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英國屋社長「継いで初めて分かった老舗の価値」

File16 英國屋 代表取締役社長 小林英毅

2016年1月18日(月)

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 英國屋の小林英毅社長との出会いは、ある方から紹介されて、私が本店を訪れたのがきっかけだった。銀座の中央通りに面した所に、重厚感あふれる本店があるのは知っていたが、歴史ある店ならではの雰囲気に気圧され、足を踏み入れたことがない。だから、敷居をまたぐのは初めての経験。約束の時間に訪れたら、入り口で小林さんが待っている。オーソドックスで上等なスーツをまとっている姿が清々しい。そして、予想以上に若いことに驚かされた。

 ビジネスマンのスーツ姿は、ドブネズミルックと揶揄されていた頃に比べ、少し進化したように思う。細身のスーツに先の尖った靴、髪の毛を立てて闊歩する若いビジネスマンは少なくない。ただ、小林さんのスーツ姿は、それとは一線を画するもの。英國屋のスーツが、表層的な流行とは別の文脈で、上質な価値を提案していると分かった。  話を聞くうちに、小林さんが諸々の経緯を経て、英國屋の未来を担おうとしている強い意志が伝わってきた。どんな展望を持って老舗を率いていこうとしているのか、改めてインタビューした。

銀座英國屋の価値が全然、分かっていなかった

若い頃は会社を継ぐ気はなかったという小林英毅社長(写真:鈴木愛子、以下同)

川島:最初に、英國屋の概要について、少し教えていただけますか。オーダーメード紳士服を手掛ける老舗ということは知っているのですが、敷居が高過ぎて、実態がよく分かっていない気もするので。

小林:分かりました。英國屋の創業は1940年、祖父が開いた「銀座ハット」という帽子屋が発祥です。一方で、整髪料を使う男性が急激に増えていく中、「帽子をかぶる人は減っていく」と祖父は判断し、「小林洋装店」という紳士服の仕立屋を日本橋で始めたのです。それが1952年に銀座に移転し、「銀座英國屋」となったのです。

川島:なるほど。当時、紳士服と言えば、誂え=オーダーメードが主流で、既製服が登場してはいたものの、あまり品質が良くないものが多い。そんなことから「吊るし」などと呼ばれていた時代でした。

小林:そうです。そんな中で銀座英國屋は、ビジネスエグゼクティブにふさわしい装いを提供するため、仕立服にこだわってきたのです。つまり、布選びから縫製まで、お客様の要望に応えた一点ものをお仕立てするフルオーダーメードです。例えば、人間は左右で肩の高さも腕の長さも違うわけですが、そういったことも加味して、その方のための型紙を作り、専門技術を持った職人が縫い上げているのです。

川島:フルオーダーメードというと、高額過ぎて庶民には手が出ないと思っちゃいます。

小林:スーツの場合で、18万円くらいからお作りすることができます。

川島:そうなんですね。もっと高いのかと誤解していました(笑)。そこまで上質なモノづくりにこだわっているから、「スーツなら銀座英國屋」という顧客がついているのでしょうね。さて小林さんは、幼い頃から、家業を継ぐことを意識していたのですか。

小林:いえ、若い頃は「古臭いブランド」というイメージを持っていて、全く継ぐ気はありませんでした。銀座英國屋というものの価値が、全然分かっていなかったのです。

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「英國屋社長「継いで初めて分かった老舗の価値」」の著者

川島 蓉子

川島 蓉子(かわしま・ようこ)

ifs未来研究所所長

ファッションという視点から、さまざまな分野の企業のブランド作りなどのプロジェクトにかかわる。日経MJ、ブレーン、読売新聞などで連載を持つ。2013年から現職。多摩美術大学非常勤講師。Gマーク審査委員。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官