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ラッシュ時に電車を遅延させた人・親族の末路

鉄道事故裁判に詳しい弁護士の佐藤健宗氏に聞く

2017年11月24日(金)

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 その劣悪さで世界最悪と言われる日本のラッシュアワー。ただでさえ高い通勤者のストレスを一段と高めるのが列車の遅延だ。信号の故障など鉄道会社に非があるケースもある一方で、喧嘩や飛び込み自殺など利用者が原因となって起きる遅延も少なくない。

 人それぞれ事情があるのは事実。だが鉄道会社に対してはもちろん、何の落ち度もない多くの人々に迷惑をかける遅延行為が、決して褒められる行為ではないのもまた明らかだ。大事な商談や受験など重要な局面が台無しになり、人生を狂わされる人も出かねない。

 そんな事態を防ぐ抑止効果になってきたと思われるのが、昔からネット上などで囁かれて来た「列車を大きく遅延させると、鉄道会社から億単位の莫大な賠償金が本人や遺族に請求される」という噂だ。あれは都市伝説なのか、それとも真実なのか。専門家に聞いた。

聞き手は鈴木信行

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佐藤 健宗
(さとう・たけむね)
1958年兵庫県明石市生まれ。1978年京都大学法学部入学。1985年京都大学卒業。1989年弁護士登録(京都弁護士会、41期)。1994年兵庫県弁護士会に登録替え。「佐藤健宗法律事務所」を開設、現在に至る。これまで取り組んできた主な社会的事件に、信楽高原鉄道列車衝突事故(平成3年)、JR西日本福知山線脱線事故(平成17年)。

結論からお聞きします。ラッシュの時にトラブルを起こして電車を大きく遅延させると、本人あるいは親族が鉄道会社から巨額の賠償金を請求される、というのは本当なんでしょうか。

佐藤:私も弁護士になって随分たちますが、10年ほど前までその答えを知りませんでした。都市伝説なのか真実なのか、皆さんと同じように疑問に思っていたんです。実情を知ったのは、1991年に発生した信楽高原鉄道列車衝突事故の遺族側の代理人となったことを機に、鉄道事故裁判という分野に本格的に関わるようになってからです。

連日起きる顧客トラブル。弊社女性社員もあわや流血

2005年のJR西日本福知山脱線事故の遺族側の代理人も務められています。

佐藤:鉄道事故を扱うには、まずは鉄道事故訴訟の実情を知ることが必要だという話になって、ある時、大阪の裁判所に調査に行ったんです。裁判所に行けば、どんな訴状を受理したのかや、原告や被告、事件番号などが載った一覧表が見られるんですよ。それを見ていくと、少なくとも私が確認した一定期間、地元のJR西日本が原告になった裁判は一件もありませんでした。

一件も?

佐藤:そう、これはとても不思議なことです。というのもJR西日本管内では少なくとも1週間に1度くらいは大きな遅延が起きているはずだからです。首都圏だったらほぼ毎日のように、遅延を伴う電車トラブルがありませんか。

あると思います。先日も、弊社女性社員が千代田線の女性専用車両で、雨の日にOLと女子高生が傘のしずくが当たった当たらないで口論になり互いに傘を振り回し、その巻き添えで傘が無関係の彼女の頭部に振り下ろされる、という事案に遭遇しました。遅延までは至らなかったとのことですが、「女性専用車両は男性の目がない分、女性同士の小競り合いが想像以上に多く、なるべく乗りたくない」と申しています。

佐藤:それだけ様々な顧客トラブルが起きているにもかかわらず、関西圏で長期間、鉄道会社が原告になった裁判がないということは、鉄道会社は電車を遅延させた本人あるいは親族に対して裁判をほぼ起こしていない、ということだと私は解釈しています。私の知る限り、鉄道会社による裁判は、2016年に鉄道会社側の敗訴が確定した「JR東海認知症事故訴訟」のみです。

愛知県で認知症男性が徘徊中に電車にはねられ死亡し、鉄道会社が家族に賠償請求した事件ですよね。

コメント11件コメント/レビュー

もし鉄道会社が本気で損害賠償請求をするなら
鉄道会社自身の事故防止義務がゼロというのもおかしな話であり
そこを争点にされたら、鉄道会社自身にダメージがくる可能性が高いのではないか、
だから本気で損害賠償などしないのではないか、と思っています。

車の場合、故意に飛び込まれても運転手の過失責任を問われます。
観光地などで柵がなく転落したら、国や地方自治体が責められます。
それらと比較して、鉄道会社の責任があまりに軽すぎます。
もう少し、鉄道会社側の安全対策を喚起しても良いのではないかと思います。
千葉方面の総武線の特急通過は、電車に引っ張られる風圧を感じます。
事故が起きても、自殺扱いで数百万払えと言われるのでしょうか。

ホーム内にやたらショッピングモールを作って儲けることに一生懸命のようですが
いっそ裁判を増やして、鉄道会社の安全対策についての判決を見てみたいです。

それと
日本人の鉄道会社への忠誠心は何なんでしょうね。
この異常な責任の軽さと、亡くなった方への鞭の打ち方は、
大会社は公的資金を投入し、中小企業は自己責任という不条理な姿を思い起こさせます。
弱いものは虐めてもいい、強いものには媚びへつらうという日本文化のなせるわざでしょうか。(2017/11/24 18:51)

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「ラッシュ時に電車を遅延させた人・親族の末路」の著者

鈴木 信行

鈴木 信行(すずき・のぶゆき)

日経ビジネス副編集長

日経ビジネス、日本経済新聞産業部、日経エンタテインメント、日経ベンチャーを経て2011年1月から日経ビジネス副編集長。中小企業経営、製造業全般、事業承継、相続税制度、資産運用などが守備範囲。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

もし鉄道会社が本気で損害賠償請求をするなら
鉄道会社自身の事故防止義務がゼロというのもおかしな話であり
そこを争点にされたら、鉄道会社自身にダメージがくる可能性が高いのではないか、
だから本気で損害賠償などしないのではないか、と思っています。

車の場合、故意に飛び込まれても運転手の過失責任を問われます。
観光地などで柵がなく転落したら、国や地方自治体が責められます。
それらと比較して、鉄道会社の責任があまりに軽すぎます。
もう少し、鉄道会社側の安全対策を喚起しても良いのではないかと思います。
千葉方面の総武線の特急通過は、電車に引っ張られる風圧を感じます。
事故が起きても、自殺扱いで数百万払えと言われるのでしょうか。

ホーム内にやたらショッピングモールを作って儲けることに一生懸命のようですが
いっそ裁判を増やして、鉄道会社の安全対策についての判決を見てみたいです。

それと
日本人の鉄道会社への忠誠心は何なんでしょうね。
この異常な責任の軽さと、亡くなった方への鞭の打ち方は、
大会社は公的資金を投入し、中小企業は自己責任という不条理な姿を思い起こさせます。
弱いものは虐めてもいい、強いものには媚びへつらうという日本文化のなせるわざでしょうか。(2017/11/24 18:51)

>鉄道自殺で鉄道会社側に一切の非が無いという点は疑問です。

ではどの程度とお考えでしょうか。

福知山の事故のように速度超過したとか、踏切が閉まらなかったとかなら
鉄道会社の責任でしょうけど、自分から飛び込んだのなら100%向こうが悪いのでは。
そもそも線路は会社の土地なのですから、勝手に入ったら不法侵入です。

だいたいホームドアで防げるのは酔っ払いとかのふらつき事案までですよ?
本気で死にたい人間はホームドアなんて乗り越えて飛び込むに決まってるじゃないですか(笑)
一昔前のSFみたいにパイプの中でも走りますか? いやぁ何兆円かかるんだろ・・・。(2017/11/24 17:49)

電車自殺は何も飛び込みだけとは限らない。福知山線の高見隆二郎運転士は、運転中に乗客108人を巻き添えにして自殺を果たしたと私は主張している。電車はスピード超過での脱線がどこから起きるのかが、分かりにくいだけで、あれは自殺だ。飛行機のパイロットが自殺で墜落させた例はこれまで世界に70例ほどあるとのことだが。飛行機はとても分かりにくくて、列車は分かりにくいというだけ。あと、都市伝説に抑止効果を持たせるより、きちんと氏名公表し、鉄道会社のHPにも20年ぐらいは掲載するようにしたらいい。(2017/11/24 16:57)

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