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誰もが予備軍、自分を虐待しゴミ屋敷に住む人々

岸恵美子 東邦大学教授に「セルフネグレクト」について聞く

  • 柳生 譲治

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2017年7月11日(火)

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 テレビなどマスメディアでセンセーショナルに報道される「ゴミ屋敷」。衛生上の問題が懸念されるほか火事の原因にもなるために近隣住民や地方自治体は対応に苦慮するケースが少なくない。その背景には、高齢者の精神面の問題「セルフネグレクト」があると言われている。高齢者の一人暮らし世帯の増加とともにゴミ屋敷問題も増加中だが、今後、我々はこの社会問題とどのように向き合っていったらいいのか。セルフネグレクト(自己放任、自己放棄)や孤立などの問題に詳しい、東邦大学の岸恵美子教授に話を聞いた。

(聞き手は、柳生譲治)

ゴミ屋敷問題の背景にある「セルフネグレクト」問題

岸先生はもともと東京の板橋区、北区で16年にわたり保健師として勤務されて、高齢者の世帯をつぶさに見てこられたわけですけれども、中にはいわゆる「ゴミ屋敷」といわれる劣悪な居住環境で生活している独居老人も少なからずいたことと思います。人はなぜそのような状況に陥ってしまうのでしょうか。

岸恵美子(きし・えみこ)氏
東邦大学看護学部/看護学研究科 教授
1960年東京都生まれ。看護師、保健師。日本赤十字看護大学大学院博士後期課程修了。看護学博士。東京都板橋区、北区で16年間保健師として勤務した後、自治医科大学講師、日本赤十字看護大学准教授を経て、2009年、帝京大学大学院医療技術学研究科看護学専攻教授(地域看護学・公衆衛生看護学)。2015年から現職。高齢者虐待、セルフネグレクト、孤立死を主に研究している。著書や編著に『ルポ ゴミ屋敷に棲む人々』『セルフ・ネグレクトの人への支援』など。

:もっとも多い原因は、配偶者の死などといったライフイベント(人生における重要な出来事)をきっかけとする生活意欲の低下や、認知症などの病気の影響によって、住民が「セルフネグレクト」という状況に陥っていることにあります。

 ネグレクト(放任、放棄、無視)という言葉は聞いたことがあっても、セルフネグレクトという言葉は初めて聞く方もいるかもしれませんね。セルフネグレクトとは文字通り自分に対するネグレクトですから「自己放任」、「自分による自分自身の世話の放棄」といった意味になります。

 いったんセルフネグレクトの状態に陥った人は、健康な心理状態の人間にはとても住めないような「ゴミ屋敷」に暮らしていたり、身体が極端に不衛生だったり、清潔ではない多くの動物とともに家の中で暮らしていたり、地域の中で孤立していたり──といった状況になりがちです。そして生活環境が著しく悪化してしまっても、他者や行政に支援を自ら求めないことが多く、また行政側が支援を申し出てもそれを断って一層孤立する傾向を帯びています。

 とりわけ、医療を拒否するケースは深刻な問題となります。健康に致命的な悪影響を与え、死に至ることも少なくないからです。セルフネグレクトが「緩慢な自殺」と言われるゆえんです。

 ちなみに、内閣府が2011年にまとめた調査では、セルフネグレクトの状態にある高齢者は全国で推計約1万人程度いるとされています(内閣府経済社会総合研究所「セルフネグレクト状態にある高齢者に関する調査」)。しかし、「高齢者の9%がセルフネグレクトに該当している」という米国での大規模調査の結果もあります。その結果を日本にも当てはめれば、実際には300万人をも超える人々がセルフネグレクトの状態にある可能性があります。

内閣府の2011年の調査ではセルフネグレクトの状態にある高齢者は全国で約1万人程度と推計されているが、実際は…。(写真はイメージです 以下同)

コメント24件コメント/レビュー

たいへん興味深く読んだ。日本国憲法の前文に「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり…以下略」とある。国政に準ずるものとして地方自治があると私は考えるので,行政による福利は市民が享受することが当たり前だと私は考える。したがって,憲法13条と25条の条文からも,行政の積極的な関与が必要だろう。
 ただ,ここで,「個人の権利」としての「尊厳死」の問題もある。我々が憲法に込めた理想は表面的な豊かさだろうか。この記事は「心の自由」と「社会の一員としての責務」の間にある問題に触れている気がする。「ゴミ屋敷」が迷惑であり,「公共の福祉」に反していると思う。この対策は必要だ。しかし一方で,表面的な解決は根本的な解決にはならないことを記事は伝えている。「健康で文化的な生活」は誰もが保障されねばならないものだ。これを追求するのが役所の責務である以上,「心の自由」にタッチしていく必要が生じる。「個人の尊厳」,「プライバシー」にどこまで立ち入るかは高度な判断を要する問題だ。足立区の取り組みはその意味では野心的で,リスクを伴うもので,「行政の勇気」に敬意を表する。こうした取り組みがより広くおこなわレ,かつ,公開の場で「公明正大」に議論されることを期待する。そして,事例を積み,決心から確信へ,試行から決行へそして行政標準へと進めることで,「民主国家」「福祉国家」としての理想を現実化して行くことを希望する。そのためにも,こうした記事が積極的に上梓され続けることを希望します。頑張ってください。(2017/07/17 12:38)

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たいへん興味深く読んだ。日本国憲法の前文に「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり…以下略」とある。国政に準ずるものとして地方自治があると私は考えるので,行政による福利は市民が享受することが当たり前だと私は考える。したがって,憲法13条と25条の条文からも,行政の積極的な関与が必要だろう。
 ただ,ここで,「個人の権利」としての「尊厳死」の問題もある。我々が憲法に込めた理想は表面的な豊かさだろうか。この記事は「心の自由」と「社会の一員としての責務」の間にある問題に触れている気がする。「ゴミ屋敷」が迷惑であり,「公共の福祉」に反していると思う。この対策は必要だ。しかし一方で,表面的な解決は根本的な解決にはならないことを記事は伝えている。「健康で文化的な生活」は誰もが保障されねばならないものだ。これを追求するのが役所の責務である以上,「心の自由」にタッチしていく必要が生じる。「個人の尊厳」,「プライバシー」にどこまで立ち入るかは高度な判断を要する問題だ。足立区の取り組みはその意味では野心的で,リスクを伴うもので,「行政の勇気」に敬意を表する。こうした取り組みがより広くおこなわレ,かつ,公開の場で「公明正大」に議論されることを期待する。そして,事例を積み,決心から確信へ,試行から決行へそして行政標準へと進めることで,「民主国家」「福祉国家」としての理想を現実化して行くことを希望する。そのためにも,こうした記事が積極的に上梓され続けることを希望します。頑張ってください。(2017/07/17 12:38)

この記事では、自ら望んでセルフレグレクトしている人、
病気によりセルフネグレクトになってしまった人、
のふた通りを示しているが、

そのほかに、なんらかの原因により意欲が低下して、
セルフネグレクトになった人が多いことを忘れてはならない。
この記事は、こうした場合を自己意思としているのだが、
それはどうかと思う。(2017/07/13 21:29)

>今から10年程前の40代前半で独身だった当時、アパートに住んで、家の中がゴミ屋敷になりました。私は普通の会社員ですが

私と同世代の方とお見受けしますが、同様のライフスタイルの私はゴミ屋敷にはなりませんでしたよ。時間が無くとも収入の有る勤め人ならば、お金を払えば割高ですが回収業者が整理・回収してくれます。それこそ土日の自分が寝ている傍らでもOK(笑)。
「分別が厳しいから」等は御自身の後ろめたさに対する言い訳であり(エアコンの不法投棄についても「俺の所為じゃない」匂いがします)、ゴミ屋敷化する人は高齢者なら認知症、若い方なら何らかの発達障害の疑いがあります。私の友人(同世代の単身生活者)が当にそうなのですが、家の中が全て1m以上の「地層」に覆われている惨状です。食品等腐るものを放置していないのが救いですが、「クリーニングから戻ってきたワイシャツが見つからないのでいつも新品を買っている」ような状態で地層がますます堆積しています。
奥様が何らかの違和感を感じているようでしたら、心療内科等への受診も一案かと思います。もし気分を害されたようなら済みません。(2017/07/13 09:26)

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