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パリのテロで、プーチンとアサドが漁夫の利も

2015年11月16日(月)

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 11月13日夜、パリで約130人が死亡するテロ事件が起きた。中東の過激派「IS」(イスラム国)が犯行声明を出し、欧米諸国によるIS支配地域への空爆に対する報復であることが明らかになった。なぜ今、パリが狙われたのか。停滞するシリア停戦協議にどのような影響を及ぼす可能性があるのか。国際政治アナリストの菅原出氏に聞いた。

(聞き手は森 永輔)

11月13日、金曜日の夜。仏パリでサッカースタジアムやコンサートホール、レストランなど少なくとも8カ所を対象とする同時多発テロが起きました。約130人が死亡、約300人がけがを負いました。菅原さんは今回の事件のどこにいちばん注目していますか。

菅原 出(すがわら・いずる)氏
国際政治アナリスト。1969年、東京生まれ。中央大学法学部政治学科卒。94年よりオランダ留学。97年アムステルダム大学政治社会学部国際関係学科卒。国際関係学修士。在蘭日系企業勤務、フリーのジャーナリスト、東京財団リサーチフェロー、英国危機管理会社役員などを経て、現在、国際政治アナリスト。会員制ニュースレター『ドキュメント・レポート』を毎週発行。

菅原:2つあります。1つは、ISにシンパシーを感じテロを起こそうとする層の裾野が非常に大きく広がっていることです。フランス当局は非常に優れた警備力を持っています。1月に仏出版社、シャルリーエブドのオフィスが襲撃されたのを機に、警戒の度を高めていました。1月以降、未然に防いだテロ事件がいくつもあります。

 それにもかかわらず今回は防ぐことができなかった。それは監視しなければならない対象があまりに多くなったからです。当局がいくら注意しても注意しきれないレベルに達した。

 もう1つは、今回の事件が組織的犯行であること。多くの人間が関わって、複数の場所を同時に襲撃しました。昨年12月にオーストラリアでカフェが襲われた事件は、ローンウルフ(イスラム過激思想に感化された個人)によるものでした。それが組織による行動に移った。脅威レベルを上げる必要があります。

ISは、フランスがIS支配地域への空爆に参加したことへの報復であることを明らかにしています。

菅原:そうですね。これは非対称ではあるけれども、戦争なのです。欧米諸国がIS支配地域を空爆する。ISは同様の手段で反撃することはできないけれども、テロによって報復する。一方が「やれば」、もう一方は必ず「やり返す」のです。フランスのオランド大統領が今回のテロを「戦争行為」と表現しました。まさに、その通りなのです。

ISは成功の確率が高い方法を選んだ

IS支配地域への空爆に参加しているのはフランスだけではありません。フランスが狙われたのはなぜでしょう。

菅原:フランスは欧州諸国の中でムスリム人口が多いのです。移民してきたムスリムの2世や3世の中には、厳しい生活状況の中で「報われない」と不満を抱く人がたくさんいる。こうした若者の中から、ISにシンパシーを感じる者が生まれます。ISに加わる若者の数は、欧州諸国の中でフランスが断トツに多いのです。

コメント8件コメント/レビュー

完璧な警備体制でも「監視しなければならない対象があまりに多くなった」為にカバーしきれなくなった、という事はショッキングだ。また、この殺し合いが米露IPの「成果をアピール」合戦の結果だと聞くと、再びショックを受ける。「自分たちの方がすごい!」と他方を殺し合っているとは呆れて物も言えないが、これが実態なのだと思う。地球上の争い事の多くは富を自分達が独占しようとするグループ間の陣取り合戦だ。「我々の主張が正しい事は過去の歴史が証明している」なんて主張をする国があるが、これは正義の所在とはかかわりなくより力が強かった者が争いに勝ち、勝った側が「自分達が正義」と主張しているだけの話である。第二次大戦の敗戦国である独伊日も結果として勝者になっていれば民衆に多くの苦難を押し付ける事もなかったであろうし、米英を中心とした連合国側は「欲の深い国々」とでも形容されていた事だろう。戦前政府によって行われた多くの非人道的な行為は負け戦が濃厚になるにつれ酷いものになっていったに違いない。明治維新以来使われる表現である、「勝てば官軍負ければ賊軍」は言い得て妙である。西側から悪者扱いされているロシアによるクリミヤ独立/併合も、考えようによっては元々ロシア民族が過半数を占めるクリミヤがソ連崩壊時にウクライナに組み込まれた事が間違いだったのかも知れないし、あのままウクライナの一部に留まった場合にウクライナから受ける差別などが起こらない保証は全くない。プーチンも、狙っているのは勝って官軍になる事だ。世界の争い事の殆どは自分達の分け前を増やす事を目的としており、だからこそ国民の支持を得やすいとも言える。日露戦争に日本が勝利した時に日本がロシアから得たものが民衆の期待値よりも低かったため、暴動に近い騒ぎになった事はほんの一例にすぎない。中国はその欲望を隠そうともせず、国際法の規定さえも無視して自己主張を繰り返している。皆、同じ事だ。(2015/11/16 15:17)

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「パリのテロで、プーチンとアサドが漁夫の利も」の著者

森 永輔

森 永輔(もり・えいすけ)

日経ビジネス副編集長

早稲田大学を卒業し、日経BP社に入社。コンピュータ雑誌で記者を務める。2008年から米国に留学し安全保障を学ぶ。国際政策の修士。帰国後、日経ビジネス副編集長。外交と安全保障の分野をカバー。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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いただいたコメント

完璧な警備体制でも「監視しなければならない対象があまりに多くなった」為にカバーしきれなくなった、という事はショッキングだ。また、この殺し合いが米露IPの「成果をアピール」合戦の結果だと聞くと、再びショックを受ける。「自分たちの方がすごい!」と他方を殺し合っているとは呆れて物も言えないが、これが実態なのだと思う。地球上の争い事の多くは富を自分達が独占しようとするグループ間の陣取り合戦だ。「我々の主張が正しい事は過去の歴史が証明している」なんて主張をする国があるが、これは正義の所在とはかかわりなくより力が強かった者が争いに勝ち、勝った側が「自分達が正義」と主張しているだけの話である。第二次大戦の敗戦国である独伊日も結果として勝者になっていれば民衆に多くの苦難を押し付ける事もなかったであろうし、米英を中心とした連合国側は「欲の深い国々」とでも形容されていた事だろう。戦前政府によって行われた多くの非人道的な行為は負け戦が濃厚になるにつれ酷いものになっていったに違いない。明治維新以来使われる表現である、「勝てば官軍負ければ賊軍」は言い得て妙である。西側から悪者扱いされているロシアによるクリミヤ独立/併合も、考えようによっては元々ロシア民族が過半数を占めるクリミヤがソ連崩壊時にウクライナに組み込まれた事が間違いだったのかも知れないし、あのままウクライナの一部に留まった場合にウクライナから受ける差別などが起こらない保証は全くない。プーチンも、狙っているのは勝って官軍になる事だ。世界の争い事の殆どは自分達の分け前を増やす事を目的としており、だからこそ国民の支持を得やすいとも言える。日露戦争に日本が勝利した時に日本がロシアから得たものが民衆の期待値よりも低かったため、暴動に近い騒ぎになった事はほんの一例にすぎない。中国はその欲望を隠そうともせず、国際法の規定さえも無視して自己主張を繰り返している。皆、同じ事だ。(2015/11/16 15:17)

ロシアも旅客機が墜落しただけでは済まないでしょうから、アサド共々、漁夫の利は難しそうです。(2015/11/16 14:37)

欧州や米国など、イスラム教国以外の外国にあるムスリムコロニーの中核であるモスク。そこでは、イスラム教国から神学者が派遣されて説教するのだが、過激な排外思想やイスラム至上主義を吹き込む輩が少なくない。非イスラム国でストレスを感じてる若者には、その種の説教は耳に心地好い。そこから過激思想に傾倒する者も多いという。わが国でも、要注意だ!(2015/11/16 14:19)

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