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日本にはなぜ“IT音痴社長”が多いのか

分からないなら「勉強すべき」

2015年10月28日(水)

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 ITは特殊な技術で、素人にはよく分からない――。日本の経営者には、今なおそんな苦手意識を持ち続けている人が少なくない。中には自らが「IT音痴」だと認め、「部下に全て任せている」と公言する社長すらいる。

 ガートナージャパンの長谷島眞時エグゼクティブパートナーは「ITが分からないなどと、社長ならば口が裂けても言ってはならない」と指摘する。なぜ、日本の経営者はITに苦手意識を抱いているのか、話を聞いた。

(聞き手は小笠原 啓)

長谷島 眞時(はせじま・しんじ)氏
ガートナージャパン
エグゼクティブ プログラム グループ バイス プレジデント兼エグゼクティブ パートナー
1976年ソニー入社。2004年にCIO(最高情報責任者)兼ソニーグローバルソリューションズ代表取締役社長CEOに就任。2008年6月 ソニー業務執行役員シニア バイス プレジデントに就任。2012年3月ガートナージャパン入社。(写真=陶山 勉)

最新のデジタル技術や、それを活用した企業の先進事例の多くが海外起点です。日本企業は世界のITの潮流から取り残されているのではないでしょうか。

長谷島:日本企業がデジタル化で海外勢の後塵を拝している。個別ケースで見ると異論があるかもしれませんが、全体としてはこの傾向は否定できません。

 今起きているデジタル化は、以前とは全く違います。業務の効率化やコスト削減とは異なり、ビジネスそのものがテクノロジーによって変わり始めている。もはや、テクノロジーを無視しては企業活動は考えられません。2014年からそういう新時代に入ったと、ガートナーは考えています。

 かつてITはビジネスの「イネーブラー」でした。事業計画が先にあり、それを実現するためにシステムやコンピュータを活用するという位置づけでした。

 今後はどんなテクノロジーがあるかで、ビジネスモデルが決まってくる。技術を起点に考えないといけません。こういう概念を「テクノロジードリブン」と呼びます。

 ところが、日本ではこういう視点を持つ人材に乏しい。特に経営者が変化に気付けていない。そのため、デジタル化の議論が遅れたり、推進する主体が不在になったりしているのです。

音痴集団の中では、自分が音痴だと気付かない

日本は特殊なのですか。

長谷島:音痴ばかりが集まった中にいたら、自分が音痴だと気付けませんよね。周りと同じレベルであれば劣等感を覚えることはないし、自分の実力が見えなくなります。日本の経営者はITやデジタル化に関して、こういう状況に陥っているのでしょう。

 経営者がITやデジタル技術に詳しくないと自覚しても、周りには、似たようなレベルの社長が多くいるわけです。すると、自分は特別ではないと安心してしまう。そして、ITに詳しくないことを正当化し始めるのです。

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「日本にはなぜ“IT音痴社長”が多いのか」の著者

小笠原 啓

小笠原 啓(おがさわら・さとし)

日経ビジネス記者

早稲田大学政治経済学部卒業後、1998年に日経BP社入社。「日経ネットナビ」「日経ビジネス」「日経コンピュータ」の各編集部を経て、2014年9月から現職。製造業を軸に取材活動中

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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