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上質感の源泉は、埋もれた小さな歴史の磨き上げ

File24:南仏「Domaine de Fontenille」オーナー・Guillaume Foucherさん

2016年10月5日(水)

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 南フランスのエクサンプロヴァンスに、ホテル、スパ、ギャラリーに加え、ワイン醸造所を備えたユニークな施設「Domaine de Fontenille(以下、フォントニル)」がある。

 パリからTGVに乗って約2時間半、そこから車で1時間弱。山並みをのぞむ豊かな田園風景の中、「フォントニル」の入り口が現れる。オープンしたのが昨年10月というから、ちょうど1年が経とうとしているところだが、そうは見えない。ずっと前からあったかのような風情を漂わせている。

 実はフォントニルは、18世紀に造られた古い屋敷と庭園を改装して作られた。200年以上前に造られた屋敷の持っている、どっしりした存在感。オープンからまだ日が浅いとはいえ、その佇まいは、老舗としての風格を感じさせる。

 オーナーを務めるのは、ファッション関連の投資家として活躍しているFrederc Biousse(以下、フレデリク)さんと、ギャラリーを経営しているGuillaume Foucher(以下、ギョーム)さんの二人。普段はパリで仕事しているので、施設全体の管理・運営を、Laure HubschさんとLaurent Huitさん夫婦に任せている。

 パリにもどってオーナーの一人であるギョームさんの話を聞きに行った。ギョームさんは、パリのマレ地区、ピカソ美術館のすぐそばで、複数のギャラリーを所有し、企画・運営も手掛けている。その日は展覧会のオープニングということで、汗だくで準備を終えたばかりのところ。忙しい最中なのに、コーヒーやマカロンを用意してくれ、温かくセンスのいい気配りが垣間見える。少しはにかみながら、しかし熱を込め、「フォントニル」に賭した思いを語ってくれた。

 もともとヨーロッパの都市では、古い建築の保存を法制化しているところが少なくない。長きにわたって築かれてきた歴史や経緯を尊重する思想が、健全に存続している。これは建築に限らず、家具や食器でも同様のこと。「◯◯世紀のもの」という会話が、割合と普通になされているし、古き良きものを大切にしようという気持ちが、日本に比べて随分と行き渡っている。

 今回は、老舗そのものを取り上げるのではなく、エクサンプロヴァンスの「フォントニル」を題材に、地域の“老舗”としての歴史を価値としてとらえたユニークなビジネスについて取材した。一見すると、富裕層を対象としたラグジュアリーホテルの開発に映るが、そうではない。老舗的発想を持ったビジネスのあり方のひとつだと思うのだ。

18世紀の貴族のセカンドハウスを再現

川島:一泊二日で「フォントニル」に行ってきましたが、ホテルに加え、レストラン、カフェ、アートセンター、スパを備えた贅沢な場で、隣接してワイン醸造所まである。幅の広さと奥行きの深さに驚かされました。どのような経緯で、あの施設を作ることにしたのですか?

ギョーム:もともと僕とフレデリクは、ワイン造りにかかわってみたいと思い、葡萄畑を探していたのです。葡萄と言えば、やはりイタリアと考え、あちこち見て回ったのですが、ここぞというところに行き当らない。そんな折、南仏のエクサンプロヴァンスに10ヘクタールくらいの葡萄畑があると耳にして訪れてみたのです。そしたら、隣接して18世紀に建てられた庭付きの屋敷がある。そこを見た瞬間、まさに魅せられてしまったのです。恋をしてしまったと言っていいのかもしれません(笑)

川島:もともと葡萄畑を買うという話が、屋敷や庭もと、大きくなったということですか。

ギョーム:そうです。ここ数年、都会を離れた土地で、大自然に触れる暮らしをしたいと考えていました。週末やヴァカンスを過ごせる、いわば別荘のような場を欲しいと思っていたのです。そうしたら、まさにぴったりのところが現れた。滅多にない「出会い」ということから、思い切って全部買い取り、自分たちも楽しめる場を創ろうと、一気に話が盛り上がったのです。

川島:でも、ホテルにして外からお客を呼ばずとも、セカンドハウスを作るだけでも良かったのでは?

ギョーム:そうなんです。しかし広い屋敷なので、二人で過ごすだけじゃもったいないし、ちょっと寂しいかなとも思った。だから、二人が独占するのではなく、訪れた人がくつろいで過ごす場を作ったらどうかと思ったのです。僕たちが過ごす周辺で、人々がくつろいで楽しんでいる風景が広がっている。その方が建物も土地も活き活きするに違いないと。

川島:何だかとても贅沢な話ですね。

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「上質感の源泉は、埋もれた小さな歴史の磨き上げ」の著者

川島 蓉子

川島 蓉子(かわしま・ようこ)

ifs未来研究所所長

ファッションという視点から、さまざまな分野の企業のブランド作りなどのプロジェクトにかかわる。日経MJ、ブレーン、読売新聞などで連載を持つ。2013年から現職。多摩美術大学非常勤講師。Gマーク審査委員。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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