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三越伊勢丹HD大西社長「まだまだ危機感が薄い」

File28:三越伊勢丹ホールディングス社長 大西 洋さん

2017年3月1日(水)

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 百貨店を取り巻く環境がさらに厳しさを増している。中間所得者層の消費伸び悩みに加え、一時は恵みの雨となった“爆買い”インバウンドの勢いが衰え、売上不振が鮮明になりつつある。

 ただ、戦後の高度経済成長期から2000年に入るあたりまで、百貨店は時代の先端を切り拓いてきた。ファッションでは、海外の一流デザイナーをいち早く導入し、”目利き”としての役割を果たした。西武は「エルメス」や「ジョルジオ・アルマーニ」を、伊勢丹は「カルバン・クライン」や「カール・ラガーフェルド」など、海外ブランドの特選フロアを設けて、流行スタイルの先端を並べて見せた。

 “一億総中流”が広まった70年代後半には、“ライフスタイル”という言葉が登場したが、これを牽引したのも百貨店だった。服をはじめ、家電や家具、生活雑貨まで豊富に揃え、それらを並べて見せることで”豊かな暮らし”を提案した。

 80年代後半のバブル景気下で、その勢いにはさらに拍車がかかった。“感性消費”という言葉が流行し、斬新であること、著名であること、高額であることなどが”付加価値”として脚光を浴びたのである。「シャネル」や「ルイ・ヴィトン」など欧米の著名ブランドの大型ブティックが軒を連ねる豪勢なショッピング街が、伊勢丹や三越の中にできたりもした。

 しかし、バブル崩壊、リーマンショックを経て、大きく様変わりした。1991年のピーク時に9.7兆円もあった売上高が前年割れするようになり、ついに2016年には6兆円を割り込むまでになった。なぜ、これほど勢いが衰えてしまったのか。そして将来に向け、どんな策を打っていくのか。老舗百貨店である三越伊勢丹ホールディングスの大西洋社長に話を聞いた。

変わらなければ生き残れない

大西 洋(おおにし・ひろし)
慶應義塾大学商学部卒業後、1979年株式会社伊勢丹入社。入社以来紳士部門を歩んだ後、伊勢丹立川店長、三越MD統括部長を歴任、2009年伊勢丹社長執行役員、2012年から現職。“人を大切にする経営”をポリシーとし、人事制度や働き方の改革を進めている。(写真:大槻 純一、以下同)

川島:2016年の百貨店の売上高が5兆9780億円ということで、1980年以来初めて6兆円を下回りました。

大西:従来の文脈に沿ってやっていても意味がないということです。以前から想定していたことが、現象として表れてきただけのこと。当社は「百貨店という業態そのものを抜本的に見直さなければ生き残れない」とずっと言い続けてきたのです。

川島:深刻だと思うのは、売上高の3割を占める衣料品において、婦人服が6.3%、紳士服も5.3%も落ちていることです。“ファッションの伊勢丹”という意味では、伊勢丹新宿本店でさえ、お客が減っているような気もしますが。

大西:決して順風満帆ではありません。まさに様々な改革をしていかなければならないのです。取り掛かっている改革はあるのですが、それより早く市場が変化している。追いついていないところに、大きな問題があると感じています。

川島:大西さんは、ずっとそういう号令をかけて旗を振ってきたのに、なぜ追いついていないんですか。

大西:百貨店を取り巻く環境は、戦後から高度経済成長を経て今にいたるまで、長期で見ると基本的には右肩上がりの時代が続いてきたので、できあがってしまった常識や枠組みを破ることが、なかなかできないんです。

川島:でもそれ、多くの大企業が抱えている問題かもしれません。ここ数年で露呈している企業の不祥事を見ていると、「それって社会的な常識で言えば変なこと」というのが、企業内で平然と行われていて驚かされます。

大西:だからこそ、当社はもっともっとスピードを上げていかないといけないと思います。まだまだ危機感が薄いと、おおいに反省しているところです。

コメント3件コメント/レビュー

私にとって、今の百貨店は欲しいものが売っていない不思議な小売店。
品揃えが陳腐なので最初からブランドの直営店へ買いに行く。
このままではジリ貧から脱出は無理だろうな。
消えていく業態としか見えない。(2017/03/31 08:24)

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「三越伊勢丹HD大西社長「まだまだ危機感が薄い」」の著者

川島 蓉子

川島 蓉子(かわしま・ようこ)

ifs未来研究所所長

ファッションという視点から、さまざまな分野の企業のブランド作りなどのプロジェクトにかかわる。日経MJ、ブレーン、読売新聞などで連載を持つ。2013年から現職。多摩美術大学非常勤講師。Gマーク審査委員。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

私にとって、今の百貨店は欲しいものが売っていない不思議な小売店。
品揃えが陳腐なので最初からブランドの直営店へ買いに行く。
このままではジリ貧から脱出は無理だろうな。
消えていく業態としか見えない。(2017/03/31 08:24)

海外も簡単に行けなかった頃に「舶来品」を揃えてくれていた百貨店にはワクワク感があった特別な場所でした。結構善い服(余所行き)を着て親に連れて行かれる遊園地みたいなところで、旗の立っているお子様ランチは憧れでした。
今の百貨店に特別なものがあるでしょうか?その特別な付加価値を魅力として伝える能力を従業員は持っているでしょうか?
百貨店の一階の売り場を平日食事の後に歩くと、店員さんの多くは品物の並べ替えや伝票整理で歩いている人に眼を配っていません。仕事の為に働いている状態ですね。そして、歩いている人を外見で値踏みしている。お金を持っていそうな人には会釈をするが、お金を持っていなさそうだと見て見ぬ振りをする。自分が貧乏臭いから悪いのですが、だからと言って私がモノを買わないわけではない。
店員の多くは押し付けがましくはなく客に買いたいと思わせる術を足りないと思う。
バブルの頃に、放っておいても買ってに買ってくれた時期に接客術が退化し、デフレの時期に接客の意欲が萎え、業績悪化と売り場の大家業態特化で自社人員の教育水準を低下させた。
一等地の地面を元手に不動産事業が一番冷静な経営形態ではないでしょうか。そのごく一部で超特別なモノを超高額所得者相手の小売に徹することで暖簾を継承するべきでしょう。(2017/03/13 18:11)

業界の馴れ合いを目の前で見せつけられる虚脱感は相当なものです。(2017/03/01 23:21)

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