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なぜ日本人ばかりが米国で投獄されるのか?

過去5年、カルテルや談合で30人超

2016年8月30日(火)

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 中国をはじめとした新興国市場が減速した今、個人消費が安定している米国市場は日本企業にとって最大の収益源といっても過言ではない。事実、2015年に日本企業は米国市場から配当などで6兆円近くを吸い上げた。もっとも、そんなビジネスフレンドリーな米国にも落とし穴は存在する。反トラスト法違反における厳しい制裁はその一つだ。

 2010年以降、自動車部品メーカーを中心に、価格カルテルの罪に問われる企業が相次いでいる。過去5年で、カルテルや談合で投獄された日本人は30人を超える。つい最近も、日立オートモティブシステムズがショックアブソーバーにおける価格操作を認めて約56億円の罰金を支払うと発表した。他の外国企業も制裁を受けているが、厳しい制裁を受けるのは群を抜いて日本企業が多い。

 なぜ日本企業ばかりが反トラスト法で制裁を受けるのか。社員の収監や罰金を防ぐためにどうすればいいのか──。反トラスト法に強いコンスタンティン・キャノンのアンカー・カプール弁護士に話を聞いた。

日本企業が反トラスト法の対象になることが多いのは事実

2010年以降、数多くの自動車部品メーカーが価格カルテルの罪に問われました。この状況について、率直にどう思いますか。

アンカー・カプール(Ankur Kapoor)氏
コンスタンティン・キャノン・パートナー
反トラスト法の専門家として数多くの訴訟や助言に関わっている。航空業界の運賃談合におけるクラスアクションなど、日本企業の弁護にかかわることも多い。(写真:Mayumi Nashida)

アンカー・カプール氏(以下カプール):米司法省が日本企業を特にターゲットにしているというわけではないと思いますが、数字を見れば、日本企業や日本のビジネスパーソンが他のいかなる国よりも反トラスト法の対象になっているというのは事実です。本当に理解しがたい、信じられないほどの数ですよ。

 実のところ、私は司法省が発表している規模で価格カルテルが行われていたとは思っていません。対象となっている部品の種類、関与した企業の数、実際にカルテルをしていたとされる期間の長さを考えても、それだけの規模と期間で価格を操作し続けるのはとても難しいと思います。

司法省が言うほどにはカルテルが存在していないと?

カプール:いくつかの価格操作は実際にあったでしょう。ただ、実際に起きたことのかなりの部分は日本のビジネス文化や慣習と、米国で反トラスト法を執行する際のコンフリクト(衝突)によるものだと考えています。

 日本のビジネス文化では、礼儀という面で、あるいは社会的な慣習として、競合他社の人間に会うことは珍しくありません。最近でこそ、競合同士が集まる場所で、価格など特定のトピックを話すべきではないということを理解するビジネスパーソンは増えていますが、仮にセンシティブな話題に出た時に、異議を唱えたり、はぐらかしたりするのは失礼に当たると考える人もまだいると思います。

 そういった人々が「確かに、価格が少し安すぎますよね。何か対応を考えた方がいいですよね」と相づちを打ったとしても、それが価格操作に対して同意したということには普通はなりません。明晰な司法省の人々も、きっとそう思うでしょう。ただ、仮に社内を調べる過程で企業が先のようなコメントを見つければ、罪状を認めるという大きなインセンティブになってしまう。

コメント9件コメント/レビュー

米国政府の行き過ぎた法運用が、却って正義を歪めている事に警鐘を鳴らすべき。罰則影響を極小化する為、多製品を持つ企業は主流の事業を守る為、傍流の事業に責が及ぶような司法取引に動いている。つまり騙しあいが横行して、真実は忘れ去られる傾向が強くなっている。
加えて当局は、調査対象の従業員を雇用しないよう企業へ圧力をかけている。これに唯々諾々と従う企業もあると聞く。行き過ぎた運用というのなら、このように故意の運用で法正義が歪められた上に、本来守られるはずの真面目な従業員に不条理(禁固刑、解雇)が起きてしている現状を踏まえ、一体どうあるべきか、どう対処するべきかに言及するべきでしょう。でなければ、専門家意見とは言えない。(2016/11/24 19:47)

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「なぜ日本人ばかりが米国で投獄されるのか?」の著者

篠原 匡

篠原 匡(しのはら・ただし)

ニューヨーク支局長

日経ビジネス記者、日経ビジネスクロスメディア編集長を経て2015年1月からニューヨーク支局長。建設・不動産、地域モノ、人物ルポなどが得意分野。趣味は家庭菜園と競艇、出張。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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米国政府の行き過ぎた法運用が、却って正義を歪めている事に警鐘を鳴らすべき。罰則影響を極小化する為、多製品を持つ企業は主流の事業を守る為、傍流の事業に責が及ぶような司法取引に動いている。つまり騙しあいが横行して、真実は忘れ去られる傾向が強くなっている。
加えて当局は、調査対象の従業員を雇用しないよう企業へ圧力をかけている。これに唯々諾々と従う企業もあると聞く。行き過ぎた運用というのなら、このように故意の運用で法正義が歪められた上に、本来守られるはずの真面目な従業員に不条理(禁固刑、解雇)が起きてしている現状を踏まえ、一体どうあるべきか、どう対処するべきかに言及するべきでしょう。でなければ、専門家意見とは言えない。(2016/11/24 19:47)

30人の投獄者を出した日本企業は深く反省するべきだ。社員を守るのが会社なのに、社員が外国の刑務所に入れられるのを防がなかった会社の役員はそれでも役員報酬を受け取る。こんなリーダーのいる会社が世間から敬意を受けることが間違っている。「社員の変わりに自分が刑務所に入ります」と言ってくれないリーダーを信じられますか?責任を取るのがリーダーでしょ?
刑罰を受けた社員を会社は面倒見れないないですよね、コンプライアンスといういうものがありますから。会社の為に罪を被せられた現地担当者の家族は罪人の家族という十字架を一生背負って生きていきます。子供達が受けるショックは会社の経営者達はどう受け止めるのでしょう。社員を助けられない会社のトップなどこの世の中に必要がないほどの屑・公害。(2016/09/05 08:24)

下のコメントにもあるように、くそまじめな日本では、まさにコンプライアンスが会社をつぶすの事例でしょうかね。(2016/09/02 12:49)

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三品 和広 神戸大学教授