嫌い主義」とかいう言い方があるんだと思ってるけど。

斎藤:しかし、その反対に、安倍好きな人は、何でも支持なわけでしょう。

小田嶋:そういう人たちはいますよね。もちろん安倍さん支持者の中にもいくつか層はあると思うんだけど、一番コアな部分は、「日本が戦後社会の中で屈辱的な自虐史観を押し付けられていたのを、全部ひっくり返そうとしてくれる人だ」ということだと私は思っているんですけどね。だから、安倍さんが何を言おうがやろうとしようが、それを批判する人を攻撃する。

ちくまKさん:そのへん、斎藤さんはどう思います?

斎藤:安倍ファンですか? コアなところはそうだと私も思います。でも、この話をすると長くなるんだけど、自虐史観批判で爽快感を得ている層がここまで増大した背景には20年ぐらいの蓄積があると思うのね。96年だか97年だかに発足した「新しい歴史教科書をつくる会」あたりからの。

小田嶋:そうですね。

ほう。

斎藤:ネットが普及したから急に現れたわけじゃない。もともとは「河野談話」(93年)や「村山談話」(95年)に危機感を募らせた人たちが発端だったと思う。で、虎視眈々と歴史認識の修正を図り、彼らの草の根の運動が実った結果、ついに自分たちと同じ考え方の首相と政権を誕生させるに至った。悲願達成なんですよ、彼らには。

斎藤 美奈子(さいとう・みなこ)

文芸評論家。1965年新潟市生まれ。1994年『妊娠小説』(筑摩書房/ちくま文庫)でデビュー。2002年、『文章読本さん江』(同)で第1回小林秀雄賞を受賞。他の著書に『モダンガール論』(文春文庫)、『物は言いよう』(平凡社)、『名作うしろ読み』(中央公論新社)、『戦下のレシピ』(岩波現代文庫)、『紅一点論』『本の本』(ちくま文庫)、『月夜にランタン』(筑摩書房)など。近著に『名作うしろ読みプレミアム』(中央公論新社)がある。(撮影・大槻純一、以下同)

小田嶋:単なる日本の自虐史観とかいう外交関係の話だけじゃなくて、日本会議が言っている家族観とか。

斎藤:そうそう。日本会議ができたのがたしか1997年。『教科書が教えない歴史』がベストセラーになったのが96年。小林よしのり『新・ゴーマニズム宣言SPECIAL 戦争論』は98年のベストセラーです。よしりんも「つくる会」に使われた感はありますけどね。

小田嶋:ああ、ひとやまありますね。

安倍さんはたぶん「反逆児」と自認している

斎藤:ああいう歴史修正主義的な動きはみんな90年代後半のトピックです。そこから積み上げてきて今がある。安倍晋三という人は、そんなに政治的な意思はなかったんじゃないかな、「美しい国」とか最初から思っていたわけじゃないと思うの。だけど、彼らに取り込まれていったというかさ、取り込みやすかったというか。

小田嶋:御神輿としてかつがれているみたいな感じですね。

斎藤:そう、ちょうどいいや、こいつを使おう(笑)。だってさ、首相自身が『戦争論』ではじめて歴史を学んだとしか思えないもの。百田尚樹もそんな感じ。それまで歴史について学ぶ機会がなかったところへ、はじめて入ってきたのが自虐史観批判だった。

小田嶋:安倍さんご本人の頭の中に強くあるのというのは、そんなに、何ていうの、深い意識や思いがあるわけじゃないのかな。

斎藤:いま現在は、強い意志があると思いますよ。ただ、安倍総理が特異なのは、周囲は全部敵で、自分は反逆児だという意識があるところです。『美しい国へ』(増補版は解題して『新しい国へ』)の巻頭で、自分は「闘う政治家だ」と宣言している。60年安保闘争のとき、6歳だった彼はデモ隊に囲まれた岸信介邸によく遊びにいっていて、それが自分の原点だと言ってるわけ。世の中が左傾化してしまったなかで、自分は反体制なんだ、と思ってるんじゃないかな。93年に初当選した際も、細川内閣の時代で、自民党は野党だったからね。「日本を取り戻せ」という意識は、強いでしょうね。

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