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「日本で反中感情が高まるのは理解できる」

スタインバーグ前国務副長官に聞く(後編)

2015年8月20日(木)

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 中国の行動についての懸念が高まっている。ASEAN(東南アジア諸国連合)外相会議は8月6日、共同声明に「一部からは南シナ海の埋め立てに深刻な懸念が示された」との文言を盛り込んだ。名指しこそしていないものの、中国の行為を指している。

 7月には、米連邦政府の人事管理局(OPM)がサイバー攻撃を受け、2000万人を超える職員らの情報が盗まれる事件が発生した。ジェームス・クラッパー米国家情報長官が中国が「最有力容疑者」であると発言したことを米紙が報道している。

 今後、中国はどのような方向に歩みを進めるのか。オバマ第1次政権で、ヒラリー・クリントン国務長官(当時)の下で国務副長官を務めたジェームズ・スタインバーグ氏(現シラキュース大学マックスウェル行政大学院院長)に中国観を聞いた。(聞き手は森 永輔)

中国が主導するアジアインフラ開発銀行(AIIB)の取り組みについてお伺いします。米国は、自国の安全保障とルール・メーカーとしての地位に非常に大きな価値を置いていると理解しています。これを脅かすものには真剣に対処する。中国によるAIIBの取り組みは、米国のこの地位を脅かすものではありませんか。

スタインバーグ:話はもっと複雑です。中国が行ってきた開発援助の実績は、米国の視点から見て、援助国が保証すべきモデル――OECD(経済協力開発機構)の開発援助委員会が制定するものなど――の模範と呼べるものではありません。なので、中国がAIIBについて提案した時、この取り組みは世界銀行やアジア開発銀行(ADB)などの重要性を貶めるものとの懸念を持ちました。中国がこれまでに行ってきたことから判断して、これは正当な懸念であると思います。

中国はAIIBが国際秩序への脅威ではないことを保証すべき

ジェームズ・スタインバーグ(James Steinberg)。シラキュース大学マックスウェル行政大学院院長。オバマ第1次政権で、クリントン長官の下、国務副長官を務めた。クリントン政権では国家安全保障担当の大統領副補佐官を務めている。1953年生まれ。イェール大学で法務博士を取得。

 我々がしなければならないのは、AIIBが世界銀行やADBを弱体化させるものではないことを保証するよう中国に求めることです。ADBだけですべて資金需要を満たせるわけではありませんから。

 中国は、(ブルッキングス研究所で上級フェローの職にある)デービッド・ダラー氏を招きアドバイスを受けています。同氏は、かつて世界銀行で仕事をした経験を持ち、信頼のおける人物です。なので、AIIBが既存の国際秩序を弱めるものでなく、米国に対するチャレンジでないことを示すことができるならば、米国はAIIBへの参加を表明してもよいでしょう。参加する必要もあると思います

 この問題も再保証が効果を発揮する分野です。まず、中国が日本や米国に対して、AIIBの目的がADBや現行の国際標準を弱体化することではないと保証するべきです。そして、次に我々が「中国が提案していることを理由にAIIBに反対しているわけではない。AIIBが採用する基準の高さに懸念があるから反対しているだけだ」ということを示すべきです。

 こうした対話を持つこととは、中国にとって良いことでしょう。その意図が正しいことや、AIIBの基準がより高まることを示すことができますから。そして、それができたなら、我々もAIIBを支持することができるでしょう。

なるほど。AIIBが世界銀行やADBの弱体化を図るものでなく、現行の基準を満たすものであることを示すならば、我々は協力することができるということですね。

スタインバーグ:その通りです。

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「「日本で反中感情が高まるのは理解できる」」の著者

森 永輔

森 永輔(もり・えいすけ)

日経ビジネス副編集長

早稲田大学を卒業し、日経BP社に入社。コンピュータ雑誌で記者を務める。2008年から米国に留学し安全保障を学ぶ。国際政策の修士。帰国後、日経ビジネス副編集長。外交と安全保障の分野をカバー。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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