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マタハラ問題解決なくして企業の成長なし

マタハラNet代表・小酒部さやかさんに聞く(後編)

2016年1月22日(金)

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私のような思いを他の女性にさせたくない!

マタハラNetを設立した理由を詳しく教えてください

小酒部:会社から妊娠をきっかけに理不尽な仕打ちされるようになった当初、インターネット上で、「働く女性の流産・死産の背景には、マタニティ・ハラスメント(マタハラ)がある」という記事を目にしました。このとき初めて、マタニティ・ハラスメント、マタハラという言葉の存在を知りました。

 それで自らマタハラを受けて苦しむなか、インターネットで「マタハラ・実例」「マタハラ・解決策」などと検索ワードを打ち込んだのですが、有益な情報は何もありませんでした。だから孤独な闘いを強いられ辛かった……。

 そんな自分の経験があって、労働審判後にマタハラ被害者の支援活動に取り組むための組織としてマタハラNetを立ち上げたのです。労働審判が終わっても、私の中には悶々としたうっぷんが残っていました。忘れたくても、とても忘れられない苦くて辛い経験の数々。自分のことは何度も何度も責めたし、かといって上司らがしたことへの怒りも湧いてきて、私を苦しめました。この負のエネルギーをどうにかできないかと考えた時に、私のような思いを他の女性にさせたくないと思って、行動することにしたのです。

 マタハラNetで今、行っているのは、弁護士監修の法律相談、マタハラを受けた女性の体験談公開、マタハラに関するニュースなどの情報提供、交流会・講演会などのイベント運営です。

 世間・社会に向けての積極的なアクションも起こすようになり、2014年9月には「女性活躍推進新法にマタハラ防止のための一文を!」というキャンペーンを行い、10日間で8000件を超える署名を集めて関係部署に届けた上で、記者会見を実施しました。この日を境に国会で議員たちが「マタハラ」という言葉を使うようになりました。そして、その後、2015年1月のマタハラへの指導を強化した厚生労働省通達へともつながり、妊娠や出産、育児休業の終了後、原則1年以内の解雇や降格を違法とみなすという新たな考え方が示されました。

 また、2014年10月には広島市の女性のマタハラ被害の訴えに対する最高裁の画期的な判決がありました。広島市の理学療法士の女性が、産休・育休後に降格させられたのは男女雇用機会均等法に違反するとして、病院に損害賠償を求めていた訴訟で、最高裁は病院の措置を均等法に違反すると認め、審理を高裁に差し戻しました。マタハラNetでは、この大きな判決を、国内だけに留めず海外から注目してもらおうと、日本外国特派員協会で海外メディアに向けて記者会見を行いました。海外で日本の現状を報道してもらうことで、内側から変わることを苦手とする日本に、外圧を加えられたらとの思いもありました。

設立から1年半が経過して、マタハラNetにはこれまでどれだけの相談件数が寄せられているのですか。

小酒部:200件ぐらいです。一番多いのは具体的なマタハラ被害の相談ではなくて、「これってマタハラですか?」という疑問です。私もそうでしたけど、相手に「お前がおかしい。これはお前のためを思っての発言だ」などと言われてしまうと、自信が持てなくなるんですよね。けれども、例えばその人の価値観を無理に押し付けてくるのはマタハラの常とう手段なんです。また、明確な違法性がなくても、「妊娠は病気じゃない」「妊娠しても他の社員と同じように働いてもらう」という発言は、妊娠による体調不良の報告を躊躇させたり我慢を強いるような言動ですので、問題視すべきマタハラと言えます。そんなことをたくさんの事例の中から、あるいは交流会で情報交換したりすることで知ってもらえればと思います。

 なお、マタニティNetでは、集まった相談件数をもとにマタハラを、①価値観押し付け型、②いじめ型、③パワハラ型、④追い出し型――の四つに類型しています(図1)。

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「マタハラ問題解決なくして企業の成長なし」の著者

庄子 育子

庄子 育子(しょうじ・やすこ)

日経ビジネス編集委員/医療局編集委員

日経メディカル、日経DI、日経ヘルスケア編集を経て、2015年4月から現職。診療報酬改定をはじめとする医療行政や全国各地の医療機関の経営を中心に取材・執筆。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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