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企業は「相談役・顧問」を見直すべき

議決権行使助言会社ISSの石田エクゼクティブ・ディレクターに聞く

2017年2月8日(水)

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 株主総会における機関投資家の議決権行使に大きな影響を与える議決権行使助言会社。企業のROE(自己資本利益率)水準や社外取締役の数など、これまでも次々に新しい基準を導入し、コーポレート・ガバナンスのあり方を変えるきっかけとなってきた。

 近く始まる12月期決算企業の株主総会、そして6月の株主総会シーズンに向け、今年は新たにどのような方針が盛り込まれたのか。米インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)の石田猛行エグゼクティブ・ディレクターに聞いた。

(聞き手は熊野 信一郎)

石田猛行(いしだ・たけゆき)氏
ISSエグゼクティブ・ディレクター。1999年から米ワシントンDCのInvestor Responsibility Research Center(IRRC)に勤務し、主に日本企業の株主総会の議案分析やコーポレート・ガバナンスの調査を担当。2005年のISSによるIRRCの買収に伴い、同年12月からISS Japanに勤務。金融庁「日本版スチュワードシップ・コードに関する有識者検討会」メンバーや経済産業省「コーポレート・ガバナンス・システムの在り方に関する研究会」委員、経済産業省「株主総会のあり方検討分科会」の委員を務めた。ジョンズホプキンズ大学大学院にて、国際関係論修士号を取得。

1年前にも議決権行使助言の新たなポリシーについてお聞きしました(「社外取締役、次は2人が最低限に」)。2017年のポイントは何でしょうか。

石田:今年は新たに相談役・顧問制度を規定しようとする定款変更について、「反対」を推奨するというポリシーを入れました。

 経済産業省のアンケート調査にもあるように、上場企業の約6割で相談役・顧問が存在しているという実態があります。その企業の経営に大きな影響を与える存在でありながら、多くの場合、取締役でないために株主総会で選任されるわけではありません。

 株主に対する受託者責任を追うこともなく、訴訟の対象にもなりにくい。アカウンタビリティーなしにその会社の経営に少なからぬ影響力を行使することが、一番の問題だと考えています。

 これは日本に限らず、普遍的な問題です。例えば米国でも、CEO(最高経営責任者)が退任後も取締役会に残り、影響力を持ち続けていたら必ず問題になるでしょう。米国でトランプ政権に移行後もオバマさんがホワイトハウスにシニアアドバイザーとして残って口を出していたら批判されるはずで、それと同じです。

 企業でも政権でも、新しいリーダーシップに期待するのは変革です。顧問や相談役は、外から見えにくい形でそれを阻害している可能性があります。

日本企業では古くからあるポジションです。なぜ今、このテーマが浮上したのでしょうか。

石田:問題点としては以前から認識していましたが、相談役などが経営に大きな影響力を持つことの弊害が、東芝の問題で改めてクローズアップされたことが1つのきっかけとなりました。

 報酬面で見ても問題があります。日本企業の場合、一般的に社長在任時の報酬はそれほど高くないですが、退任後に顧問や相談役として会社に残ることで、トータルで高い生涯報酬を獲得できる構造になっています。

報酬制度全体に影響を与えていると。

石田:日本の経営者の報酬制度はどちらかといえば固定的な要素が多く、デット(負債)としての特徴を持っています。これは、銀行が企業に対して持つインセンティブと経営陣のそれが近いとも言えるでしょう。

 株主が自分の代理として選んでいる取締役の経済的インセンティブのあり方が、株主ではなく銀行に近いというのは、ねじれています。その「固定的」かつ「長期」を前提とした報酬制度に、相談役・顧問の制度が織り込まれているという側面もあります。

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「企業は「相談役・顧問」を見直すべき」の著者

熊野 信一郎

熊野 信一郎(くまの・しんいちろう)

日経ビジネス記者

1998年日経BP社入社。日経ビジネス編集部に配属され製造業や流通業などを担当。2007年より日経ビジネス香港支局に異動、アジアや中国に関連する企画を手がける。2011年11月に東京の編集部に戻る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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