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HDD修理、ここにダマされるな!

「クリーンルーム」は技術力の保証にはならない

2016年10月24日(月)

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(前編から読む

 今年のある日、家族の写真を15年分突っ込んだハードディスクドライブ(HDD)が壊れた。某社で復旧を見積もると30万円(!)と言われ、びっくりして交渉し値切りに値切ると、最終的には約19万円になった。が、それでも高い。そして、大幅な値切りができたことで、むしろ価格形成への不信を感じてしまった(やりとりの詳細は前編を)。

 どういう背景で修理の料金が決まるのか。真正面から答えてくれたのはAOSリーガルテックの林靖二執行役員(※なお同社は、私が修理を依頼した会社ではありません)。

 「千差万別の状況に対応するために、どうしても人手と時間がかかってしまう」ことがコストがかかる大きな理由という。しかし、それだけでは納得できないと食い下がると「故障したHDDの、動かない部品を交換するスペアパーツにする『ドナー』のHDDの入手や保管も、見えにくいコスト要因。当社ではいま数千台のストックがあり、少なからぬ費用がかかっている」という。実際にストックを見せてもらった。

――おお、ずらりとHDDのストックが並んでいますね。

AOSリーガルテック執行役員・林 靖二さん(以下林):例えば同じメーカーの、同じ型番のHDDでも、工場や製造時期によってパーツが違うことは当たり前です。15、6種類のバリエーションがあったり、BIOS(ファームウエア、ハードを動かす基本的なソフト)も違うし、その情報も一般には公開されていません。

――では、どうするんですか。

職人技と「ひっかけ」が混在する業界

:ストックからひとつひとつ取り出して、載せ替えて、動くかどうか試すしかないんです。動いたところで別のHDDにデータをコピーして、部品は戻しておく。修理の実績を上げるには、大量のドナーHDDを仕込んで、ストックしておかないといけないわけですよ。

――この棚、撮影していいですか。

:それはおやめください。ストックの数や整理の仕方もノウハウなので。

――他に職人っぽい技はありますか。

:普通は読み取れないデータでも、データのある箇所に、ヘッドを長くアクセスさせると読める場合もあります。しかし、あまりアクセス時間を長くするとヘッドがプラッターに接触して再起不能になってしまうので、まず、健全な部分のデータを先に保存してから、難所に挑みます。まあ、ほんとうはちょこちょこヘッドはプラッターに触れているのですが。

――ヘッドは、プラッターの回転で起こる風で常に浮いているのだと聞いていましたが。

:理屈ではそうなんですが、振動で触れてしまうことはありまして、これはメーカーも計算内です。とはいえ、雑に扱えばあっというまにお釈迦です。分解して、プラッターからヘッドを抜く時は…こうやってプラッターを手で回して、回転している間にそっと抜く。逆もしかりです。

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「HDD修理、ここにダマされるな!」の著者

山中 浩之

山中 浩之(やまなか・ひろゆき)

日経ビジネス副編集長

ビジネス誌、パソコン誌などを経て2012年3月から現職。仕事のモットーは「面白くって、ためになり、(ちょっと)くだらない」“オタク”記事を書くことと、記事のタイトルを捻ること。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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牛島 信 弁護士