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顧客は必ず欲しいものを持っている

企業が気づいていないだけ

2015年11月17日(火)

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なかなかデフレから脱却できない日本経済。「株価は上がってもものは売れない」という嘆き節が産業界に溢れる。しかし、徒手空拳、ラーメン店を350店を展開する大手チェーンを築き上げたハイディ日高の神田正会長は、そんな嘆きを否定する。「顧客には必ず欲しいものがある。企業が気づいていないだけ」と。デフレに勝つ神田経営を改めて聞いた。

景気の動きに懸念が出ています。店舗の状況はどうですか。

神田:既存店売り上げも伸び続けています。うちは2014年4月の消費税引き上げの時も、ラーメンの値段を上げないで頑張りました。それがお客さんに評価されたんだと思います。

 でも、単なる安売りではないですよ。今は安売りだけでは、お客さんはついてこない。お客さんが求めているものをしっかり見据えて提供できるかが問われていると思います。景気の波はもちろんあるけど、そこをしっかりしていけば、乗り越えられる。

ハンバーガー店から来て貰う

神田正(かんだ・ただし)氏
1941年、埼玉県生まれ。工場勤務などを転々とした後、20代初めの頃にラーメン店で働き始める。73年に独立、83年に株式会社化し、99年に現在のジャスダックに店頭登録。2002年にラーメン店、日高屋を出して成長軌道に乗った2006年8月、東京証券取引所1部上場。

売れないのは顧客が求めているものを出していないからだということでしょうか。当たり前のようで、容易ではない事ですが。

神田:2002年に今の主力業態である日高屋を新宿に出店した時、一番考えたのはどんなお客さんに狙いを定めるかでした。

 当時、都心の駅前には牛丼店やハンバーガーチェーンがたくさん出て成功していた。それはその価格帯に市場があるということです。だったら、それに合わせていけばいいと思ったのです。人はパン(ハンバーガー)だけでは飽きるし、牛肉だけ食べ続けるわけにもいかない。ラーメンが入り込める余地はあると思ったのです。

 その頃、牛丼が370~380円、大手ハンバーガーチェーンのハンバーガーセットが390円。それまでのうちのラーメンは一杯450円でしたから、それを390円に下げました。でもハンバーガー店や牛丼店から顧客を奪おうというわけではありません。パンや牛肉に飽きて何かほかのものを食べたくなった時に行ける店になろうと思ったのです。お客さんが臨むものというのは、そういうことです。

10%以上も値下げするのは簡単ではないはずです。

神田:私は絶対に無理はしません。そのために店舗数の少ない頃から、今でいうセントラルキッチンを作ってみました。大がかりなものではありません。最初はラーメンに使う調味料だけを工場で作って店に配送した。でも、それだけで職人がいなくてもパートさんでラーメンを作れるようになりました。それで人件費も下げられるし、なかなかいうことを聞かない職人ではなくてパートやアルバイトにできれば、サービス教育もしやすくなるから、むしろお客さんには評価して貰える。

 牛丼やハンバーガー店も大手チェーンなら教育はしっかりしている。それと同等以上でないとお客さんは回ってきてくれないのです。だから出店も無理に増やしませんでした。従業員の教育ができないとダメだし、駅前で立地が良くても家賃が高いと利益は出しにくい。だから増やしても年間30~35店までしか出店してきませんでした。

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「顧客は必ず欲しいものを持っている」の著者

田村 賢司

田村 賢司(たむら・けんじ)

日経ビジネス主任編集委員

日経レストラン、日経ビジネス、日経ベンチャー、日経ネットトレーディングなどの編集部を経て2002年から日経ビジネス編集委員。税・財政、年金、企業財務、企業会計、マクロ経済などが専門分野。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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