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マタハラは人権問題であるだけでなく経済問題

根絶に向け企業に求められる働き方改革

2016年1月21日(木)

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 働く女性が妊娠・出産・育児などを理由に職場で嫌がらせや不当な扱いを受ける「マタニティ・ハラスメント(マタハラ)」。セクハラ、パワハラなどと比べて対応が遅れがちな企業も多い。

 自身の受けたマタハラ被害の経験をもとに、2014年7月にマタ二ティ・ハラスメント対策ネットワーク(通称マタハラNet)を立ち上げ、マタハラの根絶と女性が働き続けられる社会の実現を目指す小酒部さやかさん。その功績が認められ、昨年3月には米国務省から「世界の勇気ある女性賞」を日本人で初めて受賞した。

 マタハラの実態や原因、解決策について小酒部さんに話を聞いた。

(聞き手は庄子育子)

小酒部さやか(おさかべ・さやか)氏
NPO法人マタハラNet代表理事。2005年多摩美術大卒、大手広告代理店の正社員を経て、契約社員として転職した会社でマタニティ・ハラスメントの被害に遭う。このときの経験をもとに、2014年7月、マタハラNetを設立。マタハラ被害者の情報を収集し、マタハラの実態について調査・分析するほか、マタハラの理解を促進するための講演活動を行う。2015年3月、米国務省の「世界の勇気ある女性賞」を日本人として初受賞。2016年1月に初の著書「マタハラ問題」(ちくま書房)を刊行。スキンケアのSK‐Ⅱ公式サイトで、「運命を変えた女性たち」の一人として動画が公開(2016年1月21日から)

小酒部さんご自身、マタハラ被害に遭われた経験をもとに、マタハラNetを立ち上げられたと伺っています。

小酒部:ええ。2013年はマタハラ被害のまっただ中にいて、会社との間で厳しくつらい闘いを余儀なくされました。最終的には労働審判までいってそこで決着した後の2014年7月にマタハラNetを設立しました。

どのようなマタハラ被害に遭われたのでしょうか。

小酒部:大手広告代理店の正社員を経て、契約社員として転職した会社でマタハラは起きました。私は雑誌の編集業務を担当していたのですが、ある雑誌のリニューアルプロジェクトのメイン担当を一人で任され、やりがいを感じていた矢先に最初の妊娠が判明しました。正直言って、そのときは、「嬉しい」より「どうしよう」という気持ちが先立ったのも事実です。

ホワイトハウスでミシェル・オバマ米大統領夫人、「世界の勇気ある女性賞」の他の受賞者らとともに(小酒部さん提供)

 学生のときや結婚前は妊娠しないようにしているわけじゃないですか。それで結婚してみて、妊娠ってどのぐらいでするものかとにかくわからない。ただ、私の場合は運良くすぐにできたんですね。でも自分にとっては、「え、なんで今なのよ!まさかこんなに早くできるなんて」という感じで……。

 それで、今振り返ると本当にバカだったのですが、周囲には迷惑をかけられないからと、体調が悪くても職場では何も言わず、無理して出社し、夜遅くまで働いていました。そうしたら、ある日激しい痛みを感じ、産科医に安静にするよう言われて仕事を休んだものの、結局、流産してしまいました。

 自宅安静、入院・手術を含めトータルで1週間ほど休んで出社。次なる妊娠を絶対に失敗しないためにも、私は覚悟を決めて、会社の上司Aには包み隠さず、妊娠と流産の事実をそこで初めて伝えました。二度と同じことが起きるのは嫌なので、業務に補佐をつけてほしい旨も依頼しました。けれど、上司Aから返って来たのは、「あと2~3年は妊娠なんて考えなくていいんじゃないの? 仕事が忙しいんだから」という言葉でした。

流産に対するいたわりの言葉などはなかったのですか?

小酒部:一切ありませんでした。当時35歳を過ぎていた私にとって、この2~3年はどれだけ大事か。そのことを上司Aは何も理解してくれないんだとショックでした。

切迫流産中に上司が自宅を訪れ4時間にわたって退職強要

小酒部:その後、業務補佐も付けてもらえないまま半年が経過したころ、二度目の妊娠が分かりました。新しく宿った命を今度こそ大切にしたかったので、すぐに上司Aに報告しました。併せて私が休むことになったとしても支障が無いよう、仕事の情報を共有してほしいと頼んだのですが、全く取り合ってもらえませんでした。

 痛みがあったので病院へ行くと、切迫流産(流産しかかっている状態)との診断。自宅安静を余儀なくされ、再び会社を休むことになりました。けれど家で寝ていても、毎日のように会社から電話とメールがありました、業務を1人で回していて、情報共有もさせてもらえなかったのだから当然の結果です。こちらもできる限りそれらの問い合わせに懸命に対応していました。

 自宅安静になって1週間が過ぎた日、上司Aが今後のことを話したいから私の自宅の最寄り駅に来ると言い出したため、外出を控えたい私はやむなく自宅に来てくれるよう依頼しました。

 17時ごろにやって来た上司Aは「契約社員は時短勤務ができない」「アルバイトで来るしかない」「お前が会社に悪いイメージを残す必要はない」「お前は、1年後だろうが2年後だろうが、いつでも今までの仕事のパフォーマンスで十二分にできる」などと繰り返し、実に4時間にわたって私に退職するよう迫ってきました。途中で「酒はないの?」と言って、出前の寿司をつまみ、酒まで飲んでいく始末。こちらも、その時は何としてでも仕事を継続したかったので、上司Aの機嫌を取るしかありませんでした。

話を聞いていて、その上司の常識のなさにあきれます。

小酒部:そうですよね。上司Aがあまりに理不尽なことを言い続けるので、私は区役所で母子手帳を受け取る時に一緒にもらった厚生労働省の「働きながらお母さんになるあなたへの」パンフレットも見せました。ページを開いて、「このような退職勧告は法律で禁止されているんですよ」と説明したものの、法律の知識がないためか、上司Aに不法行為の意識はまるでなく、「こういうのは人事がやったら違法だけど、自分のはアドバイスだからいいの」と独自の理論を展開していました。

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「マタハラは人権問題であるだけでなく経済問題」の著者

庄子 育子

庄子 育子(しょうじ・やすこ)

日経ビジネス編集委員/医療局編集委員

日経メディカル、日経DI、日経ヘルスケア編集を経て、2015年4月から現職。診療報酬改定をはじめとする医療行政や全国各地の医療機関の経営を中心に取材・執筆。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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