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「交換日記」で新入社員の適性と本質をつかむ

ダイヤ精機・諏訪貴子社長 町工場に若者が集まるワケ<中>

  • 小林 佳代

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2016年5月2日(月)

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 かつて超高齢組織だった東京・大田区の町工場、ダイヤ精機を30代以下が6割以上という若い組織に変革した諏訪貴子社長。「せっかく若者を採用しても、すぐに辞めてしまう」という企業が多い中、ダイヤ精機で若手社員が働き続ける秘密は入社後1カ月間、諏訪社長と新人の間で交わす交換日記にある。日記に表れる新人一人ひとりの性格や気質を読み解き、育成方針や指導方法に生かすという取り組みが実を結んでいる。

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実際に新人が書いた日記から、どんな性格や気質を読み取り、育成や教育に活用したのか、ノートを見せていただきながら教えていただけますか。

諏訪:わかりました。たとえばこのノートを見てください。この子はある日、1つの作業がうまくできなかったようです。その過程を書き込んでいますが、そこに「原因は力の入れすぎや品物と機械が平行になっていないためだと考えられます」という一文を加えています。ここで「原因は…」と考えて書き込んだというのはすごいことです。

ふつうはそこまで突き止めようとしないものですか。

諏訪:しませんね。「うまくいきませんでした」「失敗してしまって落ち込みました」「次からは気をつけます」というぐらいのものです。

なるほど。上司から「問題が生じた時には原因を探すことが大事だよ」というアドバイスがあったわけではないのに、彼は社長に何を報告するべきかを考え、「うまくいかなかった原因は何か」を探った。それがノートに表れたのですね。

諏訪:しかもこれ、交換日記を始めて2日目のことです。私と新入社員が交換日記をやりとりするのは、新人が1週間ほどの座学の研修を受けた後、現場に配属され、実際に機械をさわってものづくりにかかわるようになってからです。この子は見よう見まねで仕事を始めてわずか2日目に、うまくできなかったことを「なぜか」と追求しているんです。もともと何かコトが起きた時に原因や理由を分析しようという傾向の強い性格なのでしょう。この性質を伸ばしながら育成していきたいと考え、入社から1年半ほどたった頃、検査部に抜擢しました。

原因を分析しようという性質があると、なぜ検査部に向いているのですか?

諏訪:ダイヤ精機の検査部は、ミクロン単位の超精密加工の精度を確認して出荷する最後の砦。重大な責任があります。会社の看板を背負っていますから、慎重で思慮深く、丁寧な仕事ぶりが求められます。1つの過ちも見過ごすことなく、きちんと立ち止まって原因を分析し、二度と同じことを繰り返さないようにと考える資質は検査部門にぴったりなのです。不良の原因がわかれば、問題の工程まで戻すこともできますし。

彼は自分の性格を認識し、検査という仕事への資質や適性があると思っていたのでしょうか。

諏訪: いえいえ、全く思っていなかったでしょう。精密加工の仕事をやろうと思ってダイヤ精機に入社してきていましたし、配属された研磨加工の仕事も頑張っていましたから。でも私には交換日記で書いてきた彼の性格、資質が強く印象に残っていたので、その個性を生かしたいと思いました。検査部門に異動させる時にはそういうことも説明しました。交換日記のことを持ち出して、「あなただけが持っている資質だから、ぜひ検査の仕事を任せたい」って。本人は「あ、そうなんですか」という感じで淡々としていましたけど(笑)。

でも自分が認識していなかった資質を認めてもらい、評価してもらえるというのは嬉しいことでしょうね。自信を持って新しい仕事に取り組めそうです。

諏訪:内心は嬉しかったのかもしれません。「自分にとってはチャンスだからやってみます」と即答してくれました。

諏訪貴子(すわ・たかこ)
1971年東京都大田区生まれ。95年成蹊大学工学部卒業後、自動車部品メーカーのユニシアジェックス(現・日立オートモーティブシステムズ)入社。98年父に請われ、ダイヤ精機に入社するが、半年後にリストラに遭う。2000年再び同社に入社するが、経営方針の違いから2度目の退社。2004年父の急逝に伴い、ダイヤ精機社長に就任、経営再建に着手。その後、10年で同社を全国から視察者が来るほどの優良企業に再生した。経済産業省産業構造審議会委員。政府税制調査会特別委員。日経ウーマン「2013ウーマン・オブ・ザ・イヤー」大賞受賞。「夢の扉+」(TBSテレビ)、「日曜討論」(NHK総合)などメディア出演多数。(写真:稲垣純也、以下同)

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