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南シナ海の軍事行動、米国は絶対に引かない

2015年10月29日(木)

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米国が南沙諸島に派遣した駆逐艦「ラッセン」(写真:US Navy/ロイター/アフロ)

米海軍が10月27日、南シナ海の人工島12カイリ内の海域に駆逐艦を派遣し、哨戒活動を行った。
ここは中国が「領海」と主張する海域だ。
中国は、事前の許可なく外国の軍艦が「領海」に入ることを拒否しており、今後、米中間の対立が深まることが懸念される。
米国の意図はどこにあるのか。中国はどのように対応するのか。
元自衛官で、中国の政治・軍事活動をウォッチしている、小原凡司・東京財団研究員兼政策プロデューサーに話を聞いた。(聞き手は森 永輔)

中国が埋め立てを進めている南シナ海の岩礁、スービ礁から12カイリ以内の海域に、米海軍が駆逐艦「ラッセン」を派遣し、哨戒活動を行いました。ここは中国が「領海」と主張する海域です。米国の狙いはどこにあるのでしょうか。

小原凡司(おはら・ぼんじ)
東京財団 研究員兼政策プロデューサー
専門は外交・安全保障と中国。1985年、防衛大学校 卒。1998年、筑波大学大学院修士課程修了。1998年、海上自衛隊 第101飛行隊長(回転翼)。2003~2006年、駐中国防衛駐在官(海軍武官)。2008年、海上自衛隊 第21航空隊副長~司令(回転翼)。2010年、防衛研究所 研究部。軍事情報に関する雑誌などを発行するIHS Jane’sでアナリスト兼ビジネス・デベロップメント・マネージャーを務めた後、2013年1月から現職。

小原:「航行の自由」を守ることが米国の狙いです。「航行の自由」というと商船が自由に行き来できることを思い浮かべますが、米国がこの言葉を使う場合は「米軍が自由に活動できること」も意味します。何かあれば、いつでも必要な場所に駆けつけられる状態を維持する。

 中国は「南沙諸島とその周辺の海域」、すなわち南シナ海のほとんどの海域に「主権」を持つと主張し、米国の軍事行動を排除する意図を示しています。1992年に領海法を制定して、他国の軍艦が中国の「領海」を無害通航する権利を否定しました*1。国連海洋法条約は、他国の軍艦の無害通航権を認めています。米国は今回、中国のこの意図を挫こうとしています。

*1:沿岸国の安全を脅かさない限り、外国船が自由な航行を認められる権利

中国が南シナ海で取っている行動は、いろいろな面で問題視されています。それらのどの面に米国はフォーカスしているのでしょう。例えば、スービ礁の位置づけを問題視しているのか。岩であれば領土となりますが、岩礁ならば領土と主張することはできません。それともスービ礁を埋め立てたことが問題なのか。はたまた、埋め立てて造った人工島を軍事利用する可能性が問題なのか。

小原:スービ礁は暗礁です。領土と主張することはできません。埋め立てて人工島にしても、領土とはなりません。オイルリグが領土とはならないのと同じです。従って、この人工島から12カイリ以内の海域も領海とはならず、公海です。公海であれば、米海軍が哨戒活動を行っても何の問題もありません。米国は哨戒活動をすることで、この海域が公海であることを実力をもって示そうとしたのです。そして、同様のロジックが南シナ海全体に及ぶと主張したいのです。

中国は南シナ海に九段線と呼ぶ線を設定し、この域内に主権ともとれる権利を主張しているからですね。

小原:その通りです。

小原さんは中国が南シナ海で進める核戦略も重視しています。

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「南シナ海の軍事行動、米国は絶対に引かない」の著者

森 永輔

森 永輔(もり・えいすけ)

日経ビジネス副編集長

早稲田大学を卒業し、日経BP社に入社。コンピュータ雑誌で記者を務める。2008年から米国に留学し安全保障を学ぶ。国際政策の修士。帰国後、日経ビジネス副編集長。外交と安全保障の分野をカバー。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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