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米国のものづくり企業が模索する「ことづくり」

日本エマソンの土屋純顧問と探る(1)

2016年4月18日(月)

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 製造業のグローバル化によって、「ものづくり」だけにこだわった事業や開発で、先進国の企業が勝ち抜くのには限界が見え始めています。「ものづくり」と「ことづくり」の両方を高いレベルで揃えることが、持続的な競争力を身につけるカギとなります。技術や製品を生み出すのが「ものづくり」、技術や製品、サービスを使って、これまでにない生活や社会のスタイルを生み出すのが「ことづくり」です。

 この流れは、日本企業だけに限りません。米国をはじめとする他の先進国の企業の中にも、「ことづくり」の強化を目指し、模索している企業があります。こうした企業の1つが、米エマソン・エレクトリックです。今回は、日本法人である、日本エマソンの顧問で前日本代表であった土屋 純さんに、エマソンにとっての「もの・ことづくり」について伺います。土屋さんは、「ものこと双発協議会」の理事として議論に参加いただいています。

田中:エマソン・エレクトリックは、電子機器メーカーとして、世界で高い地位を築いている米国の企業です。もったいないことに、日本においては、一般的には広く知られていない状況です。

土屋純・日本エマソン顧問

土屋:エマソンは、1890年に設立されました。日本では明治時代、米国では南北戦争が終わってから約30年後の時期です。日本では、創業から数百年の歴史を持つ企業も少なくありませんが、日本に比べて短い米国の歴史の中では、古くから操業していた企業です。

 本社は、米国中部に位置する、セントルイスにあります。創業当時のセントルイスは、全米で4位の人口の規模を誇る街でした。ニューヨーク、シカゴ、フィラデルフィアの次が、セントルイスでした。ミシシッピ川を渡って西部の開拓に向かう人たちが、開拓に必要な資材などを仕入れる場所の一つが、セントルイスでした。

 エマソンは、モーターで創業しました。モーターは、発明者が特定されていません。電球のトーマス・エジソン、電話のアレクサンダー・ベルというように、一人の発明者が生み出したものではなく、同じようなアイデアを持つ多くの技術者が、同時多発的に発明して生まれたとされています。モーターを発明したと主張している会社の一つが、エマソンです。

 世に出た当初、モーターは農家ならばポンプに応用し、地下水を汲み上げて畑に散水したり、収穫物などを集める際のベルトコンベアーに応用したりするなど、画期的な製品で、社会を一変させました。

 米国の西部開拓といっても、西部劇をイメージする時代ではなく、産業や人口がどんどん西部に移っていく時代ですが、例えば、カリフォルニアで鉱山の開発が盛んになりました。採掘や収集にモーターを応用するため、セントルイスで調達して、現地に持ち込むといった需要を取り込むことを契機に、発展してきました。

 現在、売上高は約250億米ドル規模で、世界中に200の製造拠点を持ち、150カ国以上で事業を展開しています。祖業であるモーターの事業は、2010年に日本電産に売却しました。元々の本業を手放し、新たな事業を伸ばしている電機メーカーとなっています。

 エマソンには、課題もあります。まさに、「もの・ことづくり」に関するところです。

 危機感を抱くきっかけは、2011年度以降売上高が伸び悩み、2013年からは株価も低迷していることです。ものづくりで、一定の成功を収めてきたと評価されている企業ですが、それだけで伸びていくことが難しい時代に入っていることを、突きつけられています。

 2000年からエマソンの最高経営責任者(CEO)を務めているDavid Farrは、就任してから売上高を50%以上伸ばし、250億米ドル規模の企業に育てました。しかし、ものづくりだけでは限界を感じるような局面に入ったことで、「もの」だけではない方法で、いかに市場に深く浸透していけるかを模索しています。

 日本のものづくり企業と、同じような時期に、同じような問題意識を抱えているといえるかもしれません。

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「米国のものづくり企業が模索する「ことづくり」」の著者

田中 芳夫

田中 芳夫(たなか・よしお)

東京理科大学大学院教授

産ー官ー学での経験をもとに、これからの人たちと価値づくりを一緒に考えていきたい。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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