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東芝の失敗は福島第1原発事故の前から

日本エネルギー経済研究所の村上朋子氏に聞く

2017年2月27日(月)

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東芝が巨額損失を発表し、原子力ビジネスのリスクが改めて浮き彫りになった。多くの業界関係者は福島第1原子力発電所の事故が転機になったとの見方を示すが、その意見に真っ向から反論する専門家がいる。日本エネルギー経済研究所の村上朋子・研究主幹は「原子力業界が直面する苦境のほとんどは、事故以前から顕在化していた」と指摘する。いつが転機だったのか、話を聞いた

(聞き手は小笠原 啓)

村上 朋子(むらかみ・ともこ)氏
日本エネルギー経済研究所 戦略研究ユニット 原子力グループ マネージャー 研究主幹
1992年東京大学大学院工学系研究科原子力工学専攻修士課程修了。日本原子力発電などを経て、2005年に日本エネルギー経済研究所に入所。2011年から現職。専門は原子力工学(炉心・燃料設計及び安全解析)、原子力産業動向など

東芝が2月14日、米国の原子力事業に関して7125億円の減損損失を計上すると発表しました。同社の原子力事業は4期連続で営業赤字に陥る見通しで、この間の累積赤字は1兆円近くに達します。東芝はどこでつまずいたのでしょうか。

村上:世界各国の原発建設計画は2011年までは順調だったが、福島第1原発の事故により情勢が一変。規制の強化などでコスト競争力を失い、東芝を始めとしたプラントメーカーが苦しんでいる……。

 原子力業界が直面する苦境について一般的に語られるストーリーですが、私の考えは違います。

 もちろん、原発事故の影響があることは否定しません。しかし、ほとんどの問題は事故以前から顕在化していました。業界関係者の多くは福島の事故のせいで原発ビジネスが傾いたと言いますが、非常に都合のいい責任転嫁と言わざるを得ません。

原発事故でないなら、どこで道を間違えたのでしょうか。

村上:今回、東芝が巨額の損失を出した米国を例に考えてみましょう。

 米国で原発新設の気運が高まったきっかけは、2005年に「包括エネルギー法」が成立したこと。米政府が融資保証などの優遇策を掲げたため、多くの事業者が新規建設計画を検討し始めます。東芝が米ウエスチングハウス(WH)を買収したのはその翌年、2006年のことです。

 原発を建設するには、NRC(米原子力規制委員会)の審査をクリアして「COL(建設運転一括許可)」の承認を受けなければなりません。米国では航空機が突っ込んでも問題が発生しないよう安全対策を考慮する必要があり、NRCは厳しい審査をすることで有名でした。福島の事故が起きる前から、厳しい審査に対する懸念の声があったのは事実です。

 2007年ごろから、原油価格の上昇に伴い資機材価格の高騰が目立ってきました。多くのプラントメーカーにとっては、原発建設に必要な資材の調達が課題になっていました。

 そこに追い打ちを掛けたのが2010年の「シェール革命」です。米国内で天然ガス価格が急落したことで、原発のコスト優位性が失われてしまったのです。米国では2010年時点で既に、原子力の発電コストはガス火力と石炭火力、陸上風力に負けていました。

コメント6件コメント/レビュー

日本のエネルギー産業は、失敗の歴史が続く。
オイルショック時の石油投資で安宅産業が倒産・伊藤忠に吸収合併。
東日本地震・津波で東電の福島第一原発事故・安全神話の破綻。事故処理上倒産不可。(水俣病のチッソと同様に)
東芝はウエスチングハウス買収など原子力事業の失敗。巨大企業で倒産困難?米国のシェール革命を見通せなかったミスも。(2017/02/28 10:07)

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「東芝の失敗は福島第1原発事故の前から」の著者

小笠原 啓

小笠原 啓(おがさわら・さとし)

日経ビジネス記者

早稲田大学政治経済学部卒業後、1998年に日経BP社入社。「日経ネットナビ」「日経ビジネス」「日経コンピュータ」の各編集部を経て、2014年9月から現職。製造業を軸に取材活動中

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

日本のエネルギー産業は、失敗の歴史が続く。
オイルショック時の石油投資で安宅産業が倒産・伊藤忠に吸収合併。
東日本地震・津波で東電の福島第一原発事故・安全神話の破綻。事故処理上倒産不可。(水俣病のチッソと同様に)
東芝はウエスチングハウス買収など原子力事業の失敗。巨大企業で倒産困難?米国のシェール革命を見通せなかったミスも。(2017/02/28 10:07)

ともすれば全てを福島第一原発の事故に結びつける傾向がある中、日経BPがこのような記事を掲載されることは良いと考えます。

同時に、東芝の失敗と言うよりは、日本の業界(電力会社・機器プラントメーカ)、政治家、国民全てが甘い見方をしていたと思います。エネルギーは長期的な観点も持たねばならない。原子力についても廃棄物処理や核燃料廃棄(リサイクル)また核兵器転用をも考慮して便益・コスト・リスクを考えなくてはならない。

正しい報道を続けて下さい。(2017/02/27 14:35)

太陽光や風力などの再生可能エネルギーが増え始めた頃、「発電単価」が話題に上る事が多くなった。曰く「再エネは原発と比べて発電単価が高く、かつ天気次第で安定性に欠ける。」で原発の発電単価が石炭や火力と比べても安く、かつ温室効果ガスの排出がない為環境的にも優れている事が原発推進サイドからしきり発信された。そんな時、反原発グループからは、「原発は使用済み核燃料の処分場すらなく、その処分にどれだけの費用がかかるか発電単価に十分な費用を見込んでいない。」と主張していた。然し、時の政府も原発推進派も、「使用済み核燃料の地層処分に必要な容積は微々たるものであり、最適地の候補選びは進んでいる。」と言う言い訳を十年以上繰り返しているが、未だに何処にするのか決まっていない。この狭い日本に完全無毒化までの百万年近く安定している地層があるのかすら明らかでない。半径50km以内に集落のある地域では住民が反対するに決まっているので、無人島にするより他はない。さもなければ、国外で使用済み核燃料の受け入れを表明するのを待ち続けているのか。ともかく、原発には胡散臭さが付き纏う。核燃料のリサイクルプロジェクトなど、まさに核兵器をいつでも大量生産出来る体制を狙っているとしか思えない。現に海外からの目にはその様なものが少なくない。私個人的には半径50km以内に10万以上の町のない土地で、全国に2、3箇所の原発を最先端技術の継承場所として確保し、他は地熱発電を中心とした再エネに順次切り替えて廃炉したら良いと考えている。万一の事故による被害の規模が大き過ぎるので、狭い国土の日本には向いていない。東芝はWHのM&Aに当初予算の2倍の金をつぎ込んだと聞きが、その経営判断が大きな間違いと言わざるを得ない。福島第1原発事故以降も懲りる事なく、「原発一本」とでも思える様な執着ぶりを見ると、下手な支援に金を使うより、さっさと破綻処理をすべきだと思う。(2017/02/27 11:41)

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