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マニュアル武器に、鶏卵事業を世界に拡大

イセ食品会長・伊勢彦信氏に聞く

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2015年12月25日(金)

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 「森のたまご」などのブランド卵を持ち、国内鶏卵市場で約15%のシェアを握るイセ食品は東南アジアの養鶏業者140社への卵生産技術・ノウハウのライセンス提供に取り組む。垂直統合モデルの中で開発し、磨き上げてきた育雛(いくすう)、採卵などの独自マニュアルが同社の強みだ。これからの世界戦略について伊勢彦信会長が語る。

2015年7月下旬、3日間にわたって、「たまごサミット2015イン東京」が開かれました。ASEAN(東南アジア諸国連合)を中心とする17カ国から約140社、約300人が集まる大規模なイベントとなりましたが、開催の狙いは何ですか。

伊勢:イセ食品は新鮮な卵を生産するための養鶏技術、品質・衛生管理などのノウハウを持っています。今後、それを成長著しいASEAN地域に輸出したいと思っています。

 今回参加した140社はそのパートナーとなる企業。このイベントでは「卵を通じてASEAN地域の国民の健康と環境を向上させる」という共通目標にサインしてもらいました。まずは各社に「安心・安全で高品質な卵を供給する、ASEANで最も強力な集団の一員である」という認識を持って連帯してもらいたいと思いましてね。

 これから順次、事業に関する細かな契約事項を詰め、イセ食品が持つ卵生産の技術やノウハウを契約した事業者にライセンス提供していきます。

 インドネシア、ベトナム、ミャンマーなど各国の大臣や大統領からは直々に「国を挙げて支援するから進出してほしい」と言われましたが、当社の資力も限られますから、知的所有権の販売というスタイルでやっていきます。

17カ国から約140社、約300人が集まった(写真・陶山勉)
伊勢彦信(いせ・ひこのぶ)氏
1929年富山県生まれ。46年富山県立福野農業学校卒業、父親が経営する伊勢養鶏人工孵化場に入る。52年イセを設立し社長に就任。68年イセ食品設立。80年イセアメリカを設立し米国に進出、4年で全米の上位に食い込む。92年イセグループ各社会長に就任。日本有数の美術品コレクターとしても知られる。(写真:鈴木愛子、以下同)

マニュアルに沿えば、素人でも卵が生産できるようにした

「知恵を売る」ことが従来、日本企業はなかなかできませんでした。なぜイセ食品には可能だったのでしょうか。

伊勢:我々には長年、徹底して作り込んできたマニュアルがあるからでしょう。

 富山県で創業した父・多一郎は鶏の育種改良から孵化(ふか)、育雛、採卵、包装、販売と垂直統合型のビジネスモデルをつくり上げました。後を継いだ私は契約農家がきちんとニワトリを飼育せずに「卵を産まない」と苦情を言うのを聞いて、温度や光の管理、採卵のタイミングなどを事細かに定めた独自マニュアルを作成。素人でも確実に卵を生産できるようにしました。

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