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“空振り三振”した部下に贈る言葉

ライトノベル累計6000万部の編集者、ストレートエッジ 三木一馬社長・前編

2016年5月9日(月)

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 担当したシリーズは、『とある魔術の禁書目録』(累計1580万部)、『ソードアート・オンライン』(累計1210万部)、『灼眼のシャナ』(累計860万部)、『魔法科高校の劣等生』(累計700万部)、『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』(累計500万部)。

 本が売れない時代にこれだけの新作を世に送り出した元KADOKAWA アスキー・メディアワークス事業局の編集者、三木一馬氏。彼が書き下ろした『面白ければなんでもあり 発行累計6000万部――とある編集の仕事目録』をきっかけに、インタビューという運びになり、今年の2月にお話を伺いました。

 当時、彼は、ライトノベル最大のレーベル「電撃文庫」の編集長と、同文庫の編集者の二足のわらじ状態。そこで「プレイヤーとして大成功した会社員が、マネージャーとしてどういう工夫、苦労をされているか」についていろいろお聞きした…のですが、その後1カ月ほど私がもたもたしている間に、なんと、KADOKAWAを退職して「ストレートエッジ」を立ち上げてしまいました。

 どうしたものか。もちろん、もう一度なんでそうなったのかを聞くしかありません。そして、編集長時代のインタビューと、独立後のお話を掛け合わせれば、「プレイヤーとマネージャーの狭間で悩んだ会社員」の、リアルな体験が浮かび上がってくるかもしれない。

 まずは、三木さんの編集長時代、今年2月時点のインタビューからお読みください。

三木一馬(みき・かずま)氏 徳島県出身。上智大理工学部を卒業後、旧メディアワークス(現KADOKAWA)に入社。2001年に電撃文庫編集部に配属され『灼眼のシャナ』をはじめ数多くの作品を担当。編集者として担当したライトノベルの部数は6000万部を超える。14年に電撃文庫編集長に就任。16年4月1日にエージェント会社「ストレートエッジ」を設立して独立。

――よろしくお願いします。日経ビジネスの読者の方はそのほとんどが会社員ですが、三木さんが携わっている、いわゆる“ライトノベル”の分野の読者は、10代から40代の主に男性、でよろしかったでしょうか。

三木一馬氏(以下三木):そうですね。電撃文庫のコア層は高校~大学生あたりですが、下は小学生から上はシニア層まで、色んな方に読んでいただいてます。

――電撃文庫は毎月13点からの刊行だそうですが。

三木:今はそうですね。月に12~13冊ですね。単純計算で年間約150冊になりますか。

――シリーズと言いますか、タイトルでいくと何タイトルぐらいになるんでしょう。

まず自分のレーベル内で競争に勝たねばならない

三木:タイトルだと、新作がだいたい毎月4~5本出ているので、仮に4だとしたら48本くらいでしょうか。

――出版部数は、今、初版で…2万部くらいでしょうか?

三木:新人、新シリーズですとそれくらいです。

――難しいとは思いますが、今、電撃文庫を語る10冊を選んで欲しい、といわれたら、何を選びますか?

三木:これは売り上げとか人気ではないという前提ですが、『ソードアート・オンライン』『魔法科高校の劣等生』『新約 とある魔術の禁書目録』『アクセル・ワールド』『はたらく魔王さま!』『キノの旅』『ストライク・ザ・ブラッド』『エロマンガ先生』『デュラララ!!』『境界線上のホライゾン』、といったところでしょうか。もちろん他にも『ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った?』とか『天鏡のアルデラミン』、『青春ブタ野郎』シリーズなどなど、まだまだありますよ(笑)!

――月間点数が多く、人気シリーズも多い。ということは、作家さんと担当編集者はまず何よりも、「電撃文庫の中の競争」を生き抜かないといけない。

三木:では、その話から。まず、「電撃文庫」は予算が一つ一つの本に付いているわけではなくて、「何月の新刊」という、その月の告知という意味で宣伝費などが設定されているんですね。

 なので、もちろん扱いの差はありますが、読者に知ってもらうための予算はある意味横並び、一線なわけです。その中で、「どのようにして、自分の担当した作品をほかの本よりも多く買ってもらうか」という工夫をしなければいけない。伝えるためには、イラストなのか、粗筋なのか、どちらもなのか、一番効果的な方法を考え、いろいろ知恵を絞っていくんです。草の根的に宣伝費を掛けずに、独自にやれることはないだろうか、などと担当編集者は考えるわけです。

4冊に入るために、どう出し抜くか

 編集部という職場は、決められたルールがある中で、いかにそれを出し抜こうとするか、その技術を磨くことができるところではありますね。そこで苦心惨憺する中で、編集者はいろいろなものが作れるようになっていくのだと思います。ですが、「こういう枠組みが決まっているなら、そこの枠の中でそのままやればいいや」というだけの編集者だと、もしかしたらずっとヒット作は出ないのかもしれないですね。

 読者アンケートで「毎月、何冊電撃文庫を買っていますか」という質問があるのですが、「だいたい2冊から4冊」がピークの回答なんですよ。ということは残りの約10冊近くは、買ってくれないんです。ですから逆に言うと、上から4番目までに入るには、どうすればいいかを考えていきます。

 そこに入るためには、ほかの本よりもどうすれば目立つようになるのか、印象付けるようにするか、それがつまりは「いかに出し抜くか」という考え方じゃないかと思っています。そのために重要なのは、まず、タイトルとイラストです。

――タイトルの決め方は本(『面白ければなんでもあり』)に実体験を書かれているので、イラストについて。こりゃもう完全に自分の歳のせいですが、クオリティが上がりすぎてもう「ああ、みんなかわいいね」としか思えなくなってます。あの、イラストで差別化して目立つ、というのが、すごく難しくなっていないですか。

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「“空振り三振”した部下に贈る言葉」の著者

山中 浩之

山中 浩之(やまなか・ひろゆき)

日経ビジネス副編集長

ビジネス誌、パソコン誌などを経て2012年3月から現職。仕事のモットーは「面白くって、ためになり、(ちょっと)くだらない」“オタク”記事を書くことと、記事のタイトルを捻ること。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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