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革新は“プロ経営者”より研究者の情熱が生む

CEOに復帰した米アキュセラ創業者、窪田良氏に聞く

2015年9月7日(月)

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「失明を予防する飲み薬」を開発している創薬ベンチャー、米アキュセラの創業者でCEO(最高経営責任者)の窪田良氏は昨年12月、突然、取締役会で解任された。窪田氏が雇った元COO(最高執行責任者)らとの経営観の相違が原因だったという。「経営は“プロ経営者”に任せた方がよい」という元COOらの考え方と、「イノベーションを起こすには、困難を乗り越えられる創業者の情熱が必要」という窪田氏の考え方の溝は深かった。窪田氏は今年5月、大株主の後押しを得てCEOに復帰することに成功し、新体制の下で“再スタート”を切っている。

窪田氏が開発を目指しているのは、世界に1億2000万人の患者がいると言われている「加齢黄斑変性」という病気の治療薬。ひとたび発症すると一定のスピードで確実に視力が低下し、最後は失明する可能性がある目の病気だ。出血を伴う末期段階(「ウェット型」)に対しては注射による治療はあったが、患者の大半を占める出血に至るまでの段階(「ドライ型」)については治療薬がなく、手の施しようがなかった。窪田氏は、このドライ型について、症状の進行を食い止める飲み薬の開発を目指している。

昨年12月、CEO(最高経営責任者)を解任され、今年5月に復帰するという騒動に見舞われました。何が原因だったのでしょうか。

:意見の相違です。僕は、自分がコンセプトから開発した技術を世の中に出すには、発明した本人が経営もした方がいいと考えたのですが、ほかの取締役たちはそうは考えなかった。営業のエキスパートで商売の上手い人が経営した方がいいと。僕は1票で、向こうは4票でしたから、負けたということです。

“プロ経営者”のスキルより研究者の情熱

米国のバイオベンチャーでは、技術の発明者ではなく、いわゆる“プロ経営者”が会社の舵取りをする事例が多いのでしょうか。

窪田良(くぼた・りょう)
アキュセラ創業者で会長・社長兼CEO(最高経営責任者)。1991年慶應義塾大学医学部卒。96年虎の門病院勤務。97年緑内障原因遺伝子「ミオシリン」の論文を発表、「須田賞」を受賞。99年慶應義塾大学医学部大学院修了、博士号取得。2000年ワシントン大学医学部構造生物学教室シニアフェロー、2001年同眼科学教室助教授、2002年、シアトルの自宅地下室でアキュセラ設立、社長兼CEO。2013年、米ウォールストリートジャーナルで「世界を変える日本人」として紹介。著書『極めるひとほどあきっぽい』(日経BP社)、『「なりたい人」になるための41のやり方』(サンマーク出版)
(写真:陶山勉)

:米国にはプロ経営者が山のようにいます。30代でCEOを経験し、その後は徐々により大きい会社に移りながらずっとCEOをやっていくという世界です。ただし、テクノロジー系のベンチャーの場合は、最初は技術を生み出すサイエンティストが必要で、その後の経営がどのような形態をとるかは、そのサイエンティストの考え方次第です。経営よりも試験管を振っていた方がいいという考え方なら、プロ経営者を雇うでしょうが、僕はそうではありません。

 僕は、経営も含めてやらないとやる気が出ないタイプですから。僕みたいな人の場合は、ファウンダーがずっとCEOをやった方がいいと言われている。最近のバイオベンチャーは、こうした傾向に回帰しているのではないでしょうか。例えば、財務の人を連れてきても、コスト削減などは上手いかもしれないが、肝心要の技術のことを分かっていないとどうなのか。

 大株主にそう話したら、理解してくれたからCEOに戻れました。クレイジーなサイエンティストと、クレイジーな投資家が結びついたところにイノベーションが生まれるのだと、僕は思います。創業者が持っているパッションや最後まであきらめない姿勢が、本当の困難に直面した際に、それを乗り越える最後の原動力になるのです。我々は、オペレーションをいかに効率よくやるとか、そういうことを競っているわけではなく、イノベーションを起こそうとしているのですから。

 取締役はすべて入れ替えました。今は非常にやりやすいですね。やっぱり、長い間のひずみがたまっていたのでしょう。それを一気にリセットしました。

昨年2月の上場直後から、株価は大きく下落しています。投資家の期待にどのように応えていくつもりですか。

:価値を作って説明していくしかないですね。我々の会社の価値は、臨床的なデータだけでしか示せません。この2年間、臨床試験がずっと続けていただけですので、残念ながらデータを発表する機会がありませんでした。良いデータが出ているのか悪いデータが出ているのか、社外からは分からない。一般的に長期試験をやっている製薬会社では、「No News is Good News」という言い方をするのですが、そこがなかなかご理解いただけていないのでしょう。

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「革新は“プロ経営者”より研究者の情熱が生む」の著者

大竹 剛

大竹 剛(おおたけ・つよし)

日経ビジネス記者

2008年9月から2014年3月までロンドン支局特派員。2014年4月から東京に戻り、流通・サービス業を中心に取材中

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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