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元受刑者が働く居酒屋を歌舞伎町に開店したワケ

“仕掛け人”玄秀盛氏が語る出店の狙いと今後の取り組み

2015年10月1日(木)

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出所者に働く場所を提供するだけではなく、彼らに対する一般社会の負のイメージや先入観の改善を目指したということですね

:その通り。敗者復活できる社会になって再犯を減らせれば、結局は被害者を生まないことにもつながる。それで、俺が代表を務める公益社団法人日本駆け込み寺とは別に、一般社団法人再チャレンジ支援機構を立ち上げ、出所者支援居酒屋を始めることにした。この構想に賛同してくれた元最高検察庁検事で弁護士の堀田力さんに、支援機構の代表を務めていただいている。

 それと、再チャレンジ支援機構では、ニート(若年無業者)や引きこもりと呼ばれている若者の社会復帰も支援している。1回や2回の失敗や挫折で社会からはじかれてしまってはかわいそうやろ。彼らももう1度社会の中に戻してやらんと。

 新宿駆け込み餃子はおかげさまで盛況で、評判を聞きつけた刑務所や少年院から働くことを希望する人たちを紹介したいとの相談も直に来ている。

人はつながりの中で認められれば再生する

元受刑者の方たちを採用するに当たって、何らかの基準や心がけていることなどはありますか?

:まず、新宿駆け込み餃子で採用できないのは、殺人や薬物、性犯罪などの重大犯罪者。ここは線を引いている。それ以外で、働きたい希望者とは、俺が一人ひとり、数カ月かけて継続的に面談・研修している。

玄秀盛(げん・ひでもり)氏
公益社団法人日本駆け込み寺代表理事、一般社団法人再チャレンジ支援機構理事。1956年大阪市西成区生まれ。在日韓国人として生を受け、4人の父と4人の母の元を転々として育つ。中学卒業後、28もの業種を経験した後、不動産や金融など様々な事業を興した。2000年、白血病を起こす恐れのあるウイルスへの感染が判明し、金儲けの世界からの卒業を決意。2002年5月に日本駆け込み寺の前身のNPO法人日本ソーシャル・マイノリティ協会創立。2012年公益社団法人を取得。2013年日本国籍取得。2014年4月には一般社団法人再チャレンジ支援機構(代表理事・堀田力氏)を設立し、社会復帰が困難な刑務所出所者などの支援を行なっている

 俺は彼らの身元引受人にもなるし、居住地の手配なども行っている。要するに出所者の“里親”。そこまで踏み込まないとね。単なる雇うだけではあかん。職場の中だけ指導・管理の眼を光らせたところで、多くはプライベートな部分でふらついてしまうのだから。

 まして歌舞伎町なら誘惑だらけや。金があればどこでも飲めるし、いろんな悪さをしようと思えば、恐らくあっさりできる。もっとも、だからこそここで働くことに意義がある。毎日が修行みたいなものだから。誘惑も多い街だけど、職務質問も毎日のようにかかるわな。

 それから、俺が一番心がけているのは、やり直そうという人間をすべて認めてあげること。過去を丸ごと受け止める。駆け込み寺で被害者だけでなく加害者対応もする中で、俺はその必要性をつくづく感じた。

 「前科三犯です」、「自分はこんな境遇で育った」、「周囲の環境がこうでした」…。こんな打ち明け話を聞いた際、俺は「分かった」と言って、すべて飲み込んでまず認めてあげることに徹する。前科者だからって日陰者にならんでええし、「罪と罰」ではないけれど、悔い改めたら罪は憎めど人は憎まずというのが俺のポリシーなので。

 誰かが一人、見守る、信じる、認めることによって、びっくりするほど人間は変わる。人はつながりの中で認められれば再生する。実際、本当にそうだから。

 新宿駆け込み餃子は元受刑者らに「研修の場」を提供することが運営の基本理念となっていることもあり、彼らが働く期間は、基本は3カ月、長くて6カ月としている。短いと感じるかもしれないが、他人に認められると、その期間だけで十分自信がついて、巣立っていける。実際、これまで駆け込み餃子のスタッフから既に何人かが “卒業”し、次の職場へと移っていった。そこで、正社員になることなどを目指している。

コメント4件コメント/レビュー

最後の企業へのメッセージが特によかった。目立たないが身近なところにある問題に地道に取組む活動にこそ、企業はお金を使ってほしい。同時にそういう社会貢献がきちんと評価される社会でなくてはいけないが。(2015/10/05 15:13)

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「元受刑者が働く居酒屋を歌舞伎町に開店したワケ」の著者

庄子 育子

庄子 育子(しょうじ・やすこ)

日経ビジネス編集委員/医療局編集委員

日経メディカル、日経DI、日経ヘルスケア編集を経て、2015年4月から現職。診療報酬改定をはじめとする医療行政や全国各地の医療機関の経営を中心に取材・執筆。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

最後の企業へのメッセージが特によかった。目立たないが身近なところにある問題に地道に取組む活動にこそ、企業はお金を使ってほしい。同時にそういう社会貢献がきちんと評価される社会でなくてはいけないが。(2015/10/05 15:13)

はがき案が素晴らしい!!!誰も考えつかなかった、又は考え付いても実際に行動できないところを、実際に行動に起こせる玄秀盛氏を心より尊敬いたします。玄氏のような方がもっともっと増えたらこの日本社会はよくなると思います。心より応援申し上げます。(2015/10/05 13:43)

玄さんへ、いのちの葉書をネットカフェやファミレスなどにも置いてもらっては如何でしょうか?少なくとも更生しようとしている人達は応援する社会であって欲しいと思います。(2015/10/01 15:19)

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