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日本を「スポーツのメッカ」に育てる

野村総合研究所の石井宏司・上級コンサルタントに聞く(後編)

2015年12月2日(水)

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 ラグビーワールドカップや東京オリンピック・パラリンピックなどのビッグイベントを前に盛り上がりを見せるスポーツビジネス。持続的に発展し得る産業としてどう育成すべきか。引き続きスポーツをテーマとした新規事業のコンサルティングを手掛ける石井宏司・野村総合研究所経営コンサルティング部上級コンサルタントに話を聞く。

 見る者を魅力するタレントの養成、学校の授業として行われている体育の改善、日本が憧れの舞台となるような競技の育成、ごく基本的な顧客マーケティングの実践…。様々な課題が浮き彫りになった。

 石井氏は、日経BP社が12月4日に初めて開催するスポーツビジネスのシンポジウム「Sports Innovation Summit 2015」の2つのパネルディスカッションでモデレーターを務める。

(聞き手は中野目純一、構成は小林佳代=ライター/エディター)

(写真=長田洋平/アフロスポーツ)

前編から読む)

人口減少が進む日本は将来、観光産業を育て、インバウンド需要を拡大していかなくてはなりません。その目玉、誘引するコンテンツの1つとしてスポーツビジネスを育てていきたいところですが、具体的にはどうするのがよいのでしょうか。既存のプロ野球やJリーグに一層の力を注げばいいのか。あるいはほかのやり方があるのか。どうお考えですか。

石井:スポーツ産業を育成する上で絶対に欠かせない要素はタレントです。つまり選手。イチローやダルビッシュ有のような存在です。スポーツの世界に言葉はいりません。見る者を魅了するような選手をいかに生み出すかが問われます。

 日本の場合、明治時代にスポーツが欧米から学校の体育という形で入り込んできたという歴史があります。学校教育としての体育と、今説明したようなスポーツ産業において価値あるコンテンツを生み出す選手づくりというのは、必ずしもベクトルは一致しない。戦略的にタレントを生み出す仕組みが全くできていないというのは大きな問題です。

確かにサッカーにしても野球にしても、スポーツにおいて体育の力、影響というのは非常に大きいですね。以前はプラスの面もあったけれど、今はマイナスに働いているところもあるように感じます。

石井宏司(いしい・こうじ)氏
野村総合研究所経営コンサルティング部上級コンサルタント。1997年東京大学大学院教育開発学コース修了後、リクルートに入社。IT(情報技術)、オンラインコミュニティー、教育、地域活性化、キャラクタービジネスなどの分野で新規事業の立ち上げに関わる。2009年より野村総合研究所経営コンサルティング部にて各社の新規事業のコンサルティングに従事。各社や各分野で、スポーツや都市再生というテーマでの新規事業の支援をしている

石井:スポーツが学校教育の一環として取り込まれてきた今までは、例えば野球ならば高校球児の間では甲子園で優勝することが究極の目標になっていました。米メジャーリーグでは日本の野球選手が高校野球で酷使されることでタレントがつぶされていることが問題提起されています。こういう構造を何とかしなくてはいけません。

難しい問題ですね。どう解決していけばよいのでしょう。

石井:重要な役割を果たす存在になると考えているのが、発足したばかりのスポーツ庁です。

 実はイギリス、オーストラリア、カナダなどにはスポーツ省などスポーツを担当する省庁が既にあります。背景にあるのは、国家が成熟する中、経済が豊かになり、国民が幸せになるためにスポーツを経済的にも政治的にもどう活用するかを考え直し、新たな政策や戦略に生かしていこうという意図です。

 省庁が中心となって全体最適になるようにスポーツの世界を導いていくというのは有意義な取り組みだと思います。日本でもこれから、スポーツ庁が中心となって、体育を日本にとって有益なスポーツにしていかなくてはなりません。

体育を有益なスポーツにするためのポイントは?

石井:第1に安心・安全面。中学、高校の部活でのけがが非常に多い。安心・安全にスポーツができるような環境整備、指導法を確立しなくてはなりません。

 第2に体育嫌いを減らすこと。授業の中で体育が嫌いになり、スポーツ嫌いになってしまう生徒がいます。特に中高生女子はここから運動習慣を失うケースも多い。もう少し、誰もがスポーツを楽しめるような指導法を学校に導入していく必要があります。どんなにスポーツ産業界が努力しても、学校がスポーツ嫌いを生み出しているようではビジネスを広げることは難しいですから。

 実はオーストラリアのスポーツ省は、ホームページにスポーツ嫌いにならないためのプログラムのマニュアルをたくさん載せています。学校の先生が登録をすると、それらのマニュアルを見られるようになっている。

 日本でも、そういうものを整備していくことも必要でしょう。また学校において、スポーツの楽しみの教え方に長けたスポーツ普及員、スポーツファシリテーターのような方が増えていくとだいぶ変わるのではないかと思います。

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「日本を「スポーツのメッカ」に育てる」の著者

中野目 純一

中野目 純一(なかのめ・じゅんいち)

日経ビジネス副編集長

2012年4月から日経ビジネス副編集長。マネジメント分野を担当し、国内外の経営者、クリステンセン、ポーター、プラハラードら経営学の泰斗のインタビューを多数手がける。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官