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本物を体験してもらう「だし場」を作る

File15 にんべん 代表取締役社長 髙津克幸

2015年11月30日(月)

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 にんべんと耳にして、まず思い浮かぶのは鰹節。幼い頃、祖母の家に行くと「今日は鰹節係をやってね」と言われ、削り器に向って鰹節を握ったのを思い出す。「これがだしになるのは不思議」と子供心に思ったものだ。主婦になってからは、すっかり不精して鰹節パックを使うことがほとんど。ただ「鰹節と言えばにんべん」という刷り込みから、にんべんのものを選んできた。

 社長を務める高津さんとお会いしたのは、ある会合でのこと。知り合いに紹介されたのだ。「若くして既に老舗を継いでいらっしゃる。生真面目で穏やかな方」という印象だった。それからまもなく、にんべんが展開しただしを飲めるユニークなショップ「日本橋だし場」が話題を呼んだ。訪れてみると、これが美味しい。面白い試みと感じ入った。だし場はその後、東京の丸ビルや、羽田空港国際線ターミナルなどへ広がっている。

 どんな経緯で、このような試みを始めたのか――。お話をお聞きしようと、日本橋コレド室町の上階にあるオフィスを訪ねた。

39歳のときに家業を継いだ、にんべんの髙津克幸社長
(写真:北山宏一、以下同)

川島:ここは、ぴかぴかの新しいオフィス。老舗であるにんべんが、日本橋再開発でできた「コレド室町」の上階に本社を構えているとは知りませんでした。

髙津:もともとにんべんは、ここに本店を持つ地権者だったので、再開発に伴って、新しい建物の中にオフィスを構えたのです。

川島:言われてみれば、にんべんのお店は、日本橋三越の目の前、ちょうどこのあたりにありました。

髙津:にんべんの創業は1699年。初代高津伊兵衛が、四日市から江戸に出てきて、ここ日本橋室町で鰹節の商いを始めたのに端を発するのです。その際、店の屋号であった「伊勢屋」と「伊兵衛」の「亻=にんべん」を、お鈬を表す「かね」と組み合わせ、「カネにんべん」として商標にした。いつの間にか「にんべん」と言われるようになって、それが社名になったという経緯です。

川島:だから、にんべんなのですね。でも、300年以上の歴史を持つ鰹節の老舗が、発祥の地で新業態「日本橋だし場(以下、だし場)」に挑戦したのは、かなり大胆だと感じました。

髙津:さほど大胆にやったつもりはなく、多くの方々に、鰹節を知ってもらいたいと思ったのです。

川島:というと?

髙津:かつての本店は、贈答品中心で目的買いのお得意様が多かったのですが、もっと新しいお客様を増やしたいと考えていました。それが10年ほど前、再開発のお話を三井不動産から頂いたのです。開発の間、どこかに仮店舗を構えなくてはならない。あくまで仮店舗ですから、以前から考えていた実験をしてみようと思ったのです。

川島:確かに、だしより鰹節は、私にとっても遠い存在と言えます。鰹節でだしを取るって難しそう、近寄りがたい。そんなふうに思い込んでいるので。

髙津:いや実際のところ、鰹節でだしを取るのは、1~2分でできるものなのです。

川島:そんなに簡単なんですか?

髙津:それを知っていただくには、薀蓄を語るより、味や香りも含めてだしを味わっていただく。五感で体験できるお店がいいと思ったのです。「だしをテイスティングできるバーみたいなものがあったら面白い」と言われたこともあり、やってみようと思いました。

川島:それが人気ショップに。でも老舗ですから、始めるにあたって、社内で反対はなかったのですか。

コメント1件コメント/レビュー

コレド室町のだし場は個人的に好きなスポットの一つです。
最近、オープン当初の賑わいがなくなってきており、少し寂しい気分がします。
にんべんというと比較的若い世代の我々からすると「つゆの素」のイメージが強く、コモディティ化した商品のイメージです。
だし場でにんべんのイメージは良くなりましたが、コレド室町には同業者の茅〇舎さんが入っており、出汁と言えばこちらの方が美味しいと思います。(ちなみに我が家は物産展で様々な地域の出汁の味比べをして、1年間その出汁を使うというルールになっている)
にんべんのつゆも、だしの素も内容物を見るとあまり褒められたものでないことを危惧しています。
ビジネスですし、価格や流通のことを考えればある程度致し方ないのかもしれませんが、伝統と格式をもったリーディングカンパニーとして恥ずかしくない対応をお願いしたいと考えています。
だし場で飲めるような美味しいだしを家庭でも手軽に飲めるようにするのが貴社の使命だと私は思っておりますので・・・
今後ますますのご発展を祈願しております。(2015/11/30 09:47)

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「本物を体験してもらう「だし場」を作る」の著者

川島 蓉子

川島 蓉子(かわしま・ようこ)

ifs未来研究所所長

ファッションという視点から、さまざまな分野の企業のブランド作りなどのプロジェクトにかかわる。日経MJ、ブレーン、読売新聞などで連載を持つ。2013年から現職。多摩美術大学非常勤講師。Gマーク審査委員。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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いただいたコメント

コレド室町のだし場は個人的に好きなスポットの一つです。
最近、オープン当初の賑わいがなくなってきており、少し寂しい気分がします。
にんべんというと比較的若い世代の我々からすると「つゆの素」のイメージが強く、コモディティ化した商品のイメージです。
だし場でにんべんのイメージは良くなりましたが、コレド室町には同業者の茅〇舎さんが入っており、出汁と言えばこちらの方が美味しいと思います。(ちなみに我が家は物産展で様々な地域の出汁の味比べをして、1年間その出汁を使うというルールになっている)
にんべんのつゆも、だしの素も内容物を見るとあまり褒められたものでないことを危惧しています。
ビジネスですし、価格や流通のことを考えればある程度致し方ないのかもしれませんが、伝統と格式をもったリーディングカンパニーとして恥ずかしくない対応をお願いしたいと考えています。
だし場で飲めるような美味しいだしを家庭でも手軽に飲めるようにするのが貴社の使命だと私は思っておりますので・・・
今後ますますのご発展を祈願しております。(2015/11/30 09:47)

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