• ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

英国EU離脱、ブレーキを踏めるのは1人だけ

スター精密社長 佐藤肇氏に聞く(前編)

  • 日経トップリーダー

バックナンバー

2016年10月7日(金)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

時計や自動車、歯科用の精密部品を加工する工作機械で高いシェアを持つスター精密。その経営を担う佐藤肇社長は、財務のカリスマとも呼ばれ、地元・静岡県では“佐藤塾”で他の経営者に財務を教えるほどだ。その佐藤社長に英国のEU離脱への対応や、金融が不安定になったときに経営者がすべきことを聞いた。

英国が欧州連合(EU)からの離脱を決めました。現在の混乱はリーマン・ショック後のそれと比較されることもあります。

佐藤:2008年9月のリーマン・ショックのわずか2カ月後、うちの工作機械の受注が8割減りました。2割減で8割になったのではなく、8割減で2割になったのです。尋常ではありませんでしたが、一気に影響を受けるということは、収まるのも早いだろうと見ていました。

 リーマン・ショックは、民間企業がわずか1社潰れただけとも言えるんです。もちろんそれは金融全体に影響を与えますが、いずれ収まることは分かっていました。先が読めていたのです。

佐藤肇(さとう・はじめ)氏:1951年静岡県生まれ。75年学習院大学卒業後、スター精密に入社。常務、専務などを経て、2009年から現職。1947年に父の佐藤誠一氏が創業した会社を、共に東証1部上場企業に育てた。地元・静岡で財務を中心に経営の定石を教える「佐藤塾」を主宰。著書に『佐藤式 先読み経営』(日本経営合理化協会出版局)などがある。(写真・廣瀬貴礼、以下同)

かなり早く手を打っていましたね。

佐藤:とにかく買うな、作るな、売るな。在庫を減らすことを徹底しました。工作機械というのは高額なので、景気が悪くなると需要が減って売れなくなります。売れなくなると価格が下がります。それが一過性で済むならいいのですが、1000万円だったものを800万円にしてしまうと、それが市場価格になってしまいます。一過性では済みません。

 なので、売るな。売らないのだから作るな、買うなです。すべての事業所で金曜も休みにして週休3日にしました。従業員の賃金もカットすることになりますが、その分、国から補助金が出ました。

英国の欧州連合脱退はどのような影響を与えますか。

佐藤:今回はリーマン・ショックとは違います。英国という国、ユーロという世界がどうなっていくかという話ですから、先は読めません。役員には、2年後に英国が離脱することや、離脱が撤回されるとかEUが譲歩するとかいった可能性は一切考えず、明日突然、最悪のことが起こるという前提で考えるようにと伝えています。2年の猶予は考えるなということです。

 今、うちの欧州のプリンター部門は英国にしかありません。英国がEUから離脱すれば、そこで作ったプリンターをドイツで販売するのに課税されるようになります。また、英国の拠点で働いている人たちの中には、親やその上の世代で大陸から移ってきた人たちもいます。こういった問題もあるので、リーマン・ショックと比較するのは、違うのではないかと思います。

状況が悪いときこそ経営者の手腕が問われる

佐藤:英国がEUから離脱して何が変わるかというと、物と人の動きの自由度が下がるということです。税金がかかるかからないか以上に、物がうまく流れなくなり、売れなくなるでしょう。

 ただ、最も影響を受けるのは金融機関でしょう。それも、欧州に進出しているメガバンクではなく、地銀や、もっと小さな信用金庫だと思います。ということは、中小企業に影響が出るということです。大企業も影響を受けますが、さまざまな対応が取れます。しかし、中小企業には大企業のような対応力がありません。

 それからユーロとポンドが下がりますから、円高も進むでしょう。米国も利上げせずともドル高を維持できる。

コメント2件コメント/レビュー

企業は小さい方が危機対応がしやすいのはわかります。では、後継者を育ててカンパニー制とうのはどうでしょうか?(2016/10/17 16:07)

「トップリーダーかく語りき」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

企業は小さい方が危機対応がしやすいのはわかります。では、後継者を育ててカンパニー制とうのはどうでしょうか?(2016/10/17 16:07)

筆者の見解とは逆に、
イギリス市場の株価は今、今年の最高値をうかがう勢いです。
(BBCニュース、ブルームバーグで知ったのですが、日本経済新聞はこれを報道しているのでしょうか?)

日立のイギリス鉄道工場が好調なのとは裏腹に、
フランスでは、アルストムのTGV工場閉鎖を阻止するべく、
【5億ユーロのフランス国民の税金】をフランス政府は投入します。
ドイツVWも株主である州政府の税金を投じて、排ガス不正賠償に充てる。
欧州では【資本主義のモラルが完全に崩壊している】と、言わざるを得ません。

今のイギリス株価、ポンド安に伴う競争力の強さを見る限り、
EU離脱は正しいというのが、私の見解です。(2016/10/07 00:17)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

日本の経営者は、経験を積んだ事業なら 失敗しないと思い込む傾向がある。

三品 和広 神戸大学教授