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生活保護費削減で存亡の危機に立つ福祉アパート

大阪あいりん地区発サポーティブハウスの実態と課題

2015年11月12日(木)

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日本最大の日雇い労働者の街とされる大阪市西成区のあいりん地区(通称釜ヶ崎)。労働者が減った15年ほど前から、簡易宿泊所を転用した、「サポーティブハウス」と呼ばれる新たな住まいの形が登場した。主に65歳以上の高齢者や、病気やケガなどで働けない人向けに、「定住」するための場所を提供するとともに、日々の生活を様々な面からサポートする。

今では寄る辺ない人たちの「終(つい)のすみか」としての役割も果たしている同施設。だが、幾つか課題も重くのしかかる。 サポーティブハウスにおける取り組みの実態や直面する課題について、自らハウスを営み、NPOサポーティブハウス連絡協議会の代表理事も務める山田尚実さんに話を聞いた。

(聞き手は 庄子育子)

山田尚実(やまだ・なおみ)氏
サポーティブハウス「メゾンドヴューコスモ」代表。2001年、夫の死去に伴い、簡易宿泊所の経営を引き継いだ後、サポーティブハウスに改装した。2011年より「NPO法人サポーティブハウス連絡協議会」代表理事。

まずは、大阪のあいりん地区にサポーティブハウスができた経緯をお聞かせください

山田:サポーティブハウスが初めてできたのは2000年です。バブルの崩壊により1997年ごろから始まった建設不況で、この街は稼ぐ手段がなくなって、ドヤと呼ばれる簡易宿泊所(簡宿)に泊まれずに路上で寝るしかない人たちが急激に増えました。

 本人さんたちはもちろん大変でしょうし、簡宿の経営者にとっても、昨日まで泊まっていた人たちが野宿になるのを見ると心が痛むと同時に空室の増加で経営難に陥るところが出てきた。路上で亡くなる方も増え、このままでは街がすさんで釜ヶ崎自体が衰退してしまう恐れがあるということで、1999年に学者や研究者、支援団体、地域住民、そして簡宿の経営者らが集まって「釜ヶ崎のまち再生フォーラム」という勉強会の場を設けました。そこでの議論の末に生まれたのが、サポーティブハウスの考え方でした。

具体的にどういったものを目指すことにしたのですか

山田:「路上から畳の上へ」を合言葉に、簡宿を、まずは生活保護を受けられる住まいの場としてのアパートに転用することにしました。行政区によって差があるようですが、大阪の場合、宿泊施設にいる状態では生活保護が受けられませんので。

 それでアパートに衣替えするに当たって、単に登記を変えるだけではなく、建物のバリアフリー化や、コミュニケーションの場となる談話室の設置、スタッフの365日24時間配置といった基準を自主的に設けて、満たすようにしました。というのも、釜ヶ崎には、大阪万博の開催などで建設ラッシュだった1970年ごろまでに大量に流入した労働者が多く、そうした人たちの高齢化が進み始めていたからです。

ずっと住み続けてもらうことを前提にした住まいづくりを進めたというわけですね。

山田:ええ。野宿状態からでも利用できるように、入居時には保証金なし・保証人なし、家賃も後払い可としました。生活保護につながったら家賃をもらいましょうという形です。手順としては、その人との話し合いによる聞き取りだけで、お部屋に住んでもらい、契約書を交わす。そしてスタッフが一緒に役所に出向いて生活保護申請の手続きを支援する。生活保護給付が認められるまでには1カ月ぐらいかかるので、その間のお弁当代を立てかえたり、着の身着のままで来られる方のために、古着を集めて着ていただけるものを用意したりといったこともするようにしました。

 入居後は、常駐スタッフが日々の生活を様々な面からサポート。支援内容は多岐にわたりますが、共用部分の清掃、安否確認以外に、例えば服薬時間の管理や見守り、通院時の付き添い、入院中の見舞い、弁当の手配、介護保険の相談などに応じることにしました。こうした一定の要件をクリアした転用アパートを、支援体制があるという意味でサポーティブハウスと名付けたわけです。

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「生活保護費削減で存亡の危機に立つ福祉アパート」の著者

庄子 育子

庄子 育子(しょうじ・やすこ)

日経ビジネス編集委員/医療局編集委員

日経メディカル、日経DI、日経ヘルスケア編集を経て、2015年4月から現職。診療報酬改定をはじめとする医療行政や全国各地の医療機関の経営を中心に取材・執筆。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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