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楽観論者が語るTPP実現のナローパス

デロイト トーマツ コンサルティング 羽生田慶介 執行役員/パートナーに聞く

2016年9月14日(水)

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 今年2月に日本や米国など12カ国が署名した環太平洋経済連携協定(TPP)。だが、各国における議会承認の段階になって発効が危ぶまれている。その最大の火元は、地域で最大の経済規模を誇る米国だ。

 中間層の崩壊と、その元凶としての自由貿易が米大統領選の争点と化したこともあり、民主党のヒラリー・クリントン候補、共和党のドナルド・トランプ候補ともにTPPに反対を表明している。オバマ大統領は11月8日の大統領選から来年1月の新大統領就任までのいわゆる「レームダック期間」に議会承認を得る腹づもりだが、「今、採決すれば否決される」と米共和党のライアン下院議長は現時点での議会承認には否定的だ(レームダック期間とは、次期大統領が決まり、現職大統領の政治的な影響力が限りなく減退する期間のこと。この期間にTPPを承認すれば、次期大統領は「あれはオバマ大統領がやったことだから…」というエクスキューズが可能になる)。

 安倍政権の最優先政策であるTPP。このまま漂流すれば政権へのダメージも深い。グローバリズムや自由貿易に対する批判の炎が燃えさかる今、果たしてTPPが発効する可能性はあるのだろうか。通商政策に詳しいデロイト トーマツ コンサルティングの羽生田慶介 執行役員/パートナーに聞いた。

(聞き手は、ニューヨーク支局、篠原 匡)

オバマ大統領は大統領選後のレームダック期間にTPPの議会承認を得るべく動いていますが、後継者のクリントン候補までTPPを批判しており、レームダック期間の議会承認はかなり難しくなっているように見えます。羽生田さんは米国の議会承認についてどう見ていますか?

羽生田慶介パートナー(以下、羽生田): 基本的にあまり悲観視していません。正直、共和党のトランプ氏が大統領に就任した場合にどう動くのかは読めませんが、TPPがレームダック期間に米議会の承認を得る可能性は残っているというのが僕のスタンスです。

羽生田 慶介(はにゅうだ・けいすけ)氏
デロイト トーマツ コンサルティング 執行役員/パートナー
経済産業省で日ASEAN経済連携(EPA)交渉に従事した後、A.T.カーニーやキヤノンを経てデロイト トーマツ コンサルティングに参画。経営戦略・事業戦略の豊富なコンサルティング経験と規制・制度に関する深い理解を背景に、通商を中心としたルール対応戦略の支援に注力している。

サイドレターで処理するという方法

TPP支持派とみられていたクリントン氏ですが、予備選のライバルで反TPPの急先鋒だったバーニー・サンダース上院議員の健闘もあって現在はTPPに反対を表明するようになりました。特に最近は、TPP批判のトーンが上がっているように見えます。これだけ反対しているのに、大統領選後に立場を変えることなどできるのでしょうか。ただでさえ、クリントン氏に対する有権者の信頼性が低下しているだけに…。

羽生田:確かに、クリントン氏はTPPを批判していますし、当選後、再交渉の論陣を張り続けるかもしれません。ただ、米国大統領選の前に、日本やベトナムなど他国が議会承認を得れば、クリントン氏がエクスキューズできる余地が生まれます。

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「楽観論者が語るTPP実現のナローパス」の著者

篠原 匡

篠原 匡(しのはら・ただし)

ニューヨーク支局長

日経ビジネス記者、日経ビジネスクロスメディア編集長を経て2015年1月からニューヨーク支局長。建設・不動産、地域モノ、人物ルポなどが得意分野。趣味は家庭菜園と競艇、出張。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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