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ダイソン創業者「今度は美容で女性を驚かす」

4万5000円のドライヤー、総投資額は約160億円

2016年5月2日(月)

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 家電メーカーの英ダイソンが美容家電に参入した。4月28日から同社の旗艦店「Dyson 表参道」で発売を始めたのは、ヘアドライヤー。小型のモーターをハンドル内部に収納し、空気をハンドル下部から吸入して、上部にある円筒形の送風口から勢いよく吐き出す構造だ。ダイソンの“羽根のない扇風機”を応用したようなデザインで、既存のドライヤーとは全く異なる。温風が熱くなり過ぎないようにセンサーを内蔵するなど、毛髪へのダメージを軽減する技術の開発に力を注いだ。

 新開発のヘアドライヤーの価格は4万5000円(税別)と非常に高価。開発・製造には1億ポンド(約160億円)近くを投じたという。「既存のダイソンの掃除機ユーザーではなく、新たな顧客を開拓する」と意気込む、創業者でチーフエンジニアのジェームズ・ダイソン氏に話を聞いた。

ジェームズ・ダイソン(James Dyson)氏 1947年5月生まれ。紙パックを使用せず吸引力が衰えないサイクロン掃除機を発明し、英国などで大ヒットする。その後、独自開発した小型のデジタルモーター技術を応用し、羽根がない扇風機「エアマルチプライアー」などにも製品カテゴリーを拡大。自ら設立した財団を通じてエンジニアの育成に力を注ぐほか、2011年からは母校である英王立芸術大学院(RCA)の学長(Provost)も務める。2007年に英エリザベス女王から「サー(Sir)」の称号を得た(写真:陶山勉、以下同)

―― 初めてヘアドライヤーを発売しますが、見た目からして既存の製品とはデザインが全く異なります。ダイソンのヘアドライヤーは、何がすごいのでしょうか。

ジェームズ・ダイソン(以下ダイソン) まず、既存のヘアドライヤーが抱える最大の問題は、大きくて重たいモーターがハンドルの上に乗っかっていて、非常にバランスが悪いことです。そこで我々は、全く新しいモーターを開発することにしました。それが、このモーターです(写真でダイソン氏が右手に持っているモーター)。従来の一般的なヘアドライヤーのモーターよりも8倍程度の回転スピードがあり、非常に小型で重さは約半分。モーターをハンドルの中に入れることで、バランスがとても良くなりました。

 モーターの回転速度は毎分、最大11万回転。モーターに取り付けられた羽根の枚数を通常の11枚から13枚にすることで、モーターの中で発生するノイズが超音波になるようにし、人間の耳で不愉快なモーターのノイズを感じないようにしました。

 従来型のヘアドライヤーの場合、送風口に髪の毛を当てるなどして風が遮られると風量が減り、その分、風の温度がさらに高くなって毛髪にダメージを与える原因となりやすかった。一方、今回開発したヘアドライヤーでは、風量がほとんど減ることなく温度が上昇しすぎることもない。しかも、センサーが毎秒20回、風の温度を測定して高温になりすぎないようにコントロールします。

 ヘアドライヤーでは、風の温度の調整が極めて重要です。髪の毛を加熱しすぎてしまうと、水分が髪から出て行ってしまい、大きなダメージを与えてしまうからです。我々のヘアドライヤーでは、あらかじめ設定された3段階の温度の中からユーザーが好みの温度を選ぶと、センサーが常にその温度に調節し続けてくれる。温度を正確にコントロールできる、世界初のヘアドライヤーでしょう。

約1600kmの毛髪を世界から収集して実験

風を送り出す構造は、羽根がない扇風機(エアマルチプライヤー)と似ていますね。

ダイソン  そうですね。羽根がない扇風機の構造と、新開発のデジタルモーターのコンビネーションといってもよいでしょう。さらに、送風口の形状には、気流が乱れないようにも工夫を凝らしました。気流が乱れると、きれいにブローできませんから。

 このデザインに到達するまで、かなりの試作品を作りましたよ。その数は1000近くになったでしょうか。

 さらに、約1000マイル(約1600km)もの毛髪を世界中から集めて、髪へのダメージを実験しました。13種類に分類される髪の毛の種類に、7000回以上の温度実験を実施しました。

コメント1件コメント/レビュー

ダイソンの提供する価値は、その性能でも効率性でもなく「おしゃれで素敵な憧れの生活」そのもの以外なにもでもありません。
ダイソンが成功した理由の一つに、掃除機や扇風機など一般的には「おしゃれではない家電」に対して、そのデザインとブランドで勝負を仕掛けたことに価値があったわけです。
今回のドライヤーは既に「おしゃれである」商品が数多く存在している市場です。
日本でも「髪を乾かす」という本質的な価値よりもパッケージやデザイン、付加価値(マイナスイオンなど)で既に勝負が行われている土俵に上がったわけです。
美容家電は確かに市場規模も大きいですし、付加価値が大きく利幅も大きい市場です。「ダイソン」と言う名前で買ってくれる顧客も存在しているでしょう。
しかし、ある意味ブルーオーシャンで戦ってきた企業がレッドオーシャンに乗り込んできたように私には感じられます。
開発投資やエンジニアを育てることは非常に重要なことで私も賛成したいですが、少なくとも日本の市場でダイソンが求められている価値は違うものだと思っています。
私の分析が外れるよう、健闘をお祈りいたします。(2016/05/02 14:46)

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「ダイソン創業者「今度は美容で女性を驚かす」」の著者

大竹 剛

大竹 剛(おおたけ・つよし)

日経ビジネス記者

2008年9月から2014年3月までロンドン支局特派員。2014年4月から東京に戻り、流通・サービス業を中心に取材中

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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ダイソンの提供する価値は、その性能でも効率性でもなく「おしゃれで素敵な憧れの生活」そのもの以外なにもでもありません。
ダイソンが成功した理由の一つに、掃除機や扇風機など一般的には「おしゃれではない家電」に対して、そのデザインとブランドで勝負を仕掛けたことに価値があったわけです。
今回のドライヤーは既に「おしゃれである」商品が数多く存在している市場です。
日本でも「髪を乾かす」という本質的な価値よりもパッケージやデザイン、付加価値(マイナスイオンなど)で既に勝負が行われている土俵に上がったわけです。
美容家電は確かに市場規模も大きいですし、付加価値が大きく利幅も大きい市場です。「ダイソン」と言う名前で買ってくれる顧客も存在しているでしょう。
しかし、ある意味ブルーオーシャンで戦ってきた企業がレッドオーシャンに乗り込んできたように私には感じられます。
開発投資やエンジニアを育てることは非常に重要なことで私も賛成したいですが、少なくとも日本の市場でダイソンが求められている価値は違うものだと思っています。
私の分析が外れるよう、健闘をお祈りいたします。(2016/05/02 14:46)

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