• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

自動運転時代到来で、自動車市場は急拡大する

名古屋大学COI未来社会創造機構客員准教授の野辺継男氏に聞く

  • 伊藤元昭=エンライト

バックナンバー

2017年9月22日(金)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 実用化に向けた取り組みが加速している自動運転車や電気自動車は、単なる技術革新ではない。その実用化は、クルマという工業製品の存在価値自体を一変させ、自動車ビジネスの大変革をもたらすことになるだろう。

 一方で、国内外の自動車産業の関心は、自分だけの愛車を持ちたいという所有欲を満たすビジネスから、社会が求める理想的な人やモノを運ぶ手段を提供するビジネスへと、徐々に移りつつある。これに伴って、自動車産業で生み出す価値の源泉が、ものづくりの巧拙からモビリティーサービス体験の質へと移ってきた。

 自動車産業、特に日本の自動車産業は完成車メーカーを頂点とした系列企業を従えた階層的ピラミッド型業界構造を採ってきた。これは、極めて複雑な機械製品であるクルマを、効果的かつ効率的に作り上げるために最適化した業界構造だった。ところが今、人工知能(AI)やネットワークなど系列企業にはない技術が、クルマの性能や品質を大きく左右する時代になった。そのうえで、クルマの商品価値自体を再定義する必要に迫られている。自動車ビジネスのかたちは、大きく変貌しないはずがない。

 自動運転車の実用化に伴う、自動車ビジネスと業界構造の変化について、名古屋大学 COI 未来社会創造機構 客員准教授 野辺継男氏に聞いた。独自仕様パソコン「PC-98」全盛期のNECで世界標準のAT互換機を事業化、その後は国内最大級のオンラインゲーム会社の立ち上げ、日産自動車ではテレマティックサービスを統括するなど、時代を先取りする異色の経歴を持つ同氏が、次世代の自動車ビジネスの姿について大いに語った。

君子豹変する欧米メーカー

世界中の自動車メーカーが、自動運転車の開発を加速させています。数年前までは、グーグルによる自動運転車開発を傍観していたように見えたのですが、なぜ急展開しているのでしょうか。

野辺 継男氏(のべ・つぐお)氏
1983年早稲田大学 理工学部 応用物理学科卒業、日本電気入社。パソコン事業に関連した海外事業、国内製品技術、及びソリューション事業関連で国内外の各種プロジェクト立ち上げ(放送関連や各種インターネット利用技術等に関する商品企画及び新事業開拓)。88年ハーバード大学 ビジネススクール留学、同大学 PIRPフェロー。2000年同社退職後、オンラインゲーム会社立ち上げを含む複数ベンチャーを立ち上げ、CEO歴任。04年日産自動車入社。チーフサービスアークテクト兼プログラム・ダイレクターを経て、12年同社を退社し、インテル入社。名古屋大学 COI 未来社会創造機構 客員准教授も務める。

野辺氏:確かに、欧米の自動車メーカーは自動運転時代の到来を見据え、ビジネスの変革を急いでいます。特に昨今のディープラーニング開発の急伸もあり、グーグルがこれまで注力してきたような「人間が運転に全く介在しない完全自動運転」の実現性が高まったと見ているためです。

 実際、カリフォルニア州自動車両局( Department of Motor Vehicles:DMV)に報告されているグーグル/ウェイモのデータからは、自動運転車の開発達成度が急激に高まっていることが読み取れます。公道上での自動運転試験中は、危険が予測された場合のみドライバーが運転に介入します。2015年のデータでは平均1244マイルに1回の介入であったものが、2016年には平均5000マイル以上の走行に対して1回だけだったことが示されており、ある範囲で人間の運転能力を超えた可能性を示しているとも言えます。

 自動車メーカーも、自動ブレーキなど先進運転支援システム(ADAS)の開発を通じて、クルマの自動化を段階的に進めてきました。しかし、グーグルが自動運転の開発に投入したディープラーニング(深層学習)技術による認識能力や強化学習の威力は、自動車メーカーの予想をはるかに超えていたのです。指数関数的に進歩するICTの高度化に伴い、今後2、3年間でソフトウエアの運転能力の精度がさらに高まり、完全自動運転の商用化が加速される可能性が極めて高い状況になっています。

 自動運転車が自社以外の企業、しかも他業界の企業の手で実現されることは、自動車メーカーにとって看過できない事態です。完全自動運転になると、自動車ビジネスの構造が一変し、技術や製品の開発で主導権を取れなくなる可能性があります。そうした可能性に気づいた欧米の自動車メーカーは既存自動車ビジネスの危機ととらえ、ビジネスモデルの急展開に走っています。

 さらに米国では政府もこうした自動車産業の変革期に急速な動きをみせています。9月6日、米国議会下院で、超党派の支持を得て自動運転法(Safely Ensuring Lives Future Deployment and Research In Vehicle Evolution Act)と呼ばれる法案が通りました。今後上院を通過し大統領の署名を得れば、人が全く運転に関与しない完全自動運転車とそれを利用するモビリティーサービスの商用試験が今後1、2年で全米に急拡大する可能性があります。この背景には、完全自動運転というクルマとICTの融合を絶好の機会と捉え、もう一度米国の自動車産業を世界一にしようという期待があると見られています。

コメント11件コメント/レビュー

最終段落についてですが、完成車メーカーは国内のディーラーにモビリティーの役割を担ってもらう可能性があるとのことでした。その場合、完成車メーカーはディーラーよりも発言権が劣ることになりそうですが、完成車メーカーはそれを分かった上で任せるのでしょうか?(2017/10/30 22:04)

「インタビュー」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

最終段落についてですが、完成車メーカーは国内のディーラーにモビリティーの役割を担ってもらう可能性があるとのことでした。その場合、完成車メーカーはディーラーよりも発言権が劣ることになりそうですが、完成車メーカーはそれを分かった上で任せるのでしょうか?(2017/10/30 22:04)

◯完全自動運転が実現すると、都市部の人々は自家用車を買わなくなって、自動運転のタクシーを使うようになる。
◯都市部では商用地でも住宅地でも駐車場が不要になるので、大量の空き地が出現。土地の有効活用が進む。
◯現状の自家用車の稼働率は数%で、ほとんどの時間は駐車場に置いていあるだけだが、自動運転のタクシーはメンテナンス時間を除けば100%稼働できる。人の移動ニーズが変わらなければ、必要とされる車両の数は10分の1以下になる。
◯コンピュータ管理の実用的なライドシェアが進めば、さらに必要台数は減る。道路の渋滞も減らせる。
◯全自動運転車が主流になれば、人間が運転する車との混合交通は危険である。安全性の面から都市部では人間の運転は禁止されるのではないか?
◯モビリティサービスの提供企業とは、要するに全自動運転の車両を大量に使うインテリジェントなタクシー会社である。既存の企業が「モビリティサービスの提供企業」に進化するとすれば、自動車メーカーよりも、タクシー会社やレンタカー会社、物流企業、鉄道会社のほうが有力候補ではないか?
◯全自動運転車の技術は、自立して移動するロボットに使える。自動車会社が生き延びるとすればこちらの方向ではないか?
◯応接間、会議室、寝室、ホテル、レストラン、カラオケルームなど、従来建築物が担っていた機能の一部を担う全自動運転車が増えるのではないか?
◯自動運転車を住居として使うライフスタイルが生まれるのではないか?(2017/09/23 15:02)

たとえ安全が100%確保できたところで移動中の車で熟睡できる方の方が少数派でしょうし、車の幅は大きくなり素材も特殊なものを用いて値段もアップする。地震の被災地では余震を恐れて車内で長時間眠ることで健康状態が悪くなる人もいるというのに、現地ではフルに能力を発揮して貰わなければならない出張需要等で使うかなぁ?
今でもホテル代を節約したい人は夜間高速バスを利用しているだろうし、睡眠の質を確保したい方は前もって移動してホテルを利用する。自動運転が普及しても人間の欲望には勝てず、ホテルの需要減は限られると思います。(2017/09/22 18:13)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

「タイム・トゥ・マーケット」で売らないともうからない。

栗山 年弘 アルプス電気社長