世界経済の「最後のフロンティア」として、アフリカへの関心が世界的に高まり始めて久しい。だが、最近は資源価格の低迷でサブサハラ諸国の経済成長は失速。一部地域ではボコ・ハラムなどの過激派組織によるテロが続いているほか、エボラ出血熱の拡大などで改めて「アフリカリスク」が注目を集めた。
そうした中で、2015年も8%を超える経済成長を見込まれているのが、エチオピアだ(国際通貨基金=IMF予想)。今年4月には、エチオピア航空による成田-アディスアベバ直行便(香港経由)が就航するなど、日本との物理的な距離はぐっと近づいた。
だが、多くのビジネスパーソンにとって、心理的な距離はまだ遠い。むしろ、エチオピア経済の実態は、ほとんど知られていないと言ってよいだろう。
エチオピアが日本企業に期待することとは何か。ゲブレ-クリストス・ベルハネ外務国務大臣に話を聞いた。
今年4月、エチオピア航空が成田-アディスアベバの直行便を就航しました。

ベルハネ:アディスアベバへの直行便で、日本とエチオピアのみならず、アフリカ大陸全体へのアクセスが容易になります。成田空港を夜9時に発てば、翌日の朝6時半にはエチオピアの首都アディスアベバに着いている。そこで乗継ぎをすれば、アフリカの各都市にその日の日中にはたどり着けます。もちろん、時差(6時間)はありますが、ビジネスには好都合でしょう。
さらに、アフリカだけではなく、ブラジルや中東へのアクセスもいい。アディスアベバからサウジアラビアの首都リヤドへのフライト時間はわずか1時間です。アディスアベバをアフリカ大陸や周辺地域のハブ空港にすべく、拡張計画を進めています。
世界最安レベルの労働力と電力が魅力
エチオピアは、中国はもちろんバングラデシュなどをも下回る労働コストの安さで、アパレル業界などの製造業から注目を集めていると聞きます。現在の産業化の状況を教えてください。
ベルハネ:エチオピアは多くの分野で可能性を秘めています。まず、農業でしょう。異なる気候や土壌を持つ様々な地理的エリアがあるために、多様な農作物を育てることができます。
そして、若くて教育を受けた労働力がある。1億人の人口を抱え、35の公立大学があります。さらに今後3~4年の間に11の公立大学が開校する予定です。これらに加えて、50~60の民間のカレッジや大学があります。公立大学の生徒の約7割はエンジニアリングや薬学などの科学分野を専攻しています。国内産業の生産性向上を担う教育を受けた人材が、これから続々と社会に出てくるわけです。
世界最安とされる電力料金も魅力でしょう。現在の価格は1キロワット当たり0.02セント程度です。電力価格が安いのは、石油やガス、石炭に頼らず、大半を水力や地熱、風力などの再生エネルギーによってまかなっているからです。
スーダンやジブチに電力を供給しているほか、ケニアとも電力網を相互接続する予定で、タンザニア、ルワンダ、中東のイエメンとも電力供給に関する覚書を交わしています。エチオピアは、電力供給国として非常に大きなポテンシャルがあります。
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