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元エバーノートCEO「AIスタジオ」設立の真相

連続起業家、フィル・リービン氏の新たな野望(後編)

2017年5月18日(木)

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 イノベーションを促すべき起業支援の仕組み自体が、実はイノベーションの阻害要因になっている──。

 2015年7月にクラウド文書管理サービスを提供するエバーノートのCEO(最高経営責任者)を退任したフィル・リービン氏。その後に転身した米ベンチャーキャピタルで働く中で、現在のスタートアップ・エコシステム(スタートアップを育む環境、生態系のこと)は深刻な構造問題を抱えていることに気付いた(詳細は前編 を参照)

 今年5月、リービン氏はこの問題を解決するための新会社All Turtles(オール・タートルズ)を創業した。事業領域は、起業支援だが、従来のベンチャーキャピタルやインキュベーター(企業経営や事業育成をサポートする事業者のこと)とは一線を画すと言う。その特徴を表すキーワードは2つ、「プロダクト・ファースト(製品第一主義)」と「スタジオ」。リービン氏に、同社の描く起業支援を聞いた。

(聞き手は伊藤健吾=日経BP社出版局)

フィル・リービン(Phil Libin)氏
オールタートルズファウンダー&CEO(最高経営責任者)、ゼネラル・カタリスト・パートナーズシニア・アドバイザー。1972年、ロシア生まれ。幼少期にニューヨークに移住。ソフトウェアエンジニアでありながら、2社のインターネット企業を創業するなど、連続起業家として頭角を現す。2007年、インターネット上に文書などを保存・共有するクラウドサービス『Evernote』を開発・提供するエバーノートのCEOに就任。全世界で約1億5000万ユーザーが利用するサービスに育てた後、15年7月にCEOを退任。その後は同社の会長職を兼務しながら、米ベンチャーキャピタルのゼネラル・カタリスト・パートナーズに参画する。日本食を愛してやまない日本通でもある。(写真:的野弘路、以下同)

新会社のオール・タートルズとは、どんな会社なのでしょうか?

リービン:端的に言えば、起業家精神を持つ人々を、製品開発面を中心に支援していく、プラットフォームです。最初はAI(人工知能)領域に的を絞って製品開発を支援していきます。

 私は新しいことを始める時、取り組みの象徴となる短いスローガンを考えるのが好きなんですね。ちょうど10年前、エバーノートを創業した時は、「リメンバー・エブリシング(すべてを記憶する)」というスローガンを掲げました。

 今回、オール・タートルズを立ち上げる際に掲げたスローガンは、「プロダクト・ファースト」です。

 世の中には、何かしらの課題を「製品」を作ることで解決したいと考えている起業家候補がたくさんいます。しかし現実には、彼らが実際に起業し、会社を運営するようになると、さまざまな非効率に悩まされます。

 その証拠に、私がイベントに出ると、他の起業家から受ける質問や相談の99%がこんな内容でした。

  •  「投資家を口説くにはどうすればいい?」
  •  「良い人を採用するにはどうすればいい?」
  •  「社員のやる気を引き出すにはどうすればいい?」

 製品開発そのものについての相談は、実はあまりないんです。会社運営で直面する問題の方がより悩ましいし、失敗の原因にもなりやすいからでしょう。

 繰り返し同じ質問を受けているうちに、私はここに素晴らしいプロダクトを生まれにくくしている問題があるのではないかと考えるようになりました。起業家は、プロダクト・ファーストで製品を作り広めることにもっと集中できる環境を必要としているのではないかと。

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「元エバーノートCEO「AIスタジオ」設立の真相」の著者

伊藤 健吾

伊藤 健吾(いとう・けんご)

日経BP社出版局

ビジネス&転職情報誌『type』や『エンジニアtype』、就活生向け情報誌『type就活』を経て2011年にWebマガジン『エンジニアtype』の初代編集長。2017年に退職、日経BP社へ。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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