なぜ日本のロボットは元気を失ったのか

復活の条件は「繊細さ」にあり

ロボット大国と言われた日本だが、最近は今ひとつ元気がない。その中で気を吐いているのが、高齢者や介護者、工場などの肉体労働者向けの筋力補助装置「マッスルスーツ」を開発し、大学発ベンチャーを通じて販売を伸ばしている東京理科大学工学部機械工学科の小林宏教授。日本のロボットはどうなっていくのかを聞いた。

(聞き手は宮澤徹)

最近、政府もロボット産業の育成を声高に言っています。追い風が吹いていると感じますか。

小林 宏
1990年、東京理科大学工学部機械工学科卒業、1999年、東京理科大学工学部機械工学科助教授、2008年から現職。

小林:ロボットが騒がれてきたという実感はあります。ですが、まだ実態が伴っているようには見えません。確かに、日本はロボット大国ではあると思います。工場などで使う産業用ロボットは頑張っていますが、それ以外のところはうまくいっていないのが実情です。

 最近開かれたロボティクスチャレンジというコンクールにおいても、日本は最高でも10位で、韓国のロボットが優勝しました。今の日本は、しょせんその程度です。

 2000年頃、10年後にロボット産業の事業規模が非製造業も含めて年3兆円ぐらいになると言われていたと思います。当時、ヒト型ロボットが相次いで出てきて、国家プロジェクトも立ち上がり、それに伴って、ロボット開発に多くのお金が付きました。ですが、結局はたいして伸びずに、今に至っています。

問題はどこにあるのでしょうか。

小林:ユーザーがうまく使えるようなロボットが、まだできていないことだと思います。気になっているのが、ある誤解の広がりです。ロボットは、仕事の効率を上げるための手段ともよく言われます。ですが、それは必ずしも正しい考え方ではありません。

 これから日本の経済が右肩上がりに伸びていくことなんてないし、人口も減っていく。いかに持続できる社会を作り、国民のクオリティー・オブ・ライフを高めていくかが、ロボットに課せられた役割になるでしょう。僕は、ロボットはそのためのツールだと思っています。

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著者プロフィール

宮澤 徹

宮澤 徹

日経ビジネス副編集長

日本経済新聞社産業部、中国総局、重慶支局長、2012年秋日経ビジネス副編集長。製造業とアジア担当。

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