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トラウマ記憶もセピア色に、「EMDR」の驚異

WHOも推奨、眼球運動で心の傷を癒す

  • 柳生 譲治

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2017年5月11日(木)

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 「恐怖の場面がフラッシュバックする」「夜、眠れない」「怒りが込み上げてくる」──。震災の体験や、犯罪被害、虐待、事故などによって、心にトラウマを負った人は、意識の下に“冷凍保存”してしまった恐怖記憶に繰り返し苦しめられている。症状を軽くするために、かねてから様々な手法が開発されてきたが、近年、注目を集めているのが「EMDR」という治療法だ。

 トラウマの原因となった場面を思い出しながら、左右にリズミカルな眼球運動を行うことで記憶の情報処理を促進し、「フラッシュバック」などの症状を減らしていく手法。比較的短期間で高い治療効果が得られるほか、患者の精神的負担の少なさが特長だ。トラウマやPTSD(心的外傷後ストレス障害)の治療を専門とし、東日本大震災後には数多くの被災者のトラウマ治療にもあたった、精神科医の白川美也子さんに、EMDRを用いた治療方法について話を聞いた。

震災での被災体験や、犯罪被害などのトラウマにより苦しんでいる人は少なくない。(写真:PIXTA)

東日本大震災から6年、今も多くの人がPTSDで苦しむ現実

今年の3月で東日本大震災からで6年が経ちました。しかし、今もなお被災者の中にトラウマやPTSDに苦しめられている方々が多数いるということがいくつもの調査によって明らかになっています(※注1)。そもそも「トラウマ」というのはどのようなものなのでしょうか。

※注1 例えば、早稲田大学の災害復興医療人類学研究所長・辻内琢也教授と避難者支援団体「震災支援ネットワーク埼玉」が共同調査した結果(今年3月発表)によると、福島の原発事故により首都圏に避難している人たちの46.4%がPTSDの可能性があるという。(東京新聞 2017年3月13日朝刊の報道による)

白川:トラウマは、心が耐えられる以上の衝撃を受けた時に心が受けた傷のことで、原因としては、天災の経験や、犯罪被害、交通事故、虐待、DV(ドメスティック・バイオレンス)…など、生命や身体の安全に脅威を及ぼすような体験が挙げられます。

 犯罪被害や事故のように一度だけの打撃で受けた傷の場合もあれば、虐待やDVのように長期にわたり繰り返された行為によって負った傷の場合もあります。複雑なケースもあって現れ方もひと括りにはできませんが、いずれのトラウマもクライアント(患者)の心身や対人行動に影響を与え、その人の人生を困難なものにしてしまいます。

 もちろん、悪い記憶が脳に記録されること自体には、生存する上で必要な側面もあります。同じような事件や事故に二度と遭わないように注意することは、生物が生き延びるために不可欠です。また、トラウマ記憶(恐怖記憶)によるフラッシュバックが起きた時、周囲の人にその事件について語ることにより、周囲の人も危険について知ることができます。それはみんなの安全につながります。

コメント2件コメント/レビュー

EMDR体験者。

自分を支える己が無ければ、かなり辛いことに。まずはきちんと相談をして、自分に向く治療かどうかを判断されることをお勧めします。

冷凍記憶というより、私の場合、一定の記憶がガラスのボックスに入っていて見えるんだけど触れない。どこにふたがあるのかわからない。それは本人の承諾なしにある日突然その記憶が爆発してよみがえる。かといって自分でその記憶をもとに戻すことはできない。こうした記憶をもとの処理フローに戻そうという治療です。もう一度辛い話をしなければなりません。もう一度あの言葉を、シーンを暴力を思い出さなければなりません。それは辛いです。ここでリタイヤしてしまう人もいます。

あなたのイメージの木は何ですか?それが貴方です。私の治療はそこから始まりました。今は朝から怒りに震えて目が覚めることも少なくなりました。一定の効果は望めます。それを完治といってよいかどうかは私にはわかりません。でも、憎しみを持つことに苦しんでいる皆さん。怒りは究極の悲しみの姿なのです。怒りは悲しみが凝ったものです。自分を嫌悪しないでください。あなたは怒って当然のことをされたのですから。恐怖を持つ自分を認めてあげてください。私たちは耐え難い恐怖を味わったのですから。(2017/05/13 15:56)

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いただいたコメント

EMDR体験者。

自分を支える己が無ければ、かなり辛いことに。まずはきちんと相談をして、自分に向く治療かどうかを判断されることをお勧めします。

冷凍記憶というより、私の場合、一定の記憶がガラスのボックスに入っていて見えるんだけど触れない。どこにふたがあるのかわからない。それは本人の承諾なしにある日突然その記憶が爆発してよみがえる。かといって自分でその記憶をもとに戻すことはできない。こうした記憶をもとの処理フローに戻そうという治療です。もう一度辛い話をしなければなりません。もう一度あの言葉を、シーンを暴力を思い出さなければなりません。それは辛いです。ここでリタイヤしてしまう人もいます。

あなたのイメージの木は何ですか?それが貴方です。私の治療はそこから始まりました。今は朝から怒りに震えて目が覚めることも少なくなりました。一定の効果は望めます。それを完治といってよいかどうかは私にはわかりません。でも、憎しみを持つことに苦しんでいる皆さん。怒りは究極の悲しみの姿なのです。怒りは悲しみが凝ったものです。自分を嫌悪しないでください。あなたは怒って当然のことをされたのですから。恐怖を持つ自分を認めてあげてください。私たちは耐え難い恐怖を味わったのですから。(2017/05/13 15:56)

感情解放のための技には興味があってこの記事も興味深く読んだが、「残念ながら、EMDRは専門的な知識と経験が必要な治療法であり、一般の人が自分で自分に対して行うことは困難です」というのは、誠に残念であった。そういうことであれば、日経ビジネスを読まれるような方はあまり馴染みがないのではないかと思うが、自分ひとりで感情解放をされたい方にはEFT (emotional freedom technique)タッピングや、ESR (emotional stress release)をお薦めしたい。これらはアメリカ発祥の技法であるが、実は経穴つまりツボを使った感情解放術で、道具もいらず、やり方はとても簡単であり、自分で試した限りではよく効く。EFTのほうは和書も多数出ているが米国でベストセラーになっているタッピング・ソリューションが特によい。ESRのほうは、タッチ・フォー・ヘルス完全マニュアルに詳しい。ネットでも充分な情報が手に入るだろう。過去のトラウマやストレスの感情解放に役立つが、もうひとつ重要なのは自分の思い込みを外し手放していくための道具としても優れている。(2017/05/12 05:21)

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三品 和広 神戸大学教授