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自動車メーカーに排ガス規制の逆襲

自動車アナリストの第一人者にVW問題の影響を聞いた

2015年10月30日(金)

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 独フォルクスワーゲン(VW)の排ガス不正問題。違法ソフトを搭載したVW車は1100万台に達し、制裁金や訴訟、そしてリコールの費用負担は4兆円を突破するとも見込まれている。トヨタ自動車と世界一の座を争っていたVWの失速は、日本の基幹産業である自動車業界にどのような影響を及ぼすのか。ディーゼル車のイメージが悪化することで、日本勢が先行してきたHV(ハイブリッド車)に追い風が吹くようにも見える。

 だが、ナカニシ自動車産業リサーチ代表の中西考樹氏は「そんな単純な話ではない」と断言する。中西氏は日本を代表する自動車アナリストで、今年7月に上梓した『2020年の「勝ち組」自動車メーカー』では、近未来における日系自動車メーカーの競争力を6つの視点から多面的に分析した。その中西氏に、VW問題発覚後の自動車業界を占ってもらった。

VWの不正ガス問題が自動車業界にどのような影響を与えるとお考えですか。

中西:VWはここ数年、破竹の勢いで伸びてきました。今年上期にはトヨタ自動車を抜いて世界首位となりましたが、過去の自動車業界のジンクスから言えば、販売台数が1000万台に近づくと大きなトラブルに巻き込まれます。2009年に経営破綻に追い込まれた米GM(ゼネラル・モーターズ)もそうですし、トヨタ自動車も2009年から2010年にかけて大規模なリコールを余儀なくされました。

中西 孝樹(なかにし・たかき)氏
1986年米オレゴン大学卒。山一證券、メリルリンチ証券などを経て、2006年からJPモルガン証券東京支店株式調査部長。2009年アライアンス・バーンスタインのグロース株式調査部長に就任。2011年にアジアパシフィックの自動車調査統括責任者としてBofAメリルリンチ日本証券に復帰。2013年に独立し、ナカニシ自動車産業リサーチ代表。1994年以来一貫して自動車業界の調査を担当し、日経ヴェリタス人気アナリストランキングの自動車・自動車部品部門では2009年まで6年連続で1位。

 VWに関して言えば、去年の後半から今年の春先にかけて、中国市場で急に調子が悪くなっていました。VWグループは中国で全体の4割を売っていて、稼ぎ柱の市場で黄信号が灯っていたのです。やはりVWにも「1000万台の試練」が訪れたのかなと思っていたところ、今回、2008年頃から導入したディーゼルエンジンに行っていた不正が判明しました。これまでの成長路線の中で、無理が生じていたのは明らかです。

 成熟した自動車会社として社会的な責任を果たすのは当たり前です。とりわけVWは、欧州を代表するメーカーとしてリーダーシップを求められる立場にもあります。「災い転じて福となす」ということわざではないですが、今回の問題をきっかけに、株主、従業員、そしてユーザーにとって、VWが良い方向に変わればいいなと思います。

 今回の問題が発覚する以前から、私はVWの競争力は盤石とは思っていませんでした。経営のやり方や企業文化にかなりの偏りがありました。そこがVWのリスクになる懸念は昔から強く認識されていたのです。

中西考樹氏が今年7月に上梓した『2020年の「勝ち組」自動車メーカー』(日本経済新聞出版社)

 私は2013年11月に『トヨタ対VW(フォルクスワーゲン)』という拙著を上梓しています。その最終章でVWの先行きに関しての問題点を指摘しています。第1に中国市場に偏重し過ぎていて、持続的な成長が難しい。だからこそ米国市場をしっかり強化する必要がある。第2に経営のリーダーシップの問題で、(VWの前監査役会長の)フェルディナント・ピエヒが独裁的な経営を長期に渡って敷いたことから、経営の持続性が問題になると指摘しました。第3にグローバルなリスク管理に甘さがある。販売台数が1000万台を超えてから、各地域で進むローカル化にどう対処していくかが課題だと考えていました。

 こうした問題認識は私の独自な見方と言うより、業界内のコンセンサス(共通認識)に近かったのではないでしょうか。「VWはこれから大丈夫なんだろうか」という指摘は以前から常にあったのです。

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「自動車メーカーに排ガス規制の逆襲」の著者

坂田 亮太郎

坂田 亮太郎(さかた・りょうたろう)

日経ビジネス副編集長

東京工業大学大学院修了後、98年日経BP入社。「日経バイオテク」「日経ビジネス」を経て2009年から中国赴任。北京支局長、上海支局長を経て2014年4月から日経ビジネスに復帰

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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