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インスペクター制度で、欠陥マンションを一掃

総合検査 船津欣弘社長に聞く

  • 柳生 譲治

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2016年6月20日(月)

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「パークシティLaLa横浜」「パークスクエア三ツ沢公園」──。マンションの品質に致命的な欠陥があり、建て替えを余儀なくされる事件が相次いだ。10年ほど前、いわゆる「構造計算書偽造事件」が起こり、法改正や建築確認手続きの厳格化などが実施されたはずだが、今もなおこうした事件が起こるのはなぜなのか? マンションなど建築物の検査会社を経営する船津欣弘氏にその理由と対策を聞いた。

なぜ欠陥マンションが量産されるのか?

誰もが名前を知っている最大手のデベロッパー(事業主)やゼネコン(元請け)が開発・施工を担当した物件でも、致命的ミスが見つかって取り壊しを決めるケースが立て続けに起こりました。
 船津さんは十年余にわたり新築物件や中古物件の施工確認をして来られましたが、なぜこうした事件が発生しているとお考えでしょうか?

船津欣弘(ふなつ・よしひろ)氏
総合検査社長
1965年生まれ。13年間の設計事務所勤務を経て、2001年、GAO建築工房設立。阪神・淡路大震災の被災経験から「強い家」づくりの重要性を再認識し、2003年より欠陥住宅問題に取り組み始める。その後、建築検査に特化した精鋭部隊を目指し、2011年、総合検査の代表取締役に就任。主な著書に『建築検査のプロが教える あなたのマンション選びを絶対失敗させない本』『建築検査のプロが教える あなたのマイホーム 絶対失敗させない建て方買い方』『地震に「強い家」に住む』。最新刊に『新築マンションは9割が欠陥』。

船津:原因はいくつかあります。いずれも建築業界に固有のものですが、「下請け多重のピラミッド構造」「多様な工種」「工期のプレッシャー」「熟練した人材の慢性的不足」「ずさんな確認体制」といったことが考えられます。

 とりわけ問題となるのは施工の確認体制についての法律の不備です。日本の場合、設計図通りに施工が行われているかを確認する役割である「監理業務」も設計者が担っていることが一般的なのですが、設計者も実際には建物の発注や施工側の人間です。このため問題があることが分かっても、工期を伸ばしたりするような判断をするのは難しいことが多いのです。ミスがあっても、目をつぶったり、次善の策で対応したりということになってしまいがちです。

例えば、一昨年に施工ミスで建て替えを決めた「ザ・パークハウス グラン 南青山高樹町」の場合は、三菱地所レジデンスと鹿島建設という日本有数の企業がタッグを組んでおきながら、目視で確認できるような700カ所以上に施工ミスがあったことが分かっています。それほどの欠陥はおそらく、設計者でなくても現場で気づく人がいるはずですよね。しかし結局は、現場からの声は上がらず、インターネットへの匿名の書き込みでようやく発覚しました。

船津:当然すぐわかるでしょうね。でも、現場の人は誰も口に出せなかった。巨大プロジェクトを止めることになってしまうから…。もしくは、ほかの誰かが何とかするだろう、自分は関係ないと考えたのか。私は部外者ですから想像ですけれども。結果としては「隠ぺい」と言われても仕方がない。

そしてミスが公になると、責任の所在や問題の本質があいまいなまま、一転して建て替えで対応する。その場しのぎの対応で済ませようとしている印象があります。本質的な改善策が必要だと思うのですが。

船津:日本の建築基準法など建築関連の法律は、基本的に「性善説」を前提につくられているのですね。建築士や工事監理者は悪いことはしない、という前提で法律が規定されている。しかし根本的な原因を取り除くには、人は時に正しくないことをするという「性悪説」に立った仕組みづくりをしないとダメでしょう。性善説によった法律のあり方が、同じような事件が繰り返される問題の本質なのです。

 国によっても違いますが欧米の先進国では、「性悪説」に立って第三者の「インスペクター(施工検査を専門に行う専門家)」というスペシャリストが施工確認(施工検査)をします。そしてインスペクターが「OK」を出さないと、次の工程に進めない仕組みが一般的です。日本でも工事監理業務から、施工確認業務を分離して、専業化・厳格化の方向で法整備をしていく必要があります。そうしなければ、今後も欠陥マンションが量産されてしまうでしょう。

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