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防衛装備の移転を「外交のツール」に

2018年5月9日(水)

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 豪州が導入する潜水艦の受注を逸してから約2年が経った。防衛装備の海外移転案件が進む気配はない。日本製の防衛装備を日本安全保障にどう生かすべきなのか。そのため、どのような仕組みを構築するべきなのか。海洋安全保障戦略研究会が提言書をまとめた。佐藤丙午座長に聞いた。

(聞き手 森 永輔)

近く「国際秩序安定化のための『安全保障産業』活用施策」を発表するご予定です。この提言の趣旨は何でしょう。

佐藤:大きく2つあります。第1は防衛装備の海外移転を、日本周辺の安全保障環境の醸成に用いると共に、外交力を高めるツールとして利用できるようにすること。こうした流れは世界的に進んでいます。米トランプ政権も4月19日に通常兵器移転政策を改訂する方針を明らかにしました。武器の輸出を通じて同盟国との関係を強化し、米国の安全保障も高めていこうという方針です。具体的にはドローンの輸出規制を緩和しました。第2は、第1を実現すべく安全保障産業を保護・育成することです。

佐藤 丙午(さとう・へいご)
拓殖大学国際学部教授。専門は安全保障論(軍備管理・軍縮)、国際関係論、米国政治。ジョージ・ワシントン大学大学院、一橋大学博士課程修了。元防衛庁防衛研究所主任研究官。論文に「通常兵器の軍備管理・軍縮」(『海外事情』)、「安全保障と公共性―その変化と進展―」(『国際安全保障』)、「防衛産業のグローバル化と安全保障」(『国際政治』)など。

安倍政権が2014年4月に閣議決定した「防衛装備移転三原則」は、防衛装備の海外移転を、他の国への影響力を高めるなど外交のツールとしての海外移転は認めていませんでした(関連記事「防衛装備移転三原則は絶妙のバランス」)。

佐藤:その通りです。防衛装備移転三原則は①平和貢献・国際協力に資する場合と、②我が国の安全保障に資する場合に、防衛装備の海外移転ができると定めました。

 防衛装備の海外移転を日本の安全保障に生かせるよう政策を転換したものです。これが閣議決定されるまで、武器輸出三原則等によって、武器輸出は原則として禁止されているとの理解が優勢でした。

 一方、防衛装備移転三原則は防衛装備の海外移転について、日本の安全保障に貢献する移転を認めていますが、外交のツールとして活用することは認めていません。私たちはこれを「認めよう」と提言しています。これまで日本は、自身の努力と日米安全保障条約を通じた米国との協力を2本柱に、日本の安全保障環境の安定を確保してきました。

 しかし、環境の変化を受け、インド太平洋地域の各国の政策を日本の利益に沿う方向へ誘導する必要が生じています。例えば、アラブ産の石油を日本へ運ぶためのシーレーンの安全をインドや東南アジア諸国との協力なしに維持することは難しい。これを実現する外交ツールとして防衛装備を利用できるようにするということです。

 日本製の技術や製品をインド太平洋諸国が運用するようになれば、その安定的な補給を絶やさないため、日本との関係に配慮するようになるでしょう。こうした環境を作ることで、日本の外交力を高め、日本の安全保障をより確実なものに近づけることが可能になります。

 インド太平洋諸国との友好関係を築く手段として、これまで日本はODA(政府開発援助)などいろいろな手段を利用してきました。こうした手段の一つに防衛装備の海外移転を加えようという話です。

コメント5件コメント/レビュー

>海外の展示会などを見て回ると、日本企業のプレゼンスの低さに驚かされます。
海外の国債航空宇宙ショーによく見に行きますが
これは全くその通りで当の防錆装備庁すら全然アピールしていません。
何となくビデオを流してパネル展示しているだけ。説明員も誰もいません。
本丸がこんな有様なのでお付き合いする企業も仕方なくお付き合いで来ましたって
体で何しにきたんだろうこの人達は?と見た人は思うでしょうね。
防衛以外の航空分野の企業の展示も同様でステルスモードです。
大金かけて遠路はるばる赴いてこれですか?って感じです。

あと本文の防衛装備品の技術移転って何か売れるものありますか?
潜水艦、P-1,C-2,US-2,10式等あるじゃないかと思われるかも知れませんが、
その中身には外国製の部品やユニットも多数入っている訳で
恐らくメーカに無断では売れないはずでその辺の許可も必要です。
また仕様は輸出仕様を別途作る必要があり仕向地向けのカスタマイズや
メンテナンス、教育などをどうするのかも含めて難しい問題が山積みです。
それともっと技術レベルの低い武器については日本は全くダメダメで
非常に高価な上に技術レベル自体低くて海外メーカには逆立ちしても
コスパで勝てません。しかも何の実績も無いのでタダ同然でも
買い手が有るかどうかです。さらに最下層の小火器に至っては
海外の一級品に比べて3倍~10倍も高いのに性能や品質は劣悪です。
民生品と異なり軍用品については防衛省もいい加減の上、
メーカも数が少なく儲けも無いのでいい加減です。
メイドイン・ジャパンだから何でも良いと思ったら大間違いで
ろくに兵器開発に投資してない防衛省と企業は多少難ありの
装備でも我慢して使います。根底には「戦争は無い、戦場には行かない」
と言うのがありますから。

つまり売り物になる何かが無いと話自体が成立しないのですが。(2018/05/09 17:04)

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「防衛装備の移転を「外交のツール」に」の著者

森 永輔

森 永輔(もり・えいすけ)

日経ビジネス副編集長

早稲田大学を卒業し、日経BP社に入社。コンピュータ雑誌で記者を務める。2008年から米国に留学し安全保障を学ぶ。国際政策の修士。帰国後、日経ビジネス副編集長。外交と安全保障の分野をカバー。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

>海外の展示会などを見て回ると、日本企業のプレゼンスの低さに驚かされます。
海外の国債航空宇宙ショーによく見に行きますが
これは全くその通りで当の防錆装備庁すら全然アピールしていません。
何となくビデオを流してパネル展示しているだけ。説明員も誰もいません。
本丸がこんな有様なのでお付き合いする企業も仕方なくお付き合いで来ましたって
体で何しにきたんだろうこの人達は?と見た人は思うでしょうね。
防衛以外の航空分野の企業の展示も同様でステルスモードです。
大金かけて遠路はるばる赴いてこれですか?って感じです。

あと本文の防衛装備品の技術移転って何か売れるものありますか?
潜水艦、P-1,C-2,US-2,10式等あるじゃないかと思われるかも知れませんが、
その中身には外国製の部品やユニットも多数入っている訳で
恐らくメーカに無断では売れないはずでその辺の許可も必要です。
また仕様は輸出仕様を別途作る必要があり仕向地向けのカスタマイズや
メンテナンス、教育などをどうするのかも含めて難しい問題が山積みです。
それともっと技術レベルの低い武器については日本は全くダメダメで
非常に高価な上に技術レベル自体低くて海外メーカには逆立ちしても
コスパで勝てません。しかも何の実績も無いのでタダ同然でも
買い手が有るかどうかです。さらに最下層の小火器に至っては
海外の一級品に比べて3倍~10倍も高いのに性能や品質は劣悪です。
民生品と異なり軍用品については防衛省もいい加減の上、
メーカも数が少なく儲けも無いのでいい加減です。
メイドイン・ジャパンだから何でも良いと思ったら大間違いで
ろくに兵器開発に投資してない防衛省と企業は多少難ありの
装備でも我慢して使います。根底には「戦争は無い、戦場には行かない」
と言うのがありますから。

つまり売り物になる何かが無いと話自体が成立しないのですが。(2018/05/09 17:04)

安全保障産業の司令塔は内閣に、との御主張である。
なぜか国会が出て来ない。
国会には、関与する体制、能力が無い、とお考えでしょうか?(2018/05/09 13:28)

正直、潜水艦技術の移転は周辺装備の輸出と違って、最高機密分野であり、それを真っ先に技術もろとも輸出するという事に驚いた。リニア技術のアメリカへの無償移転の話といい、安倍さんのなりふり構わない無頓着な技術輸出の政策は、国家戦略上よろしくない。というのが技術屋周辺での評価じゃないでしょうかね。(2018/05/09 12:01)

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