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アベノミクスは世界史上、類を見ない試み

「帳簿の世界史」著者が語る、債務圧縮は空論より実行を

2015年7月6日(月)

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 日本の財務官僚の間で今、静かなブームになっている本がある。「帳簿の世界史」。南カリフォルニア大学・ジェイコブ・ソール教授の近著で、ルネサンス期のイタリアからリーマン・ショックまで、700年に及ぶ財務会計の歴史をたどった力作だ。

 700年の帳簿の歴史に照らして、アベノミクスで異次元緩和を続ける現代日本はどう見えるのか。ソール教授に聞いた。

(聞き手は大西康之=編集委員)

本の冒頭に革命前夜のフランスが出てきます。絶対的な権力を握ったフランスのルイ14世はコルベールという財務総監が複式簿記で書いた帳簿を持ち歩くほど財務に熱心だった。
 しかしコルベールの死後、ルイ14世は帳簿への関心を失い、フランスは財政破たんへの道を歩き始める。それがフランス革命につながったと指摘しています。こうした歴史に照らし、世界一の債務を抱えた今の日本をどう見ますか。

ソール氏:先進国は巨額の国債を発行しても、何とか財政を維持することができます。18世紀のイギリスがまさにそうでした。しかしそれはあくまで、大英帝国が世界経済を支配し、英国経済が成長を続けていた期間に限られます。

ジェイコブ・ソール(Jacob Soll)氏
南カリフォルニア大学教授。1968年ウィスコンシン州生まれ。歴史学と会計学の専門で、会計の視点から近代国家の起源を探る研究を続けている。米「ニューヨーク・タイムズ」などに連載を持ち、著書にルイ14世の財務総監コルベールによる改革を描いた「The Information Master」などがある。

 日本は今、低成長と少子高齢化という難しい状況に直面しています。日本にとっての救いは、政治的に安定し、さらなる経済成長が期待できるアジアという地域の中に国があることです。簡単ではありませんが、もし日本が高度な人材の集積地になれば、それが解決の糸口になるかもしれません。

 しかし、日本の債務は非常事態と言えるほど巨大で、今すぐ社会全体で具体的なアクションを起こさねばなりません。一番やってはいけないのは、空論を振りかざして難局を乗り切ろうとすることです。日本が今すべきは、実現可能なプランを立て、ものすごくクリエイティブに、かつ迅速にそれを実行することです。

安倍政権と日本銀行は異次元の金融緩和と財政出動による「アベノミクス」を実施しています。世界の財務会計の歴史にこのような例はあるのでしょうか。

2015年4月8日発行の「帳簿の世界史」(文藝春秋)。Jacob Soll(原著)、村井章子(翻訳)

ソール氏:そのような例を私は知りません。安倍政権は緊縮政策なしで日本経済をジャンプスタートさせようとしています。まず経済成長があり、それによって税収が増え、一定のインフレが発生して巨大な債務の返済が楽になる、というシナリオでしょう。

 理にかなっているようにも見えますが、低成長で高齢化が進む社会ではおのずと効果は限られます。繰り返しますが、空論で解決しようとするのではなく、実際にクリエイティブな産業を起こし、人口を増やし、経済を成長させる地道な努力を続けるしかないのです。若者は創造性をもたらします。

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「アベノミクスは世界史上、類を見ない試み」の著者

大西 康之

大西 康之(おおにし・やすゆき)

ジャーナリスト

日本経済新聞産業部記者、欧州総局(ロンドン)、日経ビジネス編集委員、日本経済新聞産業部次長、産業部編集員などを経てフリーのジャーナリストに。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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