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HDDの復旧、どうしてこんなに高いの?

データ復旧作業を行うAOSリーガルテックに聞く

2016年10月21日(金)

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 ある日のことです。
 15年分の家族写真を入れていた1テラバイト(TB)のハードディスクドライブ(以下HDD)が壊れました。

 実は、こういうこともあろうかとRAID構成(※)にしていました。実際、おかげで復旧できたことも2度ほどあるのです。「またか」と思い、時間はかかっても元に戻せると考えていたのですが、今回はRAIDの管理画面すら出せません。電源を入れると「がりがり」と音がして、もはやどうにもならなそうな予感。

 「こりゃ、プロの業者さんに頼むしかなさそうだ。たぶん、10万円くらいかかると思うんだけど」と、奥様に報告します。

RAID:複数のHDDにデータを同時に書き込むことで、高速化したり、万一の際に無事なHDDから復旧する仕組み。書き込み方は何通りもあり、「RAID0(ゼロ)※高速化のみ、冗長性はない」「RAID1」「RAID5」などがある。(※RAID0はデータ復旧はできないとの御指摘をいただき、修正しました)

 修理に対してこの金額、普段なら「あり得ない」と即断する我が奥様も、さすがに家族写真となると思い切れない様子(ちなみに、もし、子供が生まれる前の写真だったら間違いなく「捨てよう」と言われたはずです)。

修理代金はバカ高くても、家族写真は捨てられない

 さて、どこに頼むか。「HDD 復旧」あたりで検索すると、もう山のように業者さんがひっかかってきます。どこもそれなりに実績がありそうで、「まずは持ち込んで無料相談を」と促してくる。予め電話で3つほどに当たりを付け、「10万とは約束出来ませんが、それに近い線でなんとかなると思います」と言われたA社(注:頭文字ではありません)に持ち込んでみました。

 行ってみると普通の小さなオフィスビルで、応対もそつなく、HDDを預けると狭い部屋に通されて、そこで待つように言われます。やがて、「担当するBです」と、白衣を着た若い男性が現れました。どことなく白衣が身体に合っていない雰囲気に、ややはったりを感じたものの「ご安心ください、復旧は可能です」とのことでほっとしました。

 が、示された見積書の金額を見て唖然。
 え、30万円!?(注:金額は実際の額に沿っていますが、大まかなものです)

 思い出はプライスレス、30万でも50万でも価値としてはそれ以上、とはいえ、お金はお金です。いくらなんでも高すぎる。あれこれ交渉すると、納期に余裕を見てくれれば価格を下げる余地がある、という。なんなら半年かかってもかまいません、と伝えると、「では上司と相談して参ります」と部屋を出て行くBさん。

 奥様に状況をメールで説明していると、Bさんが戻ってきました。

 「お待たせしました。RAID構成のHDDの復旧は大変なのでどうしても料金が上がるのですが、上司と交渉しまして、22万円にすることができました」

疑心暗鬼、どこかに隠しカメラが?

 まだまだ高い。それに、いきなり8万円も引いてきた豪快さにかえって懸念を感じます。もしや「ぼったくり」に引っかかりつつあるのでは。ああでもない、こうでもないと食い下がると「わかりました、もういちど上司と交渉してきます」と、ふたたびBさんは部屋の外に出て行きました。これ、大昔の自動車セールスみたいじゃないか。上司が隠しカメラでこの部屋を見ているのでは、と、きょろきょろ探してしまいました。

 「20万円になりました。もう無理だと上司も言っておりまして、なんとか決めて頂けないでしょうか」

 と、戻ってきたBさん。狭い部屋で延々待っている間に、だんだんこちらの気持ちも弱くなってきて「とにかく、一刻も早く話を終わらせて、すぐにこの部屋から出たい」と思い始めています。初歩的なテクニックですが、「狭い部屋に缶詰」って、効きますね。

 しかし、このままでは終われません。

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「HDDの復旧、どうしてこんなに高いの?」の著者

山中 浩之

山中 浩之(やまなか・ひろゆき)

日経ビジネス副編集長

ビジネス誌、パソコン誌などを経て2012年3月から現職。仕事のモットーは「面白くって、ためになり、(ちょっと)くだらない」“オタク”記事を書くことと、記事のタイトルを捻ること。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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檜山 敦 東京大学先端科学技術研究センター 講師