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西友から見たウォルマートの強みは一貫性

「仕組みを知って『すごいなあ』と思いました」

2016年4月25日(月)

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平林浩美・西友執行役員SVP 情報システム本部・GBP・PMO(右)と日高信彦・ ガートナー ジャパン代表取締役社長(写真:的野 弘路、以下同)

「人とデジタルの力を活用して、お客様のためにもっと尽くそう」。米ウォルマート・ストアーズのダグ・マクミロンCEO(最高経営責任者)は社員にこう語っているという。売上高で世界最大の企業であるウォルマートはIT(情報技術)利用の先進企業としても知られてきた。日本では子会社の西友を通じてビジネスをしている。西友の情報システム責任者である平林浩美執行役員SVP(シニアバイスプレジデント)に、IT利用や日米間の協業について尋ねた。平林氏はウォルマートにおいて「ビジネスモデルとITが一体化され、一つの思想、哲学になっている」と語る。
(構成は谷島宣之=日経BPビジョナリー経営研究所研究員、中村建助=日経コンピュータ/ITpro編集長)

日高:西友のCIO(最高情報責任者)である平林さんの名刺を拝見すると「執行役員SVP 情報システム本部・GBP・PMO」と書かれています。SVPはシニアバイスプレジデントだと思いますが後の二つは何の略でしょうか。

平林:GBPはグローバルビジネスプロセスの略です。我々はウォルマート・ストアーズの傘下にあり、ウォルマートのビジネスプロセスを取り入れています。ウォルマートは世界中で小売業を展開していますけれども、商品を取引先から仕入れ、物流センターから店に運び、陳列して売る、こうした基本のビジネスプロセスは世界中一緒です。

 基本プロセスは一緒なのですが、その上で各国が工夫しており、良いやり方、いわゆるベストプラクティスがあればお互いに学び合おうという活動をしています。それを担当する部門がGBPです。

 PMOはプログラムマネジメントオフィスあるいはプロジェクトマネジメントオフィスの略で、これはその名の通り、プログラムやプロジェクトの調整をする部門です。何か重要な取り組みを複数部門を交えてクロスファンクションで進めようとしたとき、調整役というか指南役というか、そういう役割を担います。

 店舗だけではできない、物流センターだけでもできない、そういう案件があったとすると、複数の部門が協力しなければならないわけです。ただし、ファンクション同士は利害が相反することがあり、なかなかストレートに協力しにくい場合もあります。そこにPMOが入って、共通の目的を明確にし、各ファンクションを巻き込んでプロジェクトを進める。こういうやり方をしようと決めています。

日高:情報システム部門は全社の情報を持っていますから、複数の組織を横断して見ることができ、GBPやPMOの活動も担えるというわけですね。どちらもビジネス寄りの仕事で、必ずしもITの仕事とは限りませんね。今、何人くらいで動かしているのですか。

平林:ウォルマートや我々のビジネスプロセスと、ITは不可分なのですが、おっしゃる通り、GBPにしてもPMOにしても、取り組む案件にITがほとんど絡まないときもあります。私の部門は全部で60人ほど、GBPとPMOも含めてです。

日高:世界の企業の動きを見ていると、ビジネスプロセスのオーナーシップを持つ情報システム部門が結構出てきていますね。プロセスのデザインについてもシステム部門がリードして、関係する各部門を巻き込んで進めていく。クロスファンクションの活動をしようとすると、これが一つの進め方になるわけです。その上でデータを分析する役目もシステム部門に任せたりする。

平林:はい、GBPの中にアナリティクスの担当者を置いています。

日高:データはビジネスプロセスから出て来る。それを情報システムで管理する。プロセスとITの両方を持つシステム部門がアナリティクスにも責任を持つのは当然でしょう。まさに平林さんのところはシステム部門の最新の姿を体現されていますね。

 今回はウォルマートと西友のIT戦略、それから両国で異なる歴史と企業文化を持つ企業が連携して仕事をしていくときの苦労談を伺いたいと思っています。その前に一つ質問があります。西友の業績は今、どうなのでしょう。非上場企業になったので開示義務はなくなっているわけですが。

平林:既存店における売り上げの伸びを開示しています。完全子会社になって、ウォルマートのEDLP(エブリデイロープライス)というやり方を日本で徹底するようになったのは2008年ですが、2009年から前年同期比でプラスに転じ、2013年は前年がうるう年ということで若干のマイナスとなりましたが、それ以外は全部プラスで来ています。

「正直、ウォルマートのシステムはすごいです」

日高:なるほど。ウォルマートといえば、売上高が世界一の企業であると同時に、IT利用の先進企業としても知られ、メディアにもよく登場していました。しかし、ここへ来てアマゾン・ドット・コムのような、会社そのものがITであるような企業が小売業に参入し、業界を揺るがせています。

 そうした中で、実際のところ、ウォルマートそして西友の状況、そして情報システムやITはどうなのでしょう。グループの中にいる平林さんはどう見ていますか。

平林:正直、ウォルマートの情報システムはすごいです。私がウォルマートの人間ではなくてもそう言うはずです。2002年に業務提携の話が来て、ウォルマート側とやり取りする中で色々分かってきたとき、「すごいなあ」と思いました。「どこがですか」と聞かれたら、一貫性と答えます。ビジネスモデルに対する一貫性。それは今でも維持されています。

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「西友から見たウォルマートの強みは一貫性」の著者

谷島 宣之

谷島 宣之(やじま・のぶゆき)

日経BP総研

一貫してビジネスとテクノロジーの関わりについて執筆。1985年から日経コンピュータ記者。2009年1月から編集長。2015年から日経BP総研 上席研究員。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

中村 建助

中村 建助(なかむら・けんすけ)

ITpro編集長

日経デザイン、日経ストアデザイン、日経コンピュータ、日経ソリューションビジネス編集長、日経エコロジー編集長、日経ビジネス副編集長などを経て、2012年よりITpro編集長。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官