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第1回 中国に欺かれ続けてきた米国

米中国交回復の驚くべき真実を著書「China 2049」で明かしたM・ピルズベリー氏に聞く

2015年9月11日(金)

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「米国の対中戦略は根本的に間違っている」。なぜか。「中国は再び世界の覇権を握るべく、米国や一般に世界が考えているよりはるかに長期的な視点で、戦略的に考え、動いている。そのことにあまりに多くの人が気づかず今に至っているからだ」――。

 こんなメッセージの本が米国で今年2月に出版され、米「ウォールストリート・ジャーナル」や米「ニューズウィーク」が取り上げるなど話題を集めている。英語の原題は、『The Hundred-Year Marathon:China’s Secret Strategy to Replace America as the Global Superpower』。中国が取り組んでいるのは、まさに「100年の歳月をかけて実現させようとしているマラソンのような長期的な戦略」なのだという。

 著者は、1969年以降、米ニクソン政権からカーター、レーガンと歴代の政権を通じて計約30年にわたり米国防総省や米国務省などで、中国の軍事力の分析に携わってきたマイケル・ピルズベリー氏だ。このほど日本語版『China 2049』が出版されたのに伴い、同氏が見る中国の考え方、そして、米国や日本がそうした中国にどう対応していけばいいのかを聞いた。

 インタビューを4回に分けてお届けする。ピルズベリー氏は、本を書いた目的は決して中国への敵対心をあおるためではないと強調する。米国や日本はどうすべきなのか、同氏の提案する対応策を最終回で紹介するので最後までご覧いただきたい。

 第1回は、米国と中国の国交正常化プロセスに至る驚くべき真実を含め、ピルズベリー氏がなぜ本を書くに至ったかを話してもらった。記事の末尾にピルズベリー氏へのインタビューを一部収録した動画を掲載した。

(聞き手 石黒 千賀子)

「米国の中国に対する認識の誤りは、米中の国交回復に遡る」と指摘されています。

ピルズベリー:米国ではこれまで、米中の国交を回復させたのは、リチャード・ニクソン大統領とヘンリー・キッシンジャー氏(ニクソン大統領の国家安全保障担当大統領補佐官)だったと誰もが信じてきました。実際、キッシンジャー氏は自らの回顧録の中で何度もそう書いてきた。「中国の扉をノックしたのは自分たちで、それによって我々が中国を世界の舞台へと導き出したのだ」と。米国には「Only Nixon could go to China」という諺まであるほどです。朝鮮戦争以降、あれだけ米国が敵対してきた中国への訪問を実現できたのは、米国内の反対派をも押さえ込めるほどの支持を誇っていたニクソン氏だからできた功績だという意味です。しかし、事実は違った。国交を回復すべく、米国に働きかけてきたのは中国でした。これが真実です。

「米中関係は知られていない事実があまりに多い」

マイケル・ピルズベリー(Michael Pillsbury)氏
1945年米カリフォルニア生まれ。米スタンフォード大学卒業(専攻は歴史学)後、米コロンビア大学にて博士課程を修了。1969~70年国連本部勤務を経て、73~77年ランド研究所社会科学部門アナリスト、78年ハーバード大学科学・国際問題センターのリサーチフェロー、81年国務省軍備管理軍縮庁のディレクター代行、84年国防総省政策企画局長補佐、86~90年議会上院アフガン問題タスクフォース・コーディネーター、92~93年国防総省総合評価局特別補佐官、98~2000年国防総省特別公務員(米国国防科学委員会)、1997~2000年米国防大学客員研究フェロー、2001~2003国防総省政策諮問グループメンバー、2003~2004年米中経済・安全保障検討委員会シニア調査アドバイザー、2004年以降、現在も国防総省顧問を続けながら、ハドソン研究所中国戦略センター所長を務める。米外交問題評議会と米シンクタンクの国際戦略研究所(CSIS)のメンバーでもある。米ワシントン在住。
著書に『Chinese Views of Future Warfare』『China Debates the Future Security Environment』などがある。(写真:大高 和康、以下同)

 事実、キッシンジャー氏も2011年に出版した彼にとって4作めとなる回顧録『On China(邦題:キッシンジャー回想録 中国)』では、国交回復への表現を微妙に変えています。中国側からも、米国側からも双方が「並行して」働きかけた結果、実現したものである、と。それまでの3つの回顧録には、このような「並行して」という表現は出てきません。

 私が今回、本を書こうと思った理由は複数ありますが、大きな理由の一つがキッシンジャー氏のこの4作めの回顧録を読んだことでした。彼はこの回顧録を書くのに8年かかったと語っています。すべてではないものの、以前よりずっと多くのことを明かしているし、それまで彼が書いてきた本とも見方が全く異なります。「キッシンジャー氏も、中国への見方を変えつつある」と確信しました。私も、30年近く国防総省や国務省、米上院委員会、米中央情報局(CIA)など米連邦政府機関で中国の専門家として働いてきて、少し前までは「パンダハガー(親中派)」として知られてきた。しかし、近年、中国に対する認識を改めるに至りました。

 米中関係については知られていない事実があまりに多い。自分自身の経験も踏まえつつ、そうした知られていない事実を明らかにすることで、中国や米中関係の全体像をしっかりと伝えることが今こそ重要だと感じ、本を書きました。

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「第1回 中国に欺かれ続けてきた米国」の著者

石黒 千賀子

石黒 千賀子(いしぐろ・ちかこ)

日経ビジネス編集委員

日経BPに入社後、英LSEに留学し修士取得。日経ビジネス、日経ナショナルジオグラフィック、日経ベンチャーを経て、2003年日経ビジネスに編集委員として戻る。主に、本誌の「世界鳥瞰」の欄を担当。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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