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イラン、そこは「スマホが普及した高度成長期の日本」

制裁解除で始まる“イラン市場争奪戦”

2015年8月10日(月)

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イランの核開発疑惑を巡る米英ロなど6カ国との協議が、7月14日に最終合意した。欧米諸国がイランに課してきた経済制裁は解除される見通しで、欧州の企業を中心に同国への進出意欲が一気に高まっている。最終合意後、ドイツの副首相が経済代表団を率いて他国に先駆けて首都テヘランを訪問したほか、フランス、イタリア、セルビアやアゼルバイジャンが代表団を派遣している。こうした動きに後れまいと、日本からも山際大志郎経済産業副大臣が率いる代表団が8月8、9日の2日間、現地を訪問。三菱商事などの商社や石油会社、エンジニアリング会社、自動車部品メーカー、銀行を含む合計21社の役員クラスのほか、政府系機関の幹部が参加し、ネエマトザーデ商業・工業鉱山大臣、ザンギャネ石油大臣、セイフ中央銀行総裁と面会した。

イランの概要(2013年)
国名イラン・イスラム共和国
面積日本の約4.4倍
人口7710万人
首都テヘラン
言語ペルシャ語
宗教イスラム教
(98%、そのうち90%がシーア派)
実質GDP成長率-1.9%
名目GDP総額4365億ドル
1人当たりGDP4751ドル
出所:ジェトロ

 多くの企業がビジネスチャンスを得ようと動き出したイランとは、いったいどのような国なのか。そして、日本企業にとっての魅力はどこにあるのか。日本貿易振興機構(ジェトロ)の前テヘラン事務所長で、7月25日に帰国したばかりの豊永嘉隆・地域統括センター長(関東)・関東貿易情報センター所長に話を聞いた。

豊永 嘉隆(とよなが・よしたか)
日本貿易振興機構(ジェトロ)地域統括センター長(関東)・関東貿易情報センター所長。2011年10月から2015年7月25日まで、ジェトロのテヘラン事務所長としてイランの首都テヘランに在住。

イランの核開発疑惑を巡る6カ国協議が最終合意した7月14日、豊永さんはまだテヘランにいらっしゃいましたね。その時の現地の様子はいかがでしたか。

豊永:その時はラマダン期間中だったのですが、夜に最終合意のニュースが伝わると、たくさんの市民が通りに出て、クルマも一斉にクラクションを鳴らし、お祭り騒ぎになりました。それだけ、国民の多くが待ち望んでいたということです。

 最終合意はまさに、イランが国を挙げて、国全体が一体となって勝ち取ったものだという印象を持っています。核開発については英米ロなど主要6カ国に譲歩したという側面もありますが、その一方でイランにとっては、経済制裁の解除は何としても必要でした。

イランに対する経済制裁と核協議の推移
1995年米国、大統領令で米企業によるイランとの取引を禁止
1996年米国、対イラン経済制裁を開始
2002年18年間にわたる未申告の核開発活動が発覚
2004年英仏独とのパリ合意に基づき同活動を停止
2006年ウラン濃縮を再開・継続
2009年新たな濃縮施設の建設が明らかに
2010年テヘラン研究用原子炉の燃料としてウラン濃縮活動を開始
濃縮活動の停止などを要請する安保理決議
2012年欧米による経済制裁強化
2013年
11月
米英ロなど6カ国との間で暫定合意
2015年
7月
最終合意
注:外務省の資料を基に作成

経済活性化のために「合意」は不可欠だった

 2012年に欧米諸国がイランに対する経済制裁を強化してから、通貨リアルは大幅に下落し、インフレ率は13年末頃のピーク時には40%にまで達しました。しかも、これは統計上の数字で、食品や生活必需品などのインフレ率は実感として100%ほどはあったと思います。

 ローハニ大統領は2013年の大統領選挙の公約で、物価の安定を目指すことを強調していました。2015年3月までにインフレ率を20%まで引き下げることを目標にし、実際に統計上は15%くらいまで下がりました。ただ、為替の安定性はまだ不十分で、失業率も10%強もあります。この失業率も統計上のもので、実際はもっと高いと見られています。

 経済制裁の影響で、すべての産業において十分な投資がなされていません。工場では、過去20~30年にも渡って設備の更新がなされていないという事例も少なくありません。経済を立て直すには、外国の資本と技術、そしてマネジメントのノウハウの導入が不可欠という認識はイラン国内で共有されており、どうしても核協議で「合意」を勝ち取り、経済制裁解除という果実を手に入れる必要がありました。

 2013年11月に暫定合意がなされてから、イランは最終合意に向けてやるべきことをやってきたと思います。交渉事ですから、表面上は「要求が通らなければ破談してもよい」というような姿勢を見せることもありましたが、本音はどうしても合意を得たかったはずです。

 その意味で、今回の最終合意は、経済制裁解除への道を拓き、外資導入に向けた動きの第1歩として、非常に大きな意味があります。

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「イラン、そこは「スマホが普及した高度成長期の日本」」の著者

大竹 剛

大竹 剛(おおたけ・つよし)

日経ビジネス記者

2008年9月から2014年3月までロンドン支局特派員。2014年4月から東京に戻り、流通・サービス業を中心に取材中

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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