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いつか必ず来る別れの日、「遺品」は人生の縮図

「空き家」「遺品」片づけのプロ、内藤久さんに聞く

  • 柳生 譲治

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2017年6月7日(水)

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 自分がかつて住んだ懐かしい実家を片づける、親の残したモノたちを整理する──。高齢の親を持つ子供の多くが、いつかは直面する悲しく辛い問題だ。そして、いざ親を亡くし、実家や親の遺品を片づけようとした時、残された子供たちはそれらにまつわる思い出の強さから、整理や処分をする踏ん切りがつかなくなるという。無理に処分して“後味の悪さ”に長く苦しむ人もいるそうだ。

 したがって、遺品の整理は滞りがちになり、実家は取り壊すこともできず、人に貸すこともできず、遺品を中に残したまま「空き家」となる。社会問題化している「空き家問題」の原因の一つには、実は「遺品の片づけ問題」があったのだ。ならば、実家や遺品を、“罪悪感”を持つことなく、“後味の悪さ”を感じることもなく、片づけるにはいったいどうしたらよいのか? これまで約1800もの遺品整理の現場に立ち会ってきた内藤久さんに、話を聞いた。

(聞き手は、柳生譲治)

内藤 久(ないとう・ひさし)氏
「遺品整理の埼玉中央」代表
1960年生まれ、東京都出身。京王プラザホテル、シェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテル勤務を経て独立、ハウスクリーニング会社を1999年に起業。現在は、さいたま市で遺品整理業「遺品整理の埼玉中央」を経営する。遺品整理の作業累計はこれまで約1800件。主な著書に『もしものときに迷わない遺品整理の話』『親が死んだとき後悔する人、しない人の実家の片づけ』『親ともめずにできる これがリアルな実家の片づけです。』『図解 親ともめずにできる これがリアルな実家の片づけです。』などがある。

「遺品整理業」の世界に入るキッカケとなった一本の電話

そもそも内藤さんが「遺品整理業」を始められた、経緯をうかがわせてください。元々、大手ホテルで接客や客室などの担当者として長く働いた後に独立されたと聞きました。一般に、葬祭業や運送業、清掃業などから遺品整理業に入る方が多いようですが、この世界では異色の経歴です。

内藤:ホテルマン時代は、仕事の一環としてお客さまの部屋の清掃や整備も担当しました。その経験を生かして1999年に独立し、最初は普通のハウスクリーニング業をやっていたのです。ところが2002年のある日、「空き家に残された物の整理をしてほしい」という電話がオフィスにかかってきたことで、初めて遺品整理の現場に立ち会いました。

 それがキッカケとなって、ご遺族に代わって故人のモノの片づけを行う「遺品整理業」の世界に入りました。それから15年、今まで続けているのは、その最初の案件が私にとって心に残る印象的な仕事だったからかもしれないです。

最初の案件とは、どのような仕事だったのですか。

内藤:「故人の部屋の片づけをしてもらえないか」という電話でした。指定された現場に行くと、50代のお母さんと20代の娘さんが、作業立ち合いにいらっしゃいました。

 娘さんに「土足で入ってください」と言われて少し驚きました。二つの部屋に荷物がそのまま残っていて、「全部ゴミだから捨ててほしい」と。とっとと片づけて欲しいという風でした。そんなやり取りがあってあまり雰囲気のよくない中で、私は作業を始めることになりました。

 作業にあたって、お母さんに事情を聞くと、次のようなお話でした。

 「20年以上前に離婚した元夫が急に亡くなりました。離婚後、いっさい交流はなく、我々にはもう無関係な人になっているのですけれども、アパートの部屋の保証人が自分のままでした。だから、仕方なく中を空にしないといけない」と。

 かなりの分量の遺品が残されていたと記憶しています。整理を進めていくと、やがてテレビ台の裏にあった焼き海苔の缶の中から、娘さんが幼い頃の写真の束が出てきました。

 それらの写真の裏には、撮影日と、娘さんの“成長記録”がしたためられていました。

「きょうは『アブナイ』という言葉をはじめてしゃべった」
「にんじんは、きらいなのかな?」
「生まれてきてくれて、本当にありがとう」……
 幼い娘を思ってのたくさんの言葉が、写真の裏に書き添えてあったのです。

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