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中国、ハーグでやられたら沖ノ鳥島でやり返す

2016年7月14日(木)

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 オランダ・ハーグの仲裁裁判所が7月12日、中国が南シナ海で主張する権利について国際法上の根拠がないとの判断を下した。提訴していたフィリピンの主張をほぼ全面的に認めるもの。ただし、中国の軍事に詳しい小原凡司・東京財団研究員・政策プロデューサーは「短期的には緊張を高めるもの」と見る。

(聞き手は森 永輔)

航行の自由作戦に向かう米海軍の駆逐艦「ラッセン」(写真:U.S. Navy/The New York Times/アフロ)

仲裁裁判所が、中国が南シナ海で取っている行動についてついに司法判断を下しました。小原さんは、どこに注目していますか。

小原:フィリピンの主張をほぼ全面的に認めた、中国にとって非常に厳しいものであったことです。ここまで厳しいものになるとは予想していませんでした。

小原凡司(おはら・ぼんじ)
東京財団 研究員兼政策プロデューサー
専門は外交・安全保障と中国。1985年、防衛大学校 卒。1998年、筑波大学大学院修士課程修了。1998年、海上自衛隊 第101飛行隊長(回転翼)。2003~2006年、駐中国防衛駐在官(海軍武官)。2008年、海上自衛隊 第21航空隊副長~司令(回転翼)。2010年、防衛研究所 研究部。軍事情報に関する雑誌などを発行するIHS Jane’sでアナリスト兼ビジネス・デベロップメント・マネージャーを務めた後、2013年1月から現職。

 最も大きいのは、中国が南シナ海に九段線を示し、その全域に管轄権を持つとしているのを、国連海洋法条約に照らして「全て認められない」としたことです。さらに、中国が主張する歴史的な権利 についても証拠がないとしました。歴史的権利については触れないものと考えていました。

 南シナ海で中国がしている行為が違法であることが、法の支配の観点から明らかにされたわけです。この司法判断は法的な拘束力を持ちます。

今回の判断は、九段線内の管轄権を否定してはいます。けれども、中国が埋め立てや軍事拠点化を進める個別の礁について、どの国が主権を有しているかは判断していません。岩*1と認められた礁について、中国が主権を主張し軍事拠点化を続けることはあり得るのではないでしょうか。

*1:国連海洋法条約は次のように定めている。島:領海も排他的経済水域(EEZ)も設定できる。岩:領海は設定できるが、EEZは設定できない。低潮高地:どちらも設定できない。低潮高地は、満潮時には水面下に没してしまうものを指す。 

小原:それは言えます。しかし、いくつかの岩で中国が軍事拠点化を続けても、南シナ海全域に影響が及ぶわけではありません。主権が及ぶのはその島の周囲12カイリだけですから。国際社会に影響を及ぼす大きな問題にはならないでしょう。中国が九段線の内側全体、つまり南シナ海のほぼ全域を対象に管轄権を主張していたことが問題だったのです。

中国は決して妥協しない

中国外交部が出した声明をどう評価しますか。「この司法判断に効力はない。中国は受け入れないし、認めない」「国際海洋法条約の権威を損ない、中国の主権国家としての権利を侵すもので、不公正だ」としています。

小原:「受け入れない」というのは非常に強い態度だと言えるでしょう。

ということは、中国が妥協することはない?

小原:できないでしょう。具体的な理由は3つあります。まず南シナ海の海底にある資源を放棄することができない。ブルネイやベトナムの周辺に油田があります。このほかにも開発される可能性があります。

 第2に、海上輸送路を保護できなくなる可能性があるからです。

コメント10件コメント/レビュー

中国と中国を取り巻く情勢は、戦略家のルトワックの近著『中国4.0』のシナリオ通りに動いていることに改めて驚く。ルトワックは、中国は常に戦略を間違えると指摘しているが、AIIBと一帯一路構想も早晩、自壊を迎える可能性もある。

抜本的な問題解決など出来るはずがなく、中国は弥縫策としてフィリピンを「たらしこもう」とするはずだ。あらゆる手法・ノウハウを総動員するはずで、中国人は絶対の自信を持っているはずだ。しかし、この自信は、逆に命取りになるのではないかと思える。世界のメディア、中国ウオッチャー、ジャーナリスト、反体制派中国人、フィリピン人には、是非ともこのたくらみを暴いてい頂きたい。

一方でこの場に及んでも、日本の(サヨク)ジャーナリストは中国共産党の手先のような主張を繰り返している。―「米中の対立が激化し、双方の経済が麻痺するような事態になれば致命的打撃だ。対立を助長するような行動は百害あって一利もない。米中に妥協、和解を求める姿勢を示すことが得策だ」―中国は大喜し、米国は目を丸くすだろう。南シナ海は東シナ海に大きな影響を与えることに全く危機感がない。平和ボケの領域をはるかに超えている。(2016/07/14 12:26)

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「中国、ハーグでやられたら沖ノ鳥島でやり返す」の著者

森 永輔

森 永輔(もり・えいすけ)

日経ビジネス副編集長

早稲田大学を卒業し、日経BP社に入社。コンピュータ雑誌で記者を務める。2008年から米国に留学し安全保障を学ぶ。国際政策の修士。帰国後、日経ビジネス副編集長。外交と安全保障の分野をカバー。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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中国と中国を取り巻く情勢は、戦略家のルトワックの近著『中国4.0』のシナリオ通りに動いていることに改めて驚く。ルトワックは、中国は常に戦略を間違えると指摘しているが、AIIBと一帯一路構想も早晩、自壊を迎える可能性もある。

抜本的な問題解決など出来るはずがなく、中国は弥縫策としてフィリピンを「たらしこもう」とするはずだ。あらゆる手法・ノウハウを総動員するはずで、中国人は絶対の自信を持っているはずだ。しかし、この自信は、逆に命取りになるのではないかと思える。世界のメディア、中国ウオッチャー、ジャーナリスト、反体制派中国人、フィリピン人には、是非ともこのたくらみを暴いてい頂きたい。

一方でこの場に及んでも、日本の(サヨク)ジャーナリストは中国共産党の手先のような主張を繰り返している。―「米中の対立が激化し、双方の経済が麻痺するような事態になれば致命的打撃だ。対立を助長するような行動は百害あって一利もない。米中に妥協、和解を求める姿勢を示すことが得策だ」―中国は大喜し、米国は目を丸くすだろう。南シナ海は東シナ海に大きな影響を与えることに全く危機感がない。平和ボケの領域をはるかに超えている。(2016/07/14 12:26)

日本は軍事大国でもなければ今回の紛争当事国でもなく、米国を追従する目障りな国で、比較的穏やかな国民性であるため、今回の鬱憤晴らしにはもってこいの対象でしょう。
とはいえ、直接的に紛争していない沖ノ島(岩か島かの議論)を今、ハーグに持ち込むのはあまり意味のないように思えます。それよりも、尖閣諸島を事実上の領土争い対象地域としてハーグに日本をひきづり出す方が利益は多いと考えるはず。
しかし、もっと効率的な鬱憤晴らしの対象があります。それは南京大虐殺の歴史的事実化です。今秋のG20議長国である中国は、日本を含めて参加各国の代表を南京大虐殺記念館(侵華日軍南京大屠殺遇難同胞紀念館)で行うセレモニーに招待するという戦略があり、そこで日本を得意の世論戦・歴史戦で包囲し、日本を戦争犯罪国家の敗戦国として永遠に固定しようと企むでしょう。それによって国民の怒りは日本に向けられ、得られる国益は大きいと中共は信じているからです。今後、日本政府はこれへの対策を慎重に練らなければなりませんが、日本が冷静に事実関係と証拠を示せば、一発大逆転の可能性も高いと思います。そうした脇の甘さが中共にはあるのです。日本の記録魔的な緻密さは中共の最も苦手とするものです。(2016/07/14 11:41)

沖ノ鳥島を岩と主張すると、南沙諸島も岩であると認めることになってしまいますが、そのような矛盾を中国が主張しますかね?
もし主張するとしたら、南沙諸島の領有権争いで完膚無きまでに負けた場合のみと思います。

直接提訴するなどではなく、ほのめかす方向で嫌がらせ的に主張することはあるでしょうが、スルーするのが良い戦術でしょうね。

正直申しまして、沖ノ鳥島は客観的には「岩」と思います。
アレを島とする国際的合意は無いでしょうし、日本人から見てもアレは岩です…。

木が生えて、淡水もわき出す南沙諸島の島を「岩」と判断した今回の判決、日本にとっても予想外の衝撃だったと思います。
中国に南沙諸島を放棄させる対価として、法の公平性を保つため、日本は沖ノ鳥島の排他的経済水域を放棄しなければならないかもしれません。
しかしながら、国際社会において名誉ある地位を占めるためには、これは仕方の無いことかもしれませんね。(2016/07/14 11:27)

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三品 和広 神戸大学教授