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米税制改革、日本企業に悪いことはほとんどない

およそ30年ぶりの大規模改革、その影響を専門家が斬る!

2017年12月26日(火)

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連邦法人税率の大幅な引き下げなどを柱にした税制改革法案が米上下両院を通過、およそ30年ぶりの税制改革が実現した。今回の税制改革が日本企業にどういう影響を与えるのか。アーンスト・アンド・ヤングの秦正彦パートナーに話を聞いた。

(聞き手は日経ビジネスニューヨーク支局、篠原匡)
税制改革法の成立式典に臨むポール・ライアン下院議長(最前列左)とオリング・ハッチ上院財政委員会委員長(同右)(写真:UPI/アフロ)

米国で税制改革法が成立しました。およそ30年ぶりの税制改革になります。まずは率直な感想をお聞かせください。

秦正彦・アーンスト・アンド・ヤング・パートナー(以下:秦):25年前に米国で税務コンサルタントを始めて以来、ここまで大規模な税制改革はありませんでした。慣れ親しんだ「Internal Revenue Code of 1986」(内国歳入法1986年版)と別れを告げるのはなかなか感慨深いものがあります。

秦正彦(はた・まさひこ)氏
アーンスト・アンド・ヤング・パートナー
専門は法人税、パススルー課税、クロスボーダー取引、企業再編、外国人を対象とした米個人所得税、タックス・プロビジョンなど。25年以上にわたり日本企業の海外事業に対して国際税務コンサルティングを提供している。弁護士(米カリフォルニア州)と公認会計士(カリフォルニア州、ニューヨーク州)の資格を持つ

中身についてはどうでしょうか。

:米国の連邦法人税率は35%と他の先進国と比べてかなり高い水準にありました。それが21%に減額されるというのはかなり大きなインパクトだと思います。

 また、米国は海外子会社の利益を配当として持ち帰る際に課税する全世界所得方式を採用してきました。これが、世界標準とも言えるテリトリアル課税に移行することがようやく決まりました。移行期の一時課税(8~15.5%)はありますが、海外子会社からの配当が非課税になるというのは大きな変更です。

 こういった大規模な税制改革にもかかわらず、これだけの短期間に法案成立までこぎ着けたのは特筆に値すると思います。

 ポール・ライアン下院議長や下院歳入委員会のケビン・ブレイディ委員長はクリスマス前の法案成立、年内署名というスケジュールで進めてきましたのでスケジュール通りといえばその通り。ただ、そのスケジュールが極めて野心的で、10月末のハロウィン段階では誰もが年内成立はまず無理と考えていました。オバマケアの撤廃に失敗して後がない状況だったのは確かですが、わずか1~2カ月でよくやったな、と思います。ライアン下院議長は税制改革が宿願でしたので、達成感があるのではないでしょうか。

日本企業に悪影響はない

日本企業への影響という点はどうでしょう。

:端的に言って、日本企業に悪いことはほとんどないと思います。法人税率が大幅に引き下げられるだけでなく、2000年代前半から景気浮揚策として時限立法的に実施された設備投資減税の拡充がそのまま残りますし、R&D(研究開発)に対する控除も廃止されることなく残りました。アップルのように海外に埋蔵金をため込んでいる企業は別でしょうが、米国に置いた関連法人の傘下にある米国外子会社に、あえて利益を貯め込んでいる日本企業はほとんどないので、全体として影響は限定的と言えます。

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「米税制改革、日本企業に悪いことはほとんどない」の著者

篠原 匡

篠原 匡(しのはら・ただし)

ニューヨーク支局長

日経ビジネス記者、日経ビジネスクロスメディア編集長を経て2015年1月からニューヨーク支局長。建設・不動産、地域モノ、人物ルポなどが得意分野。趣味は家庭菜園と競艇、出張。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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