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部下の残業で書類送検された人の末路

弁護士の多田猛氏に聞く

2017年3月17日(金)

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昨日と同じ今日、今日と同じ明日が続いていく、と。でも、さすがに出世の道は閉ざされますよね。

多田:どうでしょうか。飲酒運転とか刑事犯罪では出世は難しくなると思います。でも残業事案は別ではないでしょうか。

それって、例えば「従業員に過剰労働させて利益を搾り出すべきだ」という価値観が蔓延している会社の場合、残業で摘発されることは「勲章」になるし、書類送検された人間が「英雄」になる可能性もあるってことですか。

多田:あるかもしれません。

その場合、反社会勢力のジギリ(自切り、組織のために体を張ったり、服役したりすること)のように、「お勤めご苦労様」とばかりに、かえって優遇されるなどということも起こり得る?

多田:どうでしょうか。ただ、あくまで不起訴ですから、「確かに書類送検されたが不起訴だった。これは検察が無実と証明したのと同じである」という理屈で、そうした人物を重用する企業があったとしても、不思議ではないとは思います。付け加えると「不起訴だから無実」という考え方は本当は正しくありません。同じ不起訴でも、「無実」と証明されて不起訴になる場合もあれば、「グレーだけど起訴には及ばない」と判断されて不起訴になる場合もありますから。

部下の残業で書類送検されても大したことない!?

言い方は乱暴ですが、何だか部下の残業で書類送検されても大したことない気がするんですが。

多田:そういう言い方もできるかもしれません。不起訴になれば書類送検された記録も残りません。正確に言えば検察に履歴は残りますが、一般人がそれを閲覧することはできません。

そうなんですか。だとすれば、残業の強要で体を壊して亡くなられた方は浮かばれないと思います。

多田:でも、これからは変わってくるかもしれません。

本当ですか?!

多田:確かに、これまでは労働基準法違反で書類送検されても個人は不起訴になるのが普通でした。でも、こんなに世の中で「違法な残業は許さない」という機運が盛り上がってくると、悪質な事案は起訴される事例が出てきてもおかしくありません。起訴されて有罪になれば、労働基準法の罰則には懲役刑まで明記されています。

前例を踏襲せず、法律を厳密に運用すると、“不届き者”に、もう少しだけ反省してもらえるようにもなる、と。

多田:そうです。ただ、違法な残業を根絶するには、今は労基署のマンパワーが足りません。少ないマンパワーで社会全体の残業を抑制するには、ある程度、「狙い撃ち」が必要になります。その意味で、これからは、社会的影響力の大きい企業と使用者を、“見せしめ”的に書類送検する事例が増える可能性があります。厚生労働省もこれだけ残業問題がクローズアップされてきている以上、今まで以上に力を入れてくると思います。そうなれば少なくとも現在の状況は変わってくる可能性があります。

「末路本」の詳細が気になる人は…

コメント15件コメント/レビュー

>残業の発生は上司や会社が悪いから厳罰に処せ、だけで解決すると信じ込む人に向けて
>別の視点から問題提起します。どうでしょう?

 書かれている範囲のものであれば、上長を罰するのが適切に思えます。
 (1)のケース、(2)のケースとも、本文中にあるように、過労死の出た現場の上長がよく言い訳に使うパターンで、言い訳としてあまり意味がないと指摘されています。
 (3)のケースも、いわゆる「サビ残なかったら潰れちゃう」からサビ残を許せ、的な言い訳とたいして変わらないのでは。「サビ残なかったら潰れちゃう」会社が、潰れずに営業を続けているから、いつまでたっても状況が改善しないという面もあると思いますが。(2018/03/12 12:47)

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「部下の残業で書類送検された人の末路」の著者

鈴木 信行

鈴木 信行(すずき・のぶゆき)

日経ビジネス副編集長

日経ビジネス、日本経済新聞産業部、日経エンタテインメント、日経ベンチャーを経て2011年1月から日経ビジネス副編集長。中小企業経営、製造業全般、事業承継、相続税制度、資産運用などが守備範囲。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

>残業の発生は上司や会社が悪いから厳罰に処せ、だけで解決すると信じ込む人に向けて
>別の視点から問題提起します。どうでしょう?

 書かれている範囲のものであれば、上長を罰するのが適切に思えます。
 (1)のケース、(2)のケースとも、本文中にあるように、過労死の出た現場の上長がよく言い訳に使うパターンで、言い訳としてあまり意味がないと指摘されています。
 (3)のケースも、いわゆる「サビ残なかったら潰れちゃう」からサビ残を許せ、的な言い訳とたいして変わらないのでは。「サビ残なかったら潰れちゃう」会社が、潰れずに営業を続けているから、いつまでたっても状況が改善しないという面もあると思いますが。(2018/03/12 12:47)

法治国家ならぬ放置国家ですかw

馬鹿が居なけりゃ世間の目が覚めぬ……という歌がありますが

直接当事者関係者が責任者や会社に仕返しをして、重大な社会問題になるしか
過労死問題は、永遠に絶対に全く解決されないって事ですな

自己救済が一番の方法なんて
日本って未開国なんですなぁ(2017/03/21 14:04)

労働基準監督署(労基署)は違法残業を防止しようという気はないようです。不起訴になるのも、社長にお咎めがないのも、おかしいですが、それ以上に「普通はまず「指導」、次に「勧告」、それでも改善が見られない場合は、法人と個人の「書類送検」」という手順が問題です。要は、泥棒している人がいたら、まず注意をして、それで改めたらお咎めなしということでしょ。だから、いつまでも違法残業は減らないのですよ。
△まず、違法残業をさせて、労基署から指導がきたらやめるというロジックでなんにも問題ないわけです。見つかってもすぐに違法扱いされないなら、とりあえず指導がくるまでは好きにやるということでしょ。そうこうしているうちに労基署の人で不足で見逃して、死人がでるわけです。違法行為があったらすぐに書類送検に行くべきでしょう。そうでないと抑止力になりません。(2017/03/18 20:33)

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新谷 美保子 TMI総合法律事務所弁護士