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税制大綱はまだ十分な改革ではない

2015年12月15日(火)

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難産の末固まった2016年度の税制改正大綱。食品に消費税の軽減税率を導入するための財源を巡り、自民、公明両党の議論はぎりぎりまでもつれた。消費税には問題が残ったが、法人税は財源を確保した上で3年連続の引き下げ。改革は一長一短あり、まだ十分とは言えない。大和総研で政策分析・提言などを行う鈴木準・主席研究員に大綱の評価を聞いた。

(聞き手は田村 賢司)

法人税率が3年連続の引き下げになる一方で、消費税の軽減税率導入が固まりました。与党の2016年度税制改正大綱をどう評価しますか。

鈴木 準(すずき・ひとし)
東京都立大卒。1990年大和総研入社。経済調査部長などを経て、14年よりパブリックポリシーリサーチ担当。現在、経済財政諮問会議 経済・財政一体改革推進委員会委員などを務める。著書に『人口減少社会は怖くない』(日本評論社)、『社会保障と税の一体改革をよむ』(日本法令)など。

鈴木:目的のよく分からない軽減税率に、政治は時間とエネルギーを使いすぎたと言わざるを得ません。軽減税率は、低所得者対策として本来十分ではないし、税の中立性も損ないます。財源の手当ても見えない中で議論が進むなど問題は大きかったと思います。

 6月に閣議決定した骨太の方針(経済財政運営と改革の基本方針)2015で掲げた「税制を手直しし、子供が生まれ、現役世代が働きやすい社会づくりをする」という方向に向かう改革も進まず、十分ではありません。

 ただ一方で、法人税については、税率を世界の中で最も高い水準にあったところから下げていくのは重要。それを進めていくというメッセージを国内外に示したという点で良かったと思います。ただ、総じていえば、まだ十分な改革とは言えないと感じています。

軽減税率では低所得者対策の効果は低い

軽減税率については厳しい見方をしていますね。

鈴木:まず、よく言われるように低所得者対策としての効果が薄い。食品に絞っても、所得の高い人たちの方が低所得者より多く消費をするので、対策として十分ではありません。それに、軽減された商品はそれ以外の一般の商品に比べて税率が低くなり、消費しやすくなるわけですから、税制としては経済活動に対する中立性を損なうことになります。さらに税収も予定していたものより減るわけなので、ここでも問題があります。

 ただ、消費税で発生する益税を防ぐために必要なインボイス(税額票)の導入を並行して決めることができたとすれば、それ自体は重要な意味を持ちます。益税とは、所得(課税売上高)が一定額以下で、消費税の納税義務のない事業者などの手元に残る税のことです。また、取引の実態を正確に把握するためにもインボイスは重要な意味を持ちます。

軽減税率については、財源がはっきりしないまま導入が固まりました。

鈴木:基本的に財源を確保してから導入を決めるべきだったと思います。その視点を欠いていたから、税収が見積もりよりも上振れた分を活用するとか、社会保障費の増大を抑制するといった議論が出てきたのでしょう。

 所得税や法人税の上振れなどは、単年度限りのモノなのか、デフレから脱却して経済自体が底上げされたのかといったことをはっきりしないと話になりません。後者ならそれを論証してからにすべきでしょう。

 あるいは社会保障費を抑制してその浮いた分を使うという議論も危うさがあります。確かに社会保障には一部に手厚すぎる給付があります。効率化すべき部分はあるので、それを抑える必要はあります。しかし、それは財政再建に使うべきものです。元々、社会保障費の増大は財政悪化の主因なのだから、それを効率化して財政を立て直すということは理屈に合います。ところが、それを無視して減税に使うということになると、そもそも議論としておかしいのではないでしょうか。

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「税制大綱はまだ十分な改革ではない」の著者

田村 賢司

田村 賢司(たむら・けんじ)

日経ビジネス主任編集委員

日経レストラン、日経ビジネス、日経ベンチャー、日経ネットトレーディングなどの編集部を経て2002年から日経ビジネス編集委員。税・財政、年金、企業財務、企業会計、マクロ経済などが専門分野。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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