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パナマ文書激震…租税回避はなくならない

シティ大学ロンドンのロナン・パラン教授に聞く

2016年5月11日(水)

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 「パナマ文書」の激震が続いている。5月10日、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)は、タックスヘイブン(租税回避地)の実態を暴いたパナマ文書に記載された、約21万社のペーパーカンパニー名をWebサイト上で公開した(データベースはこちら)。

 公開されたパナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」の流出資料には、約40年分の顧客情報が記載されている。日本在住者や日本企業が役員や株主になっているペーパーカンパニーも確認された。

 金融危機以降、高まりを見せてきたタックスヘイブンと課税回避に対する国際圧力は、パナマ文書を機に頂点に達しつつある。今回の事件が、課税逃れにどのような影響を与えるのか。同問題に詳しいシティ大学ロンドンのロナン・パラン教授に聞いた。(聞き手は 蛯谷 敏)

ロナン・パラン(Ronan Palan)氏
1957年生まれ。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス卒業。サセックス大学、バーミンガム大学を経て、2012年からシティ大学ロンドンの国際政治経済学部教授に就任。オフショア・ファイナンス研究の第一人者であり、タックスヘイブンや課税回避問題にも詳しい。

パナマ文書問題が、世界を大きく揺さぶっています。5月10日には、新たな情報が公表されました。

パラン:客観的に評価すれば、(パナマ文書の情報流出量である)2.6テラバイトのデータは確かに膨大だ。これまでにも税逃れのリークなどはあったが、それらと比べて流出したデータは桁違いに大きい。おそらく、今後も様々な情報を我々にもたらしてくれるだろう。もっとも、個人的な感想を言えば、驚きはなく、むしろようやく氷山の一角が姿を現したという印象だ。

 今回のリーク元となったパナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」は、パナマでは中堅の事務所で、上位3社にも入っていない。その会社のデータが発覚しただけでこれだけの騒ぎになるのだから、上位事務所の行為も明らかになれば、衝撃はさらに大きいだろう。

 英領バージン諸島やケイマン諸島が英国系のヘッジファンドや多国籍企業といった企業相手に発展してきたのに対して、パナマは歴史的に米国との結びつきが強い。米東海岸との時差が少ないことなどから、米国系の金融機関などがパナマを好んでタックスヘイブンとして活用してきた。パナマの政治家や官僚は若い時期に米国で教育を受けている。ウォール街出身者も多く、人的なパイプもある。

米国との結びつきの強さの一方で、これまでのパナマ文書からは、米国企業や著名人の名前は浮上していません。

パラン:まだパナマ文書の全貌が明らかになったわけではないので、今後米企業や政治家の名前が発表される可能性はある。ただ、現時点でその理由は次の2つが推測されている。1つは、米CIA(中央情報局)がパナマ文書のリークの背後にいること。もう1つは、米国とパナマの間には既に政府レベルで厳しい規制が敷かれており、米国人や企業がパナマにおける資産隠しや節税行為自体を減らしている可能性がある。

 前者はいわゆる陰謀説なので、半分は冗談だが(編集部注:5月7日、パナマ文書の告発者が匿名のインタビューに応じ、米国諜報機関などとの関連を否定している)、後者の可能性はあり得ると思う。米国ではオバマ政権後、タックスヘイブンに対する規制を強化している。米国 人顧客の身元や保有資産に関する報告を外国の金融機関に義務付けるFATCA(外国口座税務コンプライアンス法)、あるいはM&A(合併・買収)などの際に税率の低い地域に税務上の本社を移すタックス・インバージョンの規制強化など、世界的にも厳しい条件でのぞんでいる。

 いずれにしても、今後どのような名前が出てくるか、それによって実態が見えてくるだろう。

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「パナマ文書激震…租税回避はなくならない」の著者

蛯谷敏

蛯谷敏(えびたに・さとし)

日経ビジネス記者

日経コミュニケーション編集を経て、2006年から日経ビジネス記者。2012年9月から2014年3月まで日経ビジネスDigital編集長。2014年4月よりロンドン支局長。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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中村 克己 元ルノー副社長、前カルソニックカンセイ会長