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スポーツイベントは箱物だけがレガシーではない

東京マラソンレースディレクターの早野忠昭氏に聞く

2015年12月24日(木)

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 2016年2月28日、東京の街中を3万7000人のランナーが走る。2007年に始まった東京マラソンは今回、10回目という節目を迎える。近年は一般ランナーの当選倍率が10倍を超えるほどの人気を誇り、世界でも有数の国際レースとなった。経済波及効果は271億円と試算されている(2013大会)。

 今や日本全国でランニング愛好家は2000万人を超えるとも言われており、その人気に火を付けたのが東京マラソンと言っても過言ではない。ただ、最初から順調だったわけではない。そこで2007年の第1回大会から運営にかかわってきた早野忠昭氏(東京マラソン財団事業担当局長兼東京マラソンレースディレクター)に、これまでの10年と今後の展望を聞いた。

(聞き手は坂田亮太郎)

首都である東京は人口も多いため、東京でマラソン大会を開催すれば成功するのは当たり前だという意見も聞かれます。それでもわずか10年足らずで、世界有数の国際レースに発展できた要因をどのようにお考えですか。

早野:やっぱり最初の3年間は、基本的な体制作りに苦労しました。何もないところに、いきなり3万人以上のランナーを走らせるわけですから。無事に、確実に走らせるという枠組みを作り上げるために、東京都と日本陸上競技連盟(日本陸連)が中心となり、組織委員会という形でスタート、電通はその財務を支える形で参画しました。

早野忠昭(はやの・ただあき)氏
1958年4月、長崎県生まれ。76年の全国高校総体(インターハイ)男子800メートル走で優勝。筑波大学体育専門学群を卒業後、高校教諭に。陸上競技部を指導してインターハイなどで連覇を果たすなど指導者としても活躍する。米コロラド州コロラド大学ボウルダー校へ留学後、アシックス入社。2006年に東京マラソン事務局広報部長に就任。東京マラソン財団事務局長を経て、2012年からレースディレクター。2013年から同財団の事業担当局長(写真:北山 宏一、以下同)

早野:僕はこの最初の3年間を「黎明期」と呼んでいます。まさに立ち上げの難しいときに、安全・安心で事故のない大会という、基本の基本を作り上げるためには、その3者で作り上げたことは意義のあることだと思っています。ただ、どんな人気商品というのも3年たつと、人々の関心が薄れるものです。

飽きが来る、と。

早野:そう、飽きが来る。大衆心理として次の何か、新しいものを待っている。これは民間でビジネスをやっている方の常識でしょう。私も民間の出身なので、肌感覚で分かります。

 今、東京マラソンの組織というのは、日本陸連出身の理事長、それから事務局に2人の局長がいます。一人は事務局長で東京都出身の人。もう一人の局長は私が務めており、事業担当として主にマーケティング面を担当しています。この3者がうまく協力し合った体制というのは、日本の他の大会ではほとんどないと思います。日本陸連は陸上競技のスペシャリストであり、東京都と民間の良いところを組み合わせました。

 実は4年目の2010年6月に東京マラソン財団を作りました。財団化の目的の1つは、財政的にも自立した運営を目標にしたかったからです。今、東京都から財団への負担は安全対策費として年間で1億円。財団の運営費に占める割合は5%を切っていて、4%ぐらいでしょうか。多くの人は東京都のお金で運営していると思っているかもしれませんが、現実は違います。ほとんど自主財政で運営できています。

課題を課題のまま放置しない

行政に頼っている限り、サステイナブルとは言えません。

早野:そういう側面もあります。東京マラソンは他の大会とは財政構造が大きく異なっていますね。

 東京マラソン財団の場合、「ONE TOKYO」という会員組織があります。既に45万人近くの人が登録していて、そのうちの約3万人がプレミアムメンバーという有料会員です。またスポンサーとして、我々はオフィシャルパートナーと呼んでいますが、およそ30の企業が協力してくれています。

 大会を運営するうえで、特に注力しているのはランナーである会員やパートナーの意見をできるだけ吸い上げて、できることから速やかに反映していくということです。毎年改善に取り組み、良い方向に進化できていると自負しています。

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「スポーツイベントは箱物だけがレガシーではない」の著者

坂田 亮太郎

坂田 亮太郎(さかた・りょうたろう)

日経ビジネス副編集長

東京工業大学大学院修了後、98年日経BP入社。「日経バイオテク」「日経ビジネス」を経て2009年から中国赴任。北京支局長、上海支局長を経て2014年4月から日経ビジネスに復帰

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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